40℃超えの“酷暑”から愛犬を守って! これだけは知っておきたい『熱中症対策』10のポイント
梅雨が明けると間髪入れずにやってくるのが暑い夏。それも、ものすごく暑い夏。 近年の暑さは「災害級」になることもしばしば。人間にとってもペットにとっても夏が危険な季節になってきています。 気象庁が公開している気温の歴代ラン […]
梅雨が明けると間髪入れずにやってくるのが暑い夏。それも、ものすごく暑い夏。
近年の暑さは「災害級」になることもしばしば。人間にとってもペットにとっても夏が危険な季節になってきています。
気象庁が公開している気温の歴代ランキングを見ると、驚いたことに、「観測史上最高」の1位から4位までが去年の7・8月のデータなんです。
観測史上最高気温
1位:41.8℃(2025年8月5日 群馬県伊勢崎)
2位(同率):41.4℃(2025年8月6日 静岡県静岡)
2位(同率):41.4℃(2025年8月5日 埼玉県鳩山)
4位(同率):41.2℃(2025年8月5日 群馬県桐生)
4位(同率):41.2℃(2025年7月30日 兵庫県柏原)
いずれも40℃超えの酷暑!人間やペットの体温よりも高いんです!
犬は被毛に覆われているだけでなく、汗腺が少なく、人間よりも「熱中症」になりやすいといわれています。
今年も観測史上最高気温を更新してしまうかもしれません。ペットの命を守るためにも、熱中症対策については常にアップデートしておきましょう。
屋内でも、夜でも、曇りでも熱中症になる?!

真夏の日中にアスファルトの路面に触れたことはありますか?
触れた途端に「アチチッ!」と、手を引っ込めてしまうほど熱く、路面温度は60℃を超えることもあります。そのくらいの温度になると、犬の肉球はやけどをしてしまうでしょう。真夏の日中にアスファルトの道路を歩かせるのはもちろんのこと、まだ日が高いうちに散歩に出かけるのは避けてくださいね。
ウチは、夏の日中は犬を外に出さないから安心!
と思っているアナタ。気をつけて!
実は、家のリビングで熱中症になってしまう犬は意外に多いもの。しかも、犬が留守番をしているときよりも、家族が在宅しているときに多く発生しているという報告もあります。飼い主さんにとっては快適な環境でも、犬にとっては体調を崩す可能性があるということをぜひ知っておいてくださいね。
成犬にとって快適な環境は、「気温15~21℃、湿度50%程度」だとされています。
そして、絶対にやってはいけないのが車中での放置。たとえエアコンをつけていても、たとえ短時間であっても、車の中で犬に留守番させないで!

熱中症の発生が午後(12時~15時)に多いことは上のグラフからも分かりますが、よく見てください。朝(5時~9時)や夜(18時~翌5時)にも熱中症は発生しているんです。
朝晩にも熱中症だなんて…。じゃあ、いつ散歩すればいいの!?
8月の一日の平均的な気温の変化は、14時頃にその日のピークに達し、そこから徐々に下がり始め、23時頃から翌5時頃にかけては25℃前後と、比較的過ごしやすい気温になります。
朝や夜に熱中症になることもありますが、しっかりと予防策を講じた上で、夜半から明け方くらいを狙って散歩に出かけるのがよいのかもしれませんね。

きょうは曇っていて太陽が出ていないから日中の散歩も大丈夫と思っているアナタ。
それ、ぜんぜん大丈夫じゃないです!
犬は、高温多湿な環境に長時間さらされたり、運動を続けたりすると、体温が上がってしまいます。すると、体温調節機能が正常に働かなくなってしまい、高体温および脱水によって熱中症を引き起こしてしまうことがあります。
曇りだからといって油断は禁物なのです。
気づいてあげて! 熱中症の初期症状を見逃さないで!

