「積み重ねですよ」19歳の“天才”佐藤龍之介は地元の公園で走っていた W杯落選の悔しさ糧にスペイン挑戦「日本のエースになって帰ってくる」【バース・デイ】

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2026-08-01 06:30
「積み重ねですよ」19歳の“天才”佐藤龍之介は地元の公園で走っていた W杯落選の悔しさ糧にスペイン挑戦「日本のエースになって帰ってくる」【バース・デイ】

サッカー北中米W杯の戦いを終えた日本代表。4年後の大舞台へ向けた新たなサイクルが始まるなかで、今、大きな期待を集める若者がいる。

【写真をみる】佐藤龍之介のパワーの源「ふしみだんご」

「日本の、そしてJリーグの未来を担っていき、盛り上げてくれる素晴らしい選手」と森保一監督が評価すれば、かつてFC東京でともにプレーした久保建英も「すごい良い選手だなと思いますし、個人的にはこれから頑張ってほしいと期待しています」とエールを送る。

その選手の名は、佐藤龍之介、19歳。FC東京史上2番目の若さ、16歳10か月でプロの扉を叩いた“天才”だ。

佐藤は2025年、期限付き移籍先の岡山でプレーし、最も活躍した若手に贈られるベストヤングプレイヤー賞を受賞。「常に貪欲で、努力し続けられるサッカー選手でありたい」と語る通り、その活躍が認められて18歳7か月でW杯最終予選に出場した。これは香川真司の記録(19歳7か月)を塗り替える「W杯予選における史上最年少出場」の快挙だった。

2026年もその勢いはとどまることを知らず、J1百年構想リーグの地域リーグラウンドEASTベストイレブンに選出。さらにオールスターにも名を連ね、自陣からの鋭いカウンターで自ら起点となり、そのままゴールを奪う衝撃のプレーを見せた。

そんなサッカー界大注目の若き才能は、この夏、大きな決断を下した。スーパースターが集うスペイン、ラ・リーガの名門バレンシアへの移籍だ。

「葛藤はないです。海外のトップリーグで結果を残すことが大事かなと思います」

若き才能はいかにして育ったのか。その原点と、スペイン移籍の舞台裏に迫る。

圧倒的なスタミナの原点は「地元の公園」と「ふしみだんご」

FC東京のホームグラウンドである小平グラウンド。サポーターから「カッコいいゴールを期待しています」と声をかけられると、佐藤は「自分のユニフォームがいっぱいあるので嬉しい」と笑顔を見せた。

チームで中盤を任される佐藤の武器は、高い得点能力とチャンスを生み出すドリブル、そしてアシストもこなす万能さにある。「最近フィーリングもすごく良くて、足元にボールが入ればとられずに良い選択ができる自信もある」と本人も手応えを口にする。

そんな佐藤が憧れ、目標とする存在が長友佑都(39)だ。「ポジションは違いますけど、長友選手を超えていけるような選手になれるように頑張りたい」と語る佐藤には、長友に通ずる強烈な武器がある。それは「類稀なる運動量」だ。昨シーズン、1試合の走行距離でリーグ1位に2度も輝いている。

その圧倒的なスタミナの原点は、地元・練馬区の武蔵関公園にあった。

「兄が小学校の時は自分が幼稚園だったので、父と兄とここの周り(1周約1キロ)を朝走りに来ていました。6時起きの、6時30分頃から走って。2周くらい走っていたから10分、15分。結構ハイペースだから、ランニングじゃなくて、タイムを更新する走りをしていた」

同級生に比べたら最初から一番走れたという佐藤は、「積み重ねですよ」と力強く答える。地道な鍛錬が、強靭なスタミナの礎となったのだ。

また、もう一つのパワーの源が、地元で一番大好きだという「ふしみだんご」だ。「試合の前日に必ず3つくらい買って、炭水化物として蓄えるんですよ。そのおかげで俺、走れるんです」と笑う。

