紅茶が科学の教材に!?十文字学園女子大学が届けた、子どもたちの「なぜ?」を育む食育体験
いつも何気なく飲んでいる紅茶も、見方を少し変えると、子どもたちの「なぜ?」を引き出す科学の教材になります。
2026年7月30日、東京都杉並区の科学体験施設「IMAGINUS(イマジナス)」で、十文字学園女子大学 食物栄養学科 中岡ゼミによる食育ワークショップ「ひんやり♡ティーマジック実験室 〜きらきらスイーツと紅茶のふしぎ〜」が開催されました。株式会社ルピシアの協力のもと、子どもたちは紅茶の色や香り、温度による変化を確かめたり、スイーツ作りを楽しんだりしながら、身近な「食」に隠れた科学の不思議に触れました。
先生役を務めたのは、日頃から「食」について学んでいる大学生たちです。子どもたちにとって新しい発見の場となる一方、学生にとっても学んできた知識を実践につなげる機会となった今回のワークショップ。紅茶とスイーツから広がった、夏休みの学びの様子を紹介します。
紅茶が“科学の教材”に!?「ひんやり♡ティーマジック実験室」を開催

科学体験施設「未来をつくる杉並サイエンスラボ IMAGINUS」で開催された「ひんやり♡ティーマジック実験室 〜きらきらスイーツと紅茶のふしぎ〜」では、十文字学園女子大学 人間生活学部 食物栄養学科 中岡ゼミの学生が講師を務めました。株式会社ルピシアの協力のもと、子どもたちが身近な「食」を科学の視点から学ぶワークショップが行われました。
テーマとなったのは、夏にも親しみやすいアイスティーとスイーツです。紅茶は、蒸らす時間や温度、加えるものによって色や香り、味わいが変化します。普段は何気なく飲んでいる一杯にも、実はたくさんの「なぜ?」が隠れています。そんな身近な変化を自分の目や鼻、舌で確かめながら、難しい科学を体験として楽しめるよう工夫されているのが、このワークショップの大きな特徴です。
企画の背景にあるのは、地域社会との連携と「食」を通じた教育支援です。子どもたちに「食」に隠れた科学のおもしろさを届けると同時に、大学で専門的に学ぶ学生たちが、その知識を実際の場で伝える機会にもなっています。子どもたちにとっては大学生との交流を通して科学への興味を広げる場となり、学生にとっては日頃の学びを実践へつなげる場となりました。
では、紅茶とスイーツにはどんな不思議が隠れているのでしょうか。当日は「わたしの紅茶研究ノート」を手にした子どもたちが、学生たちのサポートを受けながら、五感を使った7つのミッションに挑戦しました。
見て、香って、味わって。7つのミッションで紅茶の不思議を発見

当日、子どもたちは「科学者」として、「わたしの紅茶研究ノート」を手に7つのミッションに挑戦しました。最初のミッションは、5種類の茶葉の香りを比べること。同じ「お茶」でも種類によって香りが異なることを、実際に確かめていきます。さらに、紅茶を1分・3分・5分と時間を変えて抽出し、色や味の違いも観察しました。
続いて登場したのが、アイスティーならではの不思議です。温かい紅茶を氷で急激に冷やすと、透き通っていた紅茶が白く濁る「クリームダウン」という現象が起こることがあります。さらに、紅茶にミルクやレモンを加え、色や味がどのように変化するのかも実験。普段ならそのまま飲んでしまう一杯の紅茶も、「どうして変わったんだろう?」と意識して観察すると、身近な科学の教材へと姿を変えていきます。

紅茶の実験だけではありません。バタフライピーを使った「マジックゼリー」では、レモンシロップをかけることで色が変化する様子を観察しました。そのゼリーを使って、子どもたちは「オリジナルきらきらミニパフェ」作りにも挑戦。最後には、数種類のお茶とスイーツを自由に組み合わせる「プチペアリング」も行われ、自分なりの相性を探りました。
香りを比べ、色の変化を見つめ、味わって確かめる。難しい言葉を覚えることから始めるのではなく、まず自分の五感を使って「違い」を発見するのが今回の実験のおもしろいところです。紅茶やスイーツという身近な存在だからこそ、科学をぐっと近くに感じられる時間になったのではないでしょうか。
「家でもやってみたい!」体験の先に広がった子どもたちの好奇心