上のグラフのように、ペットが熱中症になってしまった飼い主さんへのアンケート調査によると、驚いたことに、7割の飼い主さんが「うちの子が熱中症になるなんて」と、ペットの熱中症に対して全く無防備であったことが分かります。
ペットが熱中症になることを「予想していた」場合と「全く予想していなかった」場合とでは、その後の結果が大きく違ってきたりするので注意が必要です。
熱中症は、重症化すると命にかかわる重大な病気です。ペットは人間のように自分で熱中症対策をすることができません。まずは、飼い主さんがペットの体調の変化にいち早く気づいてあげて、適切に対処することが重要です。
熱中症の症状

気温の高い日に、犬が少し前とは違い、以下①~⑤のような様子を見せたら要注意!
すぐに涼しい場所に移動して、水を飲むようであれば水分補給をし、体に水をかけるなどして体温を下げてあげましょう。水を飲まない場合は、スポーツドリンクを飲ませても大丈夫です。
⑥~⑨のような症状が出た場合は、大至急動物病院へ!
初期症状
①パンティング(浅く早い呼吸)が激しい
②体を触るといつもより熱い
③よだれが多い
④粘膜(歯肉や舌など)の充血やうっ血が見られる
⑤心拍数が早い(頻脈)
非常に危険な状態
⑥嘔吐や下痢
⑦震えやけいれん発作
⑧虚脱(ぐったりとして意識が朦朧としている状態)
⑨多臓器不全(死に至るかもしれない危険な状態)
初期症状がどのようなものか、しっかり頭に入れて、ペットの状態をよく観察してくださいね。散歩中スマホに夢中になっていて気づかなかった…なんてことにならないように!
熱中症の応急処置。受診までのタイムリミットは発症後90分

ペットが熱中症になってしまった場合、動物病院で治療を受けるまでのタイムリミットは「発症から90分以内」が目安とされています。90分を超えてしまうと、多臓器不全や合併症のリスクが上がってしまうといわれています。
発症直後、動物病院に向かう前や向かっている途中に飼い主さんがすべきことは以下の2つです。もしもペットが熱中症を発症してしまったら、落ち着いて応急処置を行なってくださいね。
冷却
ペットを涼しい場所に移動させ、氷や保冷剤を包んだタオルなどで体を冷やします。
脇の下や首筋、後肢の付け根を冷やすと効果的です。
ただし、氷水などの冷たい水をかけると、血管が収縮してしまって逆効果となるので、「常温の水」を使うようにしてください。
水分補給
ペットが水を飲める状態であれば、少しずつ水を飲ませてください。
ただし、立ち上がれないときや、意識が朦朧としているときに水を与えるのはかえって危険です。
熱中症対策10のポイント

