イオンモール爆発事故「あのとき、何が起きていたのか?」199テナントの運営会社に独自アンケート マニュアルを認識していなかった会社も【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-08-14 14:14

地震のあとに大規模な爆発事故が起きたイオンモール熊本。JNNが、出店する199のテナントの運営会社にアンケートを行った結果、イオン側の災害時のマニュアルを認識していなかった会社が複数あったことがわかりました。

【写真を見る】“再入館マニュアル”共有は?【JNNアンケート調査】

199テナントの運営会社にアンケート イオンモール熊本で何が

爆発事故によってテナントの従業員7人が死亡したイオンモール熊本。

JNNがテナントの運営会社に独自でアンケート調査をしたところ、イオン側が現場で災害マニュアルとは異なる判断を伝えていたとみられることがわかりました。

爆発が起きたイオンモール熊本の内部に13日、警察・消防・経済産業省が調査に入りました。事故の原因についてこれまで経産省は、「LPガス爆発の可能性が高い」と発表していて、13日は館内のガスの配管をたどりながらガス漏れが起きた場所などを調べたということです。

イオンによりますと、爆発が起きたのは地震発生の約1時間20分後。この間、テナントの従業員たちは建物内へ戻り、爆発に巻き込まれたとみられています。

当時、現場で何が起きていたのか。

イオンモール熊本には約200の専門店などが出店。JNNは独自でアンケート調査を行い、このうち130のテナントの運営会社から回答を得ました。

各社に地震発生後の動きやイオン側の対応について尋ねると…

飲食店運営会社
「イオンモールでは年2回の避難訓練を実施しており、避難=屋外駐車場へ移動という認識が従業員にも浸透していたため落ち着いて避難することができました」

眼鏡店運営会社
「イオンモール熊本の警備スタッフと思われる方が施設内への入場を控えるような呼び掛けをしていた」

こうした声の通り、イオンの災害マニュアルでは震度5以上の地震が起きた場合、“避難後は館内に戻らない”ことを定めています。

しかし、イオンは11日、テナント従業員らの一時的な再入館を認めていたと発表。

JNNのアンケート調査によると、地震発生後、一部ではこのようなやりとりがあったといいます。

飲食店運営会社
「貴重品置き場が2階にあり、車の鍵などを取りに行かないと帰れない。そのあたりの対応は言われていなかったので警備員に聞いたら通してもらえたとのことです」

“再入館” 閉じ込められた従業員 イオンモール爆発事故

混乱が続く中、判断された「一時入館」。当時の状況についてテナントの従業員に話を聞きました。  

「一度避難したら中には入らない」というイオンのマニュアルの存在を知っていましたが…

テナント従業員
「(イオン側の)事務所の人が出入り口に来られて、『中にお店のレジ金とか貴重品とかあれば今すぐ取りに行ってもここに戻ってきてください』という声かけあった」

地震発生からおよそ30分後の午後5時ごろ、イオンモールの関係者から再入館に関する声かけがあり、他の従業員含め15人ほどが中に入ったといいます。

働いていた店に戻り、レジに入っていた現金のほか自分の貴重品を回収。

テナント従業員
「館内に戻ってレジ金とかを取ってる時に何か臭うなとは思っていた」

その後、出口へ向かいましたが、なぜかロックされ出ることができませんでした。次に向かったのは避難口。ここは防火シャッターがおりていました。

テナント従業員
「中に(人が)入らないように事務所関係者や防災センターの人が一つずつ出入り口を閉めてたんだと思う」

その後、閉じ込められた他の従業員と合流。別の出口へと向かいますが、この時、店で片付けなどをする人もいたといいます。

施設の中央の出口に到着すると…

男性従業員は爆発したエリアの反対側にいて無事でした。爆風で壊れた場所から外に出ることができたといいます。  

テナント従業員
「数十秒遅かったらまだこの辺りを爆発すると思わず歩いて逃げているので、この辺りにいたら一緒に巻き込まれていたかもしれない」

“再入館マニュアル”認識は? イオンモール熊本“アンケート調査”

藤森祥平キャスター:
JNNのアンケート調査では、地震発生前に“再入館”のルールなどを定めたマニュアルについてイオン側から説明があったのかも聞きました。

「店舗スタッフらが参加する避難訓練などで確認されていた」という内容の回答が複数寄せられた一方で、
▼印鑑店運営会社「会社にはマニュアルのようなものはいただいていない」
▼アパレル店運営会社「マニュアルの実物は見たことはない」
など、5つのテナント運営会社がイオン側のマニュアルを認識していなかったことがわかりました。

イオンはJNNの取材に対し、「店舗の担当者にはマニュアルを渡していたが運営会社には共有しておらず、契約時に『災害時に関する規則』を渡していた。マニュアルのあり方を見直していきたい」としています。

小川彩佳キャスター:
「避難後は館内に戻らない」というルールを知っていた従業員も現場で再入館を認められ、戻っていました。マニュアルがあっても実際の現場では、別の判断が出てしまったケースもあったようです。経営者として従業員を守るためにマニュアルやルールを機能させるには、どうしたらいいのでしょうか?

Podcastプロデューサー 野村高文さん:
マニュアルやルールの整備は必要ですが、緊急時にそれが実際の行動に結びつくかはまた別の問題です。そこで何より重要なのが日々の訓練の積み重ねです。

ビジネスの現場ではメリットとデメリットを天秤にかけて判断することが求められますが、命に関わる場面においては、確実に「安全な選択」をすることにつきると思います。この意識を、経営陣やマネージャーだけでなく、現場のスタッフ全員が徹底して共有しておくことが非常に重要です。

藤森キャスター:
今回のアンケート調査では、事故の教訓として今後の対策についても聞きました。

例えば貴重品について、
▼小売店運営会社「持ち運べるようにまとめておく」
▼靴販売店運営会社「保持したままの勤務も視野に入れる」
といった回答が寄せられました。

イオン側も「従業員が勤務時に貴重品を携帯できるようルールを変更する」としています。

小川キャスター:
今回の事故から、多くのことを学び取らなければなりません。どのような教訓を受け取るべきでしょうか。

野村高文さん:
非常時には「正常性バイアス」という心理が働きがちです。人間は非常時に「大丈夫かもしれない」という方向に考えて行動しやすくなっています。

こうした特性があることを理解した上で、「命に関わる場面では、少しでも危険だと感じたら迷わず安全な行動をとる」という原則を認識する必要があると思います。

==========
<プロフィール>

野村高文
Podcast制作会社の代表 経営者への取材多数
外資系ファームでコンサルタントの経験も

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