夢舞台への落選と、突きつけられた「海外組」との差

兄の影響で4歳からサッカーを始め、中学でFC東京の下部組織に所属して頭角を現した佐藤。2023年には高校2年生にしてプロの公式戦に異例の出場を果たし、その半年後には久保建英に次ぐ若さでプロ契約を結んだ。

「東京、そして日本を熱狂させられるプレイヤーになるために、努力をしていきます」

その言葉通りに成長を遂げた佐藤は、今年4月にはイングランド相手に歴史的勝利を飾った日本代表の一戦に、Jリーグのフィールドプレイヤーで唯一メンバー入り。小野伸二以来2人目となる「10代でのW杯代表入り」が現実味を帯びていた。

しかし、森保監督から名前を呼ばれることはなく、夢舞台には届かなかった。 

メンバー発表から数日後、チームメイトとの食事の席では悔しさを隠すように明るく振る舞っていた佐藤だが、一人になった車中での取材で本音を明かした。

「メンバーに入りたかったですし、W杯でプレーして活躍したい思いもあったので、メンバーに入ってなかったことはすごく悔しかった。4年後に向けて、目の前の試合に向けて頑張るだけかなとすぐに切り替えられたので、皆さんが思っているほど落ち込んではいないです。実力が足りなかった」

今回選出されたメンバーのほとんどが海外組であり、Jリーグのフィールドプレイヤーは憧れの長友だけだった。4年後は必ずあの大舞台へ――。W杯の裏で、佐藤はすでに動き出していた。

スペイン名門バレンシアへ「日本のエースになって帰ってくる」

日本代表が決勝トーナメント進出を決めた6月26日、佐藤は自身が育ったサッカースクール「JACPA東京FC」を訪れていた。先輩である長友の活躍を見て「改めて尊敬するなと思いました。4年後絶対W杯のピッチに立ちたい」と決意を新たにする。

そんな最中に飛び出したのが、リーグ優勝6度を誇るスペインの名門バレンシアへの移籍報道だった。

「何度か日本代表に選出されていますけど、まだしっかりとアピールできていない。誰もが目標とするチームなので、自分も中心選手として試合に出たい。現実的に海外のトップリーグで結果を残すことが大事」

世界トップレベルのラ・リーガへの挑戦に不安はないという。

「葛藤はないですね。もちろん国も言語もすべて違う中で大変だと思うんですけど、同じサッカーなので心配はしていないです」

バレンシア側が5年契約での獲得を正式発表すると、現地のテレビ局でも「19歳の日本人選手でFC東京のスター」として特集が組まれた。サッカーを見る目の肥えた現地のサポーターからは「まずは試合を見てみないと」「もしかしたら優秀かも」「毎シーズンやっているように実験的だね」といった期待と慎重論が入り交じる声が上がり、最高峰の舞台での厳しい戦いが待ち受けていることを予感させる。

「Jリーグを代表して、FC東京を代表して、みんなが誇らしいような選手になりたい。海外で活躍していいニュースを届けたい」

スペインへ飛び立つ直前、味の素スタジアムでは送別イベントが行われた。平日にもかかわらず、約400人のサポーターが集結。佐藤はマイクを握り、力強く宣言した。

「FC東京は特別ですし、ずっとこのクラブの選手として頑張りたいので、引き続き応援してほしいなと思います。次に皆さんとお会いする時は、必ず日本代表のエースとなって帰ってきたいと思います。行ってきます!」

サポーターからは「4年後スペインのW杯で爆発してください」と熱いエールが送られた。

出発の直前、カメラに向かって「難しいことは分かっていますけど、同じサッカーなので楽しみながら活躍したい」と言い残し、19歳は旅立った。

いつの日か、世界に「佐藤龍之介」の名前が轟く。その新たな「バース・デイ」に期待したい。

(TBSテレビ「バース・デイ」2026年7月25日放送より)

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