フィジカル面で気をつけたいポイント
①熱中症になりやすい犬種かどうか
短頭種はパンティングによる体温調節がうまく働かなくなってしまうことがあるので、熱中症になりやすいといえます。北国生まれの犬種も要注意です。超小型犬や被毛の黒い犬も注意してくださいね。
☆短頭種:パグ、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、ペキニーズなど
☆北方原産の犬種やダブルコートの犬種:サモエド、シベリアン・ハスキーなど
②太っているかどうか
過剰な脂肪は、体内に熱を閉じ込めてしまい、心臓や呼吸機能にも悪影響をもたらします。また、肥満動物は汗をかきづらくなります。
③持病があるかどうか
呼吸が苦しくなる呼吸器疾患(気管虚脱、肺炎、気管支炎、アレルギー性肺炎、フィラリア性肺炎など)や、心疾患(僧帽弁閉鎖不全症、拡張型心筋症、大動脈狭窄、フィラリア症など)がある場合は、細心の注意を払ってください。
また、糖尿病、腎臓病、クッシング症候群がある場合や、利尿剤を使用している場合も同様です。
④いつでも水が飲めるかどうか
人間は全身の汗を蒸発させ、その際に生じる気化熱を利用して体温を下げますが、犬は肉球以外には人間のような汗腺がほとんどないので、効率的に気化熱を利用することができません。そのため、上がってしまった体温を下げるために水を飲むことが重要なんです。
脱水は熱中症に直結します。家にいる場合でも、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておくことが大切。ウォーターボウルは、1箇所だけでなく複数箇所に用意しておきましょう。遊びの途中でもしっかり水分補給をしてくださいね。
また、暑い時期は、水だけでは十分な量の水分を摂取できない犬もいます。そのような場合には、ウェットフードを取り入れたり、ドライフードにぬるま湯を加えたりすることで、「食事から水分を補給する」ことも有効です。
⑤犬は、人よりも地面に近い
特に小型犬や超小型犬、足の短い犬は、60℃近くにもなる地面に近く、熱い放射熱を全身で受け止めています。しかも、その上を裸足で歩いています。
環境面で気をつけたいポイント
⑥気温や湿度の差が激しい移動
犬と一緒に旅行などをする場合、気温や湿度の差が激しい場所への移動はできるだけ避けるようにしましょう。
お盆に、北海道から実家のある九州に犬と一緒に帰省した際、帰省先で犬が熱中症になってしまったという例もあります。
⑦エアコンや扇風機を適切に使用しているかどうか
家にいてもペットは熱中症になる可能性があります。電気代が気になるところではありますが、そこはペットファースト。エアコンや扇風機を適切に使って、家の中をペットにとって快適な環境に保ちましょう。
⑧暑い日中に犬の散歩をさせない
犬用のクールネックやクールウェアを着用しているし、水も持って行くからといって、たとえ曇っていても暑い日中に散歩に出かけることは避けましょう。
散歩は、一日のうちでも比較的気温が低い、夜半から明け方にかけての時間帯が狙い目ですよ。
⑨気温や湿度が高い状況では激しい運動をさせない
激しい運動は、犬の体力を奪うだけでなく、脱水をまねくことも。
朝や夜であっても、気温や湿度が高い場合は、ドッグランなどで激しい運動をさせないでくださいね。犬は遊びに夢中になってしまうので、飼い主さんがしっかりとコントロールしましょう。
⑩車の中での留守番は絶対にNG!
外気温が20℃でも、車の中の気温は50℃以上にまで上がってしまうことがあります。エアコンをつけていてもペットは熱中症になる可能性があります。車内に置き去りにすることは絶対にしないでください。
ペットのバイタルサイン

ペットの場合は、体温、心拍数、呼吸数の3項目の値をバイタルサイン(T・P・R)として用います。
ペットの体の異常を知るうえで、バイタルサインの標準値を知っておくことはとても大切なことなので、ぜひ、憶えておいてくださいね。
体温(Temperature)
ペットの肛門に体温計の先を入れて、直腸温を計測します。自宅で計る場合は、体温計の先をラップなどで包むとよいでしょう。
心拍数(Pulse)
ペットの後肢の付け根の内側にある動脈に指で軽く触れて計ります。
15秒間の脈拍を計測して、4倍することで1分間の心拍数が分かります。
呼吸数(Respiratory rate)
呼吸数は、運動後や食後ではなく、睡眠時や安静時に計るようにしましょう。
呼吸する際の胸の動きを見て、15秒間計測して、4倍することで1分間の呼吸数が分かります。
まとめ

人間でもペットでも同じですが、熱中症を防ぐためには「体温を上げすぎないこと」と「十分な水分補給」が最重要ポイントになります。
人間とペット、両方にとっての「生命維持装置」のような存在になってしまったエアコンを適切に使い、しっかりと水分を補給して暑い夏を乗り切ってくださいね。
南国では、日中よりも過ごしやすくなる夜23時以降に犬と散歩をする人が多く見受けられるようです。暑い季節は、普段とは少し違ったリズムで生活するといった工夫をしているのでしょう。ペットファーストで人間が生活のリズムを変えていくことも大切なのかもしれませんね。
◎写真・文:ほりまさゆき(風の犬たち)

- 一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会委員長
- 一般社団法人ペット栄養学会 理事
- 有限会社ハーモニー 代表取締役
- 日本獣医生命科学大学、帝京科学大学、ヤマザキ動物看護専門職短期大学非常勤講師
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