猫と人に関わる『トキソプラズマ』の知識4つ 寄生されるとどうなる?症状や予防法も解説

2026-07-17 20:00

トキソプラズマと聞いてどんなイメージを持ちますか?「妊婦は猫に近づいてはいけない」という話を耳にしたことのある人もいるかもしれませんね。トキソプラズマは確かに注意が必要な寄生虫ですが、正しい知識があれば過度に恐れる必要はありません。猫と安全に暮らすために知っておきたいトキソプラズマの知識を紹介します。

トキソプラズマの4つの知識

生肉をもらう猫

トキソプラズマは、猫と暮らす飼い主さんなら一度は耳にしたことがある寄生虫ではないでしょうか。しかし、名前は広く知られている一方で、誤解されている部分も多く、必要以上に不安を感じている人も少なくありません。トキソプラズマについて知っておきたい基礎知識と、誤解されやすいポイントについて解説します。

1.トキソプラズマ・ゴンディという寄生虫が原因

トキソプラズマ症の原因は、トキソプラズマ・ゴンディという単細胞の寄生虫です。自然界に広く分布しており、哺乳類や鳥類、爬虫類など多くの動物に感染します。ただし、終宿主は猫(ネコ科動物)だけです。

終宿主とは、寄生虫が体内で増殖し、感染力を持つ「オーシスト(寄生虫が外部環境で生き延びるための形態)」を便とともに排出できる動物を指します。排出されたオーシストは環境中でも一定期間生存するとされています。

2.トキソプラズマの感染経路は3つ

人がトキソプラズマに感染する経路は、おもに次の3つです。

  • 生肉の摂取による経口感染
  • 感染した猫の排泄物からの経口感染
  • 母体から胎児への胎盤感染

このなかで最も多いのは、生肉を介した感染です。豚肉やラム肉などが原因となることが多く、まな板などの調理器具を通じてほかの食材が汚染されるケースもあります。

一方で、猫の排泄物を介した感染については、オーシストが排出されるのが初回感染後の一定期間に限られることや、排泄直後は感染力を持たず、一定時間を経て成熟する必要があることから、感染リスクは限定的とされています。

3.妊娠中にはじめて感染すると危険

健康な成人がトキソプラズマに感染した場合、多くは無症状か軽い風邪のような症状で回復します。一方で、妊娠中にはじめて感染した場合は注意が必要です。

胎盤を通じて胎児に感染するおそれがあり、流産や死産、水頭症などを引き起こす可能性があります。胎児への感染率は妊娠週数が進むにつれて上がりますが、重篤化しやすいのは妊娠初期の感染です。出生時に症状がなくても、成長後に 先天性トキソプラズマ症と診断される場合もあります。

なお、妊娠前にすでに感染歴がある場合は抗体ができているため、胎児への影響はほとんどないとされています。

4.「猫から直接うつる」リスクは低い

感染経路の項で、猫からの感染は限定的だと書きました。その理由についてお話しておきたいと思います。

猫がオーシストを糞便中に排出するのは、生まれてはじめてトキソプラズマに感染してから長くて3週間ほどと限られた期間のみです。一度感染して抗体ができた猫は、その後オーシストを排出しません。

また、排泄されたオーシストが感染力を持つまでには、最低でも24時間かかります。毎日トイレを掃除していれば、感染リスクは大幅に下げることができます。

なお、室内飼育で生肉を与えず、外出をしない猫であれば、 そもそもトキソプラズマに感染している可能性は低いでしょう。

トキソプラズマの症状と予防法

トイレにはいっている猫と掃除をしている人

トキソプラズマ症は猫と人で症状のあらわれ方が異なります。また、予防は日常的な衛生管理で対応できることがほとんどです。それぞれ確認しておきましょう。

トキソプラズマの症状

成猫が感染しても、多くの場合は無症状です。症状が出やすいのは免疫が未発達な子猫や、免疫力が低下している猫で、発熱や食欲不振、嘔吐・下痢などが見られます。まれに重症化すると、呼吸困難、黄疸、神経症状が見られる場合も。また、目に寄生した場合はブドウ膜炎や網膜剥離などの原因になります。

人が感染した場合、多くは無症状で、10〜20%程度の割合でリンパ節の腫れや発熱など軽度の症状が出る程度です。ただし、免疫機能が低下していると、神経障害や心筋炎、肺炎などの重篤な症状があらわれる場合があります。

妊娠中の初感染については前述のとおり、胎児への影響が生じる可能性があるため注意が必要です。

トキソプラズマの予防法

トキソプラズマの基本の予防は以下の3つです。

  • 肉はしっかり加熱する
  • 猫のトイレは毎日掃除する
  • 愛猫は室内飼育にし、生肉を与えない

人も猫も、おもな感染経路は生肉です。肉は十分に加熱し、生肉を扱った調理器具は丁寧に洗い、流水でしっかりと流しましょう。

また、猫のトイレは毎日掃除を行い、オーシストが感染力を持つ前に排泄物を取り除くようにします。

さらに、猫をトキソプラズマに感染させないことも重要です。猫は完全室内飼いをし、感染のリスクを減らしましょう。

まとめ

抑えられている猫

トキソプラズマ・ゴンディという原虫が原因となるトキソプラズマ症は、猫と人の両方に感染する感染症です。感染経路は生肉、猫の排泄物、胎盤感染の3つが知られており、なかでも生肉を介した感染が多いとされています。

妊娠中の初感染には注意が必要とされていますが、猫に触れるだけで感染するわけではありません。日常的な衛生管理を徹底することでリスクは大きく下げることができます。

必要に応じて医療機関や動物病院に相談しながら、安心して暮らせるように対策をすることが大切です。

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