消費税減税「1%」決定へ 党内不満が表面化、世論調査で減税「賛成」半数以上…支持率回復に「内閣改造」?【Nスタ解説】
自民党内ではきのう(3日)、食料品の消費税を2027年4月から2年間「1%」に引き下げることで党内の議論が決着しました。反対論もある中、下落する内閣支持率が回復する要因となるのでしょうか?
【写真を見る】「こんな議論していいのか」消費減税に石破氏ら…自民党内“懸念の声”
消費税減税「1%」決定へ 自民党内では「ごたごた」も…
高柳光希キャスター:
自民党で意見が集約された、食料品にかかる消費税を「2027年4月から2年間1%に引き下げる」という減税案。今後のスケジュールです。
▼5日
自民党「総務会」で最終決定
→政府 閣議決定へ
▼9月
「税制改正大綱」策定
(新しい税の仕組みなどをまとめた文書)
▼秋
「臨時国会に法案提出」
▼2027年4月
食料品の消費税「1%」スタート
一方、ここまで決まる中でも自民党内では様々な意見が出ており、党内では「ごたごた」の様子もありました。
3日、自民党では税制調査会や社会保障制度調査会など合同会議が行われました。
自民党議員による2時間あまりの話し合いが行われ、その中で75人が“発言”をしましたが、
▼賛成65人、▼反対9人、▼中立1人と、それぞれ立場を示していました。
その中で、石破茂前総理や小渕優子元選対委員長、そして村上誠一郎前総務大臣など、これまで政権の中核を担ってきた議員が反対をしています。
【食料品消費税「1%」自民党“懸念の声”】
<前総理 石破茂氏>
「少子化も高齢化も社会保障のお金もこれからどんどん増えるという中で、こんな議論をしていいのか」
<元選対委員長 小渕優子氏>
「大事な社会保障財源をどうやって戻していくのか、そのツケは次の世代に回ってくる」
<前総務大臣 村上誠一郎氏>
「党幹部が決めようが官邸が決めようが、全て従えというのははっきり言って民主主義じゃない」
TBS報道局政治部 橋口由侍 官邸キャップ:
皆さん、党や政府で重要なポストを務めてきたベテランばかりです。長い政治経験のなかで、消費税を引き上げることがいかに難しかったか、ときの政権が、政権の命運をかけて消費税を引き上げてきたか、つぶさに見ていた人たちです。また同時に、社会保障財源がいかに大事かということも熟知している人たちです。
反対している人たちに共通しているのは、「財源はどうするのか、2年後にまた(消費税を)引き上げることができるのか」ということだけではなく、「こんなに大事な議論を短期間でやってしまってよかったのか。議論が足りていないのでは」と、高市総理のトップダウンな決め方に対する反感があるのだと思います。
減税のメリットとデメリット 世論調査では「賛成」半数以上も…
東京大学 准教授 斎藤幸平さん:
減税をすると円安が進んでしまうのではないでしょうか。先日、日米が円買いの協調介入を実施しましたが、これで消費減税したらまた円安になる可能性がある。
そうなるとベッセント米財務長官はじめ、アメリカ政府も「せっかくやってやったのになぜこんなことをするのだ」と怒るのではないでしょうか。
国民はインフレで苦しんでいますが、株高やアメリカとの意向など全部を複合的に考えると、高市総理にとっても良い解決策はなく、これから難しい状況になっていくのではないかと見ています。
井上貴博キャスター:
減税にはメリット・デメリットどちらもあります。ただ、この議論は本来であれば選挙の前にやってくださいという話です。
自民党も野党も、目先の選挙で勝つために安易にポピュリズムに走った。これは日本の政治の責任だと思います。
党内から公然と異論が出てくるのは、党内のパワーバランスが変わっていく潮目になりつつあるのでしょうか。
TBS報道局政治部 橋口由侍 官邸キャップ:
面と向かって会議の場で反対する人が複数人いましたし、カメラの前でも「私は反対にこういう理由です」と表明する人もいました。
これらは珍しいことではありますが、かなり大多数の方が賛成しているので、出てきた異論をもとに何かしら政策や政権運営に影響を及ぼすというのは難しいのではないかと思います。
今は高市さんの“一強体制”で、そこまで揺るがないのではないかという見方をしています。
減税賛成半数以上 一方で物価高対策は「評価できない」?
高柳光希キャスター:
8月に実施された最新のJNNの世論調査をみると、▼「消費税減税に賛成」が過半数を上回っている一方、▼これまでの物価高対策には「評価できない」と回答した人が過半数を上回り、ねじれのような状態になっています。
【食料品の消費税「1%」(2年間)】
・賛成:52%
・反対:39%
【これまでの物価高対策】
<評価できる「39%」>
・ある程度評価できる:32%
・非常に評価できる:7%
<評価できない「59%」>
・あまり評価できない:36%
・全く評価できない:23%
(8月JNN世論調査 / 8月1日・2日 RDD方式 / 有効回答1033人)
TBS報道局政治部 橋口由侍 官邸キャップ:
自民党内のある中堅議員からは「物価高対策が評価されていない中で、消費税減税に半数以上が賛成。(総理は)絶対にやり抜きたいだろう」との声がありました。
一方でベテラン議員からは「消費税の引き下げをするのに賛成52%は低すぎる。せめて70%は欲しいところ」という声もありました。
つまり、そのくらい賛成が大きくないと、政権浮揚の起爆剤にはならないのではないかという不安感の裏返しだと思います。
支持率回復なるか カギは「内閣改造・党人事」?
高柳光希キャスター:
消費減税を訴えている中で、内閣支持率は下降気味ではありますが、総理としては支持率をどのように回復していこうと狙っているのでしょうか。
TBS報道局政治部 橋口由侍 官邸キャップ:
消費税の議論を進めていくと同時に、「内閣改造」に着手すると思われます。
そのポイントは2つ。「時期」と「顔ぶれ」です。
時期について、複数の政府与党関係者の取材によると、8月後半から9月上旬ではないかとみられています。
8月上旬は熊本の震災対応真っ只中ですし、8月6日と9日は広島と長崎で原爆の日の式典があり、15日は終戦の式典など、総理出席の大きな行事がたくさんあります。
さらにお盆もあるため、8月下旬から9月の上旬ではないかと。
また、9月の下旬には、例年、日本の総理大臣は国連総会に出席するため、その合間ぐらいだろうという見方が広がっています。
人事について▼「消費税」や「円安」の対策を担う財務大臣、▼党運営の要である幹事長、▼総裁選のライバルの処遇について、先の総裁選直後はライバルの取り込みを図りましたが、引き続き主要ポストで起用するか交代させるか。
さらに、維新の入閣について、高市総理は「次は吉村代表も入閣する」と話しています。維新の誰をどのポストに入閣させるのか、このあたりも注目ポイントになると思います。
東京大学 准教授 斎藤幸平さん:
支持率が下がってきている中で消費減税を目玉にしたいと考えていると思います。
ただ、短期的な話で、2年後に再び消費税を上げることができるのか。2年後、高市総理が辞任していれば、それを担うのは次の総理です。
そういったことを考えて、私たちは先の選挙がよかったのかどうか、改めて考えなければいけないと思います。
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<プロフィール>
橋口由侍
TBS報道局政治部 官邸キャップ
自民党・外務省・防衛省などを取材
斎藤幸平さん
東京大学 准教授専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部超のベストセラー