実際に自分で香りを確かめたり、色の変化を観察したりする体験は、子どもたちの新たな興味にもつながったようです。参加した子どもからは、「色々な変化についての名前などを知れて、興味深かったです。また聞きたいです」といった声が寄せられました。
保護者からも、「普段はできないような体験ができて、とてもよかったです」「紅茶を蒸らす時間や急冷で味や色が変わることを初めて知りました。家でもやってみたいです」といった感想が寄せられています。ワークショップの中だけで完結するのではなく、体験したことをきっかけに、家庭でも試してみたいと思えるところに、今回の取り組みのおもしろさが感じられます。
また、子どもたちが手にした「わたしの紅茶研究ノート」は、その場で発見したことや感じたことを書き込めるだけでなく、自宅での復習や発展にも活用できるよう用意されたものです。夏休みの自由研究にもつなげられるため、「楽しかった」で終わらず、一人ひとりが自分なりの疑問をさらに掘り下げていくきっかけにもなります。
身近な食べ物に「どうして?」と目を向けてみると、いつものキッチンにもまだ知らない不思議が隠れているのかもしれません。今回生まれた小さな発見や驚きが、子どもたちにとって科学や食への興味をさらに広げる一歩になっていきそうです。
子どもに伝えることも学生の学びに。中岡ゼミが届ける「食育×科学」

今回のワークショップでもう一つ注目したいのが、子どもたちをサポートした十文字学園女子大学の学生たちです。講師を務めたのは、人間生活学部 食物栄養学科の応用栄養学研究室(中岡ゼミ)で学ぶ学生たち。各テーブルで実験やスイーツ作りを支えながら、大学で身につけた知識を子どもたちに分かりやすく伝える役割を担いました。
食物栄養学科では、高度な専門知識と豊かな人間性を備えた管理栄養士の養成を目指しています。その学びは大学の教室だけにとどまりません。各研究室では地域社会や企業と連携した学外活動にも積極的に取り組み、学生たちは食育イベントの企画・運営やレシピ開発などを通して、専門職に求められる実践力やコミュニケーション能力を磨いています。
今回、学生たちは参加者をサポートするだけでなく、ワークショップで使用するスイーツの企画や試作にも携わりました。自分たちが学んできた「食」の知識を、初めて触れる子どもにも伝わる形へ置き換えて届ける。そこには、教科書や講義だけでは得られない学びがありそうです。子どもたちにとって大学生との交流が科学への興味を深める機会になる一方、学生にとっても学びを実践につなげる場となっています。
子どもたちの「なぜ?」に寄り添いながら、学生自身も経験を積み重ねていく。地域や企業とつながり、大学で得た知識を社会へ届けていく中岡ゼミの取り組みからは、食育イベントのその先にある、学びの広がりも感じられます。
科学はキッチンの中にある――「食」から広がる学びをこれからも

紅茶を冷やすと見た目が変わる。レモンを加えると、また違った変化が生まれる。普段は何気なく口にしている食べ物や飲み物も、「なぜだろう?」という視点で見つめてみれば、身近な科学の入り口になります。
「ひんやり♡ティーマジック実験室」で子どもたちが体験したのも、そんな日常の中に隠れている不思議でした。自分の目で見て、香りを確かめ、味わって、気づいたことを研究ノートに書き留める。その一つひとつの体験が、「もっと知りたい」「自分でも試してみたい」という次の好奇心へつながっていきます。
そして、その好奇心に寄り添ったのが、日頃から「食」を学んでいる大学生たちでした。大学で得た知識を地域の子どもたちへ届け、子どもたちの反応から学生自身も学んでいく。大学、科学体験施設、企業がそれぞれの強みを持ち寄った今回の取り組みは、食育だけでなく、人と人との交流から生まれる学びの形も感じさせてくれます。
中岡ゼミでは、これからも「食」を入り口に、科学を楽しく学べる活動を続けていくとしています。キッチンにある身近な「なぜ?」から始まった小さな発見が、いつか大きな興味へと育っていく。そんな学びのきっかけが、これからもさまざまな場所へ広がっていくことを期待したいですね。
素材提供:十文字学園女子大学
十文字学園女子大学 概要

十文字学園女子大学は、埼玉県新座市にキャンパスを構える女子大学です。今回のワークショップを担当した人間生活学部 食物栄養学科では、専門知識と豊かな人間性を備えた管理栄養士の養成を目指しています。研究室では地域社会や企業と連携した学外活動にも取り組み、食育イベントの企画・運営やレシピ開発などを通して、学生が専門的な学びを実践へつなげています。