「もったいない」を「おいしい」に 泉大津市が未来へつなぐエコレシピNo.1グランプリ

2026-08-06 08:00

「食品ロスを減らしましょう」と聞くと、我慢や節約をイメージする人も多いかもしれません。しかし、その第一歩が、おいしいスイーツを味わうことだったらどうでしょうか。

大阪府泉大津市で開催された「エコレシピNo.1グランプリ」は、食品ロス削減を身近な「食」を通して日常生活での実践につなげたいといった発想から生まれた取り組みです。2回目となる今年度は「製菓」をテーマに大阪調理製菓専門学校の学生たちが、普段は捨てられてしまうこともある食材を活用したスイーツを考案し、市内の中学生が実際に試食して審査しました。

ただお菓子の出来栄えを競うだけではなく、「もったいない」を「おいしい」に変える工夫や、そのアイデアを次の世代へ伝えることも、このイベントの大切なテーマです。学生たちの自由な発想と、中学生の率直な感想が交わることで、食品ロスという身近な課題を楽しみながら考える場となりました。

この記事では、当日の様子や受賞作品、参加者の声とともに、泉大津市がこの取り組みに込めた思いや、未来へつながる展開をご紹介します。

「もったいない」を「おいしい」に変える――食品ロス削減を身近に伝える泉大津市の取り組み

食品ロスを減らすための取り組みというと、「食べ残しをしない」「必要以上に買わない」といった我慢や節約を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

泉大津市が開催した「エコレシピNo.1グランプリ」は、そんなイメージとは少し違います。単に出来栄えを競うイベントではなく、専門学生が、食品ロス削減について学び、食材を無駄なく使う工夫をレシピに反映し、その成果を中学生や事業者、市民が実際に味わいながら評価することで、食品ロス削減を身近な行動として考えるきっかけにする取組です。

今年のテーマに選ばれたのは「製菓」です。スイーツは子どもから大人まで親しみやすく、多くの人が自然と興味を持ちやすい分野です。一方で、製菓の現場では果物の皮や規格外の食材、余った材料など、工夫次第でまだ活用できる食材が少なくありません。

そこで今回のグランプリでは、大阪調理製菓専門学校の学生たちが、普段なら捨てられてしまうこともある食材を生かしたオリジナルスイーツを考案しました。おいしさはもちろん、食材を最後まで使い切る工夫や、家庭でも取り入れやすいアイデアを盛り込みながら、「もったいない」を新たな価値へと変えるレシピづくりに挑戦しています。将来、食の現場を担う学生たちが、材料を無駄なく使う視点を学び、それを実践する経験は、これからの食品ロス削減にもつながる大切な一歩といえるでしょう。

食品ロスという社会課題を、難しい言葉ではなく「おいしい」「作ってみたい」という気持ちから身近に感じてもらう――。そんな泉大津市の想いが、このイベントには込められていました。

中学生が審査員に――学生たちのアイデアが集まったグランプリ当日

「エコレシピNo.1グランプリ」は、令和8年7月9日に大阪調理製菓専門学校で開催されました。当日は泉大津市長による開会あいさつから始まり、専門学校の学生によるプレゼンテーション、試食審査、表彰式、記念撮影まで、約2時間にわたってプログラムが進行しました。食品ロス削減というテーマを軸にしながらも、会場では専門学生の学生たちが、スイーツに込めたアイデアや食品ロス削減への工夫を発表しました。

特徴は、専門学校の学生が事前講座で食品ロスについて学び、その視点を取り入れてオリジナルスイーツを制作したことです。完成した作品は7チームが発表し、それぞれが使用した食材や工夫したポイント、レシピに込めた想いをプレゼンテーションしました。見た目や味だけでなく、「食材をどう無駄なく活用したのか」まで含めて評価される点は、このグランプリならではの魅力といえるでしょう。

もう一つ印象的なのが、審査員の顔ぶれです。市内の中学生22人に加え、市長や学校関係者、市内飲食店の経営者、流通事業者、市民など11人の特別審査委員が参加し、味や見た目だけでなく、食材を無駄なく使う工夫や家庭での再現性、食品ロス削減につながる視点など、多角的な視点から各作品を審査しました。実際に試食した中学生からは、「どれもおいしく、さまざまな工夫がされていると思いました」「それぞれのスイーツに個性があって、残さずすべてを食べられました」「野菜を使ったスイーツは合わないと思っていましたが、おいしく食べることができた」といった声も寄せられています。

料理をつくる学生と、それを味わい評価する中学生。それぞれが食品ロスについて考えながら参加することで、単なる料理コンテストではなく、「学び」と「体験」が自然に結び付いたイベントだったことがうかがえます。

食材を最後までおいしく使い切る――受賞作品に込められた工夫

今回のグランプリでは、食品ロス削減への工夫やアイデア、おいしさ、見た目などを総合的に審査し、最優秀賞・優秀賞・入賞の3作品が選ばれました。

受賞作品に共通していたのは、「余った食材を使う」という発想にとどまらず、食材をできるだけ最後まで使い切るための工夫が凝らされていたことです。普段は捨てられてしまう部分にも新たな価値を見いだし、それぞれが魅力的なスイーツへと生まれ変わっていました。

