“遠隔操作で奪い合う命” ウクライナ侵攻が変えた戦争の姿 戦況を変える「地上ロボット」投入で最前線の現場は…【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-08-18 12:57

侵攻開始から5度目の夏。最前線には、無人の最新兵器が次々と投入され“戦争の形”が大きく変わりつつあります。

【写真で見る】遠隔操作で動く「地上ロボット」

張り巡らされた「ドローンネット」 戦況を変える「地上ロボット」

夏を迎えたウクライナ。今年も国を象徴するヒマワリが咲き誇りました。そこから車で1時間あまり…

記者
「前線に近づいてきたので、このように道路にロシアのドローンの侵入を防ぐためのネットが張られているんです。トンネルのようにネットがずっと先まで張られているんです」

ウクライナではいま、「ドローンよけ」のネットが合わせて1000km以上にわたり張り巡らされています。

この「ネット」から外れ、標的となったガソリンスタンドには、破壊・爆破された車がそのまま残っています。

ロシア軍は2025年からドローンによる攻撃を急速に拡大。毎月、平均5000機を超えるドローンを発射しています。

対するウクライナも、新たな戦い方で戦況を変えつつあります。

それが、遠隔操作で動く「地上ロボット」。

攻撃機能を兼ね備えたものから、戦死した兵士の遺体を運ぶものまで、様々な任務を無人でこなします。

ウクライナ軍が公開した映像には、「地上ロボット」に降伏するロシア軍兵士の姿も…

2026年4月、ウクライナのゼレンスキー大統領は歩兵を投入せず、地上ロボットやドローンだけでロシアの陣地を制圧したと表明。歩兵を投入することなく、大きく戦況を変えたのです。

カギを握る「地上ロボット」は、どのようにして操作されているのか。ウクライナ軍の案内で、極秘施設へと向かいました。

『戦場』が『実験場』に 地上ロボット投入で最前線は…

兵士
「携帯電話の電源を消して」

記者
「今から軍の施設に向かうので、ここから先は極秘ということで、場所の詳細がGPSなどで拾われないように、携帯の電源を落としていきます」

到着したのは、静かな村の中。民家の門をくぐった先に、地上ロボットのコントロールセンターがありました。

窓もある、ごく普通の民家の一室。 オペレーターはTシャツ姿でゲームチェアに座り、まるで本当のゲームをしているようにも見えます。

彼らは、世界初にして最先端とされるウクライナ軍の「無人システム部隊」。

この日、兵士たちは、前線の基地に燃料や食糧を運ぶミッションにあたっていました。

目的地まで約20km。

操縦士
「荷物を積みすぎて、コントロールが難しい」

ロボットが進んでいるのは、「kill zone(キルゾーン)」。ドローンが飛び交う危険地帯です。

記者
「車が焼け焦げているのが見えます。車ですよね?それすらも分からないくらい…」

さらに、戦禍の街に暮らし続ける人の姿が。ロボットに慣れているのか、見向きもせずに脇を通り抜けていきました。

任務開始から約3時間。前線の基地に燃料と食糧を送り届けることができました。

これも実戦に投入されている「地上ロボット」。300kgの荷物も運ぶことができますが、その操作は…

記者
「本当にシンプルな作りになっていて動かしたい方向に、左右、上下に動かすと。そういった作りになっています」
「かなりスムーズに動かせます」

「地上ロボット」は、今やウクライナの戦場で欠かせない存在となっています。

後方の整備拠点は、前線で使われたロボットが戻ってくる場所です。実戦で得たデータをもとに、日々改良が繰り返されています。

地上ロボットの操縦士
「前線で新しいことを試してみて、『こっちの方がいい』『こっちの方が信頼できる』と判断したら、たいてい1~2日で改良できます」

「戦場」がロボットを進化させる「実験場」になっているのです。

変わる戦争の姿 “遠隔操作で奪い合う命”

部隊の大隊長は、「ロボットの進化こそが人の命を守る」と強調します。

無人システム部隊 大隊長
「失った命は取り戻すことができません。鉄は買ったり作ったりできますが、人間はそうはいかない」
「私たちの任務はここで生き残り、敵と戦うことなのです」

一方で、遠隔操作の「無人機」は多くの命も奪ってきました。

侵攻開始以来、両軍の死者は合わせて57万人以上(7月1日時点)。現在では、死傷者の7割がドローン攻撃によるものだとされています。

2025年、ドローン攻撃を受けた元兵士のバシリさん。右足と右手の指を失いました。

元兵士 バシリさん
「激しい砲撃の中で敵のドローンの接近音に気付くこともできず、反応する時間もありませんでした」

見せてくれたのは、身体から取り出したドローンの破片。

細かい破片をすべて取り除くのは難しく、いまも顔や目の中に残っているそうです。

元兵士 バシリさん
「これも破片で、そのほとんどは一生残ると思います」
「針で刺すような痛みに似ています」
「技術が進化しているので、逃げるのは非常に難しいです」

戦場に身を置かず、離れた場所から命を奪い合う。

5度目の夏を迎えたウクライナとロシアの戦いで、戦争の姿が変わろうとしています。

「無人兵器」で変わる安全保障 日本への影響は…

小川彩佳キャスター:
これが現代の戦争の姿です。こうしたところにさらにAIが入り込んでいき、より戦争の姿を加速度的に変えていくわけですが、日本にはどのような影響が出てくるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
日本にとっても他人事ではないです。ウクライナがドローン攻撃をして、ロシアがそれに対抗して、大量のドローンが飛び交っています。

ロシアには北朝鮮の兵隊が、1万人とも3万人とも言われる数が派遣されており、その兵隊がドローンやAIといったロシアの最新技術を習得して北朝鮮に戻るため、北朝鮮の装備がものすごく高度化していきます。

これは日本にとって非常に大きな脅威になるので、日本がこの北朝鮮に対してどう向き合うかという問題が投げかけられてきています。

そういう意味では、ウクライナ問題は非常に深刻に波及していると言えると思います。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身

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