高市政権「骨太の方針」“積極財政”で370兆円投資も…責任の所在は?“骨太ショック”で円安さらに?“政策の羅針盤”は日本をどこに導く【サンデーモーニング】
「骨太の方針」とは、時の政権が重視する政策の方向性を示すもので、自⺠党は「政策の羅針盤」と位置づけています。
歴代政権の「骨太の方針」は?
最初に「骨太の方針」を出したのは、2001年の小泉政権です。
予算を作るにあたって、「族議員」と呼ばれる、省庁や業界の利害を代表する議員たちの影響力を抑え、総理官邸主導で政策を実現しようという思惑がありました。
そこで掲げたのが「聖域なき構造改革」。
“聖域なき構造改革”は、「郵政⺠営化」のほか、道路公団などを念頭においた「特殊法人の見直し」です。国の借金を減らす「財政健全化」も掲げ、これは歴代政権が引き継いでいきました。
その後も「骨太の方針」には、時の政権の看板政策を表すフレーズが並びます。
安倍政権では「3本の矢」によるアベノミクス、岸田政権では「新しい資本主義」、石破政権では「物価上昇を上回る賃上げ」など。
そして、その政策に合わせた象徴的な数字も記されています。
小泉政権は「国債の発行30兆円以内」。安倍政権は「物価上昇率2%」。岸田政権は「脱炭素化に150兆円の投資」。石破政権は「2020年代に最低賃金を1500円に引き上げ」といった具合です。
高市政権掲げる「責任ある積極財政」とは
今回、高市政権が掲げたのは「責任ある積極財政」。象徴的な数値としては、「AIや半導体など17分野に“370兆円”を投資する」と打ち出しました。
“370兆円”という前例のない数値について、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは、「大きな数字を出してインパクトを重視した一方で、政府による支援の具体的手段が不明」だと指摘しました。
そのうえで、「もし政府の補助金が中心になるとすれば、経済活性化の効果は小さい一方、財政負担が大きくなりやすい。官⺠ファンドでやるとすれば、『クールジャパン機構』のように⺠間が政府への依存を強め、責任の所在が不明確になって失敗するリスクが十分にある」と懸念します。
そして、この「骨太の方針」をめぐっては6月、原案が明らかになったタイミングで円安が進み、国債の価値も下落。市場関係者の間で「骨太ショック」と呼ばれました。
一体、何が起きたのか。
「骨太ショック」は「日銀の利上げを牽制した」などと受け止められたか
歴代政権が引き継いできた「財政健全化」という文言が消えたことにより、財政悪化の懸念が強まったことや、「強い経済のために適切な金融政策も非常に重要」といった記述が、「日銀の利上げを牽制した」と受け止められたことなどが指摘されています。
こうした状況を受け、その後、閣議決定された「骨太の方針」には、「金融政策の具体的な手法は日銀にゆだねられる」などの注釈が追加され、「ショック」の火消しに走った形です。
ただ、それでも円安は止まりません。
木内さんは、さらに「財源のめどが立たないにもかかわらず、高市総理が消費税減税を決定すれば、もう一段の円安や国債価格の下落が進んでしまう可能性がある」と指摘します。
今後、この「骨太の方針」を元に予算案が作られていきますが、「政策の羅針盤」は正しい方向を差して、日本を導いていけるのでしょうか。