最優秀賞|エントリーNo7チーム「丸ごとオレンジのクッキーシュー」

最優秀賞に輝いたのは、「丸ごとオレンジのクッキーシュー」です。オレンジはヘタと種以外を無駄なく使用し、通常は卵黄のみを使うレシピを全卵へ変更するなど、食品ロス削減につながる工夫が随所に取り入れられていました。また、家庭でも再現しやすいレシピを意識した点も評価され、食材を最後まで大切に使うアイデアと実用性を兼ね備えた作品となっています。

優秀賞|エントリーNo6チーム「レモン丸ごと?!クッキーサンド」

優秀賞を受賞した「レモン丸ごと?!クッキーサンド」は、普段は捨てられることの多いレモンの皮やワタまで余すことなく活用した作品です。レモンを丸ごと使うことで生ごみの削減にもつなげており、爽やかな風味を生かしながら食品ロスについて考えられる一品に仕上げられていました。

入賞|エントリーNo2チーム「Re:Peach リ・ピーチ ~紅茶薫る秋のムース~」

入賞作品の「Re:Peach リ・ピーチ ~紅茶薫る秋のムース~」では、桃の皮や種を一緒に煮出して風味を引き出したほか、泉州地域の特産品「包近の桃」に加え、酒かすや抽出後の茶葉も活用しています。食品ロス削減だけでなく、地域の食材を生かす工夫も盛り込まれており、アイデアあふれるスイーツとして高い評価を受けました。

3作品はいずれも、「捨てるはずだったもの」を「新しいおいしさ」へと変える柔軟な発想が光るものばかりでした。食品ロス削減は難しいことではなく、食材を少し工夫して使い切ることから始められる――そんな気づきを与えてくれる受賞作品がそろっていました。

一日限りで終わらない――未来につながる食品ロス削減の取り組みへ

「エコレシピNo.1グランプリ」は、受賞作品を決めて終わるイベントではありません。食材を無駄なく使う工夫やアイデアを学生たちが形にし、それを中学生が実際に味わいながら学ぶことで、食品ロスをより身近な問題として考えるきっかけづくりを目指しています。

当日審査に参加した中学生からは、「どれもおいしく、それぞれに工夫があった」「野菜を使ったスイーツは合わないと思っていたけれど、おいしく食べることができた」などの感想が寄せられました。味を楽しむだけでなく、「食材を最後まで使い切る」という考え方に触れたことで、食品ロスへの見方が少し変わった参加者も多かったのではないでしょうか。学生にとっても、自分たちのアイデアを実際に多くの人へ届け、評価してもらえる貴重な経験となりました。

泉大津市では、食品ロス削減をはじめとした環境問題について、市民や子どもたちが楽しみながら学べる取り組みを進めています。また、今回提案されたレシピは、8月下旬に開催される「学生レストラン」での提供や、11月下旬に開催予定の「スポGOMI大会」での出張販売などを通じて、市民が実際に味わえる機会へとつなげていく予定です。食品ロスだけでなく、身近な環境問題を自分ごととして考える機会が広がっていることも、このイベントの魅力の一つです。

食品ロスは、日々の買い物や料理を少し工夫することで減らしていける身近な課題です。学生たちの柔軟な発想や、中学生の率直な反応から生まれた今回のグランプリは、「もったいない」を「おいしい」へと変えるアイデアが、多くの人へ広がるきっかけとなりました。こうした一つひとつの取り組みが、未来の暮らしや地域づくりにつながっていくのではないでしょうか。

「おいしい」の先にある、未来への一歩

「エコレシピNo.1グランプリ」は、スイーツづくりを通して食品ロスについて考える、泉大津市ならではのユニークな取り組みでした。学生たちが食材を無駄なく活用するアイデアを形にし、中学生が実際に味わいながら評価することで、「食品ロス」という社会課題を楽しみながら学べる機会が生まれています。

今回紹介した受賞作品からも分かるように、食品ロス削減は特別なことではなく、食材を最後まで大切に使おうという小さな工夫から始められます。イベントをきっかけに、「普段は捨ててしまう部分も活用できるかもしれない」と考える人が一人でも増えれば、その積み重ねが食品ロス削減につながっていくでしょう。

泉大津市では、このように身近なテーマを通じて、食品ロス削減を特別な取組としてではなく、日々の暮らしの中でできる身近な行動として、市民に広げていくことをめざしています。今回のグランプリも、学生や中学生、市民が世代を超えて学び合い、行動へのきっかけになるイベントでした。今後もこうした活動が広がり、地域全体で「もったいない」を「おいしい」へ変える取り組みがさらに発展していくことに期待したいですね。


泉大津市 概要

泉大津市は大阪府南部に位置し、大阪湾に面した自然と都市機能のバランスが取れたまちです。市内は平坦な地形で移動しやすく、スーパーや医療機関、公共施設など生活に必要な施設がコンパクトに集まっているほか、大阪市内へ約20分でアクセスできる利便性も魅力です。
「あたらしいがあるらしい 泉大津」をブランドメッセージに掲げ、食品ロス削減をはじめ、環境や健康、教育など幅広い分野で全国のモデルとなるような先進的な取り組みを積極的に進めています。

公式サイト:https://www.city.izumiotsu.lg.jp/

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