細胞の酸化ストレス防御機構を解明するSMG1/DNA-PK-NRF2経路を発見

2026-08-04 04:38

SMG1/DNA-PK-NRF2経路は、細胞内の活性酸素を取り除き、酸化ストレスから細胞を守る新たな仕組みとして研究グループにより明らかにされました。

細胞が酸化ストレスから身を守る新たな仕組み

細胞はエネルギー産生過程で活性酸素を生じますが、通常は除去の仕組みにより一定の量に保たれています。何らかの理由で活性酸素が過剰に蓄積すると酸化ストレスが生じ、細胞はダメージを受けます。一方で、がん細胞は高い増殖能力を持ち、酸化ストレスに抵抗して生存し続けることが知られていました。研究グループは、細胞が酸化ストレスを感知した際に活性化するリン酸化酵素SMG1およびDNA-PKが、抗酸化転写因子NRF2を直接リン酸化して細胞内に蓄積させることで、細胞を保護する仕組み(SMG1/DNA-PK-NRF2経路)を突き止めました。この経路は、がん細胞が活性酸素の産生に打ち勝って生存するために重要な役割を果たしていると考えられます。

SMG1およびDNA-PKを標的としたがん治療への応用

本研究では、SMG1を特異的に阻害する化合物を新たに同定しました。このSMG1阻害剤や既存のDNA-PK阻害剤をがん細胞に投与すると、細胞内の活性酸素が過剰に蓄積し、フェロトーシスを介して細胞の生存率が選択的に低下することが確認されました。正常細胞への影響は限定的であり、この経路を標的とすることで、既存の治療に抵抗性を示す難治性のがんや発生初期のがんに対する新しい治療戦略につながる可能性が期待されます。本成果は2026年8月3日に学術雑誌「Signal Transduction and Targeted Therapy(STTT)」オンライン版に掲載されました。

まとめ

細胞内の酸化ストレス防御に関わる新たな分子メカニズムが解明され、SMG1およびDNA-PKの阻害ががん細胞の生存率を低下させる新たな治療標的となることが示されました。

関連リンク

https://doi.org/10.1038/s41392-026-02892-1

https://www.kindai.ac.jp/meikan/3222-yamashita-akio.html

https://www.kindai.ac.jp/meikan/788-matsuo-kazuhiko.html

https://www.kindai.ac.jp/meikan/756-nakayama-takashi.html

https://www.kindai.ac.jp/pharmacy/