「人が水の中にいるのが見えて…」 ハザードマップの「浸水想定区域外」で起きた冠水被害で1人が亡くなった現場を取材 千葉豪雨から1週間【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-08-21 14:46

千葉県を襲った記録的豪雨から1週間。被災地では今も、片付け作業が続いています。13人の命が奪われた今回の豪雨。ハザードマップの「想定区域外」でも浸水が起き、1人が亡くなっていたことがわかりました。

【写真で見る】千葉豪雨から1週間 今も残る爪痕

記録的豪雨から1週間 床上・床下浸水 3500棟超え

20日、空から被災地の様子を見ると、道路上に残されている車や崩落した道路が確認できました。

千葉県によりますと、これまでに確認された住宅被害は全壊が3棟、半壊が135棟のほか、床上・床下浸水は計3500棟を超えています。

大網白里市では災害廃棄物が積み上がっていて、片付けは一向に終わらないようです。

創業100年を超える市原市の理容室。水はドアの半分ほどの高さまで押し寄せました。
電動のイスやレジが壊れたといいますが、大切な商売道具も…

へあーさろんあべ 阿部和江さん(78)
「ハサミとかなんですが、みんな浸かっちゃったから」

2週間後の再開を目指し、片付けに追われる日々ですが、中にはこんな大切なものも…

へあーさろんあべ 阿部さん
「お客さんがくださったやつ(植物)だから、枯らしちゃ悪いじゃないですか」

Q.よく来られる方もいると思うが?
「頑張って早めに再開できるといいね。ごめんねーって謝ってる」

市原市の住宅街で13日に撮影された映像では、道路は川のようになっていて、斜面からも水が流れ続けています。斜面からの水は翌朝になっても止まらずフェンスは傾き、塀が崩れています。

撮影した住民によると、斜面の上にあるゴルフ場の池から水があふれ、大量の土砂が流れ出たといいます。

近隣住民
「2~3日土砂が流れ続けまして、これくらい(腰)までの高さまで土砂が積もってしまった」

「浸水想定区域外」で男性死亡 「背丈くらいまで水」ハザードマップの“想定超える”雨

冠水被害などで、これまでに13人が死亡、1人が行方不明になっている千葉県。

佐倉市では当時、1時間に最大97ミリの猛烈な雨が降り、上志津地区では、車が半分以上沈むほどの高さにまで水が押し寄せ、車の上に避難する人もいました。

鹿島川周辺のハザードマップを見ると、洪水や内水での「浸水想定区域」となっていて、色で危険性が示されています。

しかし、上志津地区は、ほとんどのエリアが「浸水想定区域」に入っていませんでした。

町を襲った“想定を超える”雨によって、「浸水想定区域外」の上志津地区の路上で、13日の午後10時ごろ男性が倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認されました。

当時の状況について…

近隣に住む男性
「外は(水位)2メートルいかないくらい。自分の背丈くらいまできていました」

男性が自宅の2階から撮影した写真では、カーブミラーの支柱がほとんど隠れてしまうほど
水位が上がっていたことがわかります。その後、自宅のすぐそばで...

近隣に住む男性
「水位が下がってきたときに、人が水の中にいるっぽいのが見えて、消防隊の人が入ってきた。生きててほしいなと思いながら見ていたんですけど。ここ坂が3つあって谷底みたいな感じなので、水がすごい高かったのかな」

地形的に水が集まりやすい場所でも、浸水想定区域に指定されていなかったことについて…

近隣に住む男性
「ハザードマップを正確にしてほしい気持ちはあるが、最近異常気象とかも増えてなかなか予測できないと思うので、できるかぎり頑張ってほしい」

住民の中には、不安を口にする人もいました。

近隣住民
「気づいてからはあっという間で、10~20分くらいで(自宅が)浸水したので何もできず。(ハザードマップは)信じられないですよね。ハザードマップだけを頼るのもどうかと思いますが、きちんと調べて正しい情報が欲しい」

“想定区域外”の病院にも水が流入で機能停止

一方、千葉市でも、想定区域外で浸水が起きていました。

敷地の東側の一部を除いて、浸水想定区域外となっている山王病院。

豪雨により、一気に地下に水が流入。地下にあった電気設備が全て水没しました。

山王病院 谷嶋隆之 院長
「電力と水道関係も全部、ライフラインがダメになった」
「入院患者は停電時点で130人を超えていたが、近隣の施設へ転院搬送をやっていただいた」

病院によると、想定以上の雨で、地下の排水設備では追いつかずに停電したということです。

9月初旬の診療再開をめざして、復旧作業を行っています。

救助活動にも影響 道路の冠水で消防車が“足止め”

各地を襲った“想定を超える”雨。救助活動にも影響が出ていました。

市川市に住む男性が目撃したのは…

近隣住民
「“誰かが道路上で倒れている”という連絡が来たんです。一緒に見に行ったら確かに男の人が倒れていた」

倒れていたのは、近所に住む顔見知りの男性でした。すぐに救助を要請したものの…

近隣住民
「水が逆流してたんです。消防車も救急隊も、途中の道路が冠水して近くまで来られない。救急隊員が2人して担架を持ってみえて、ようやく担架に乗せて近くの病院に運んだ」

その後、男性の死亡が確認されたということです。

近隣住民
「非常に元気な方でしてね。まさか人が、水のせいで倒れるなんて考えもしなかった」

千葉豪雨 5割超の被害レポートは“区域外” 身を守るためには?

藤森祥平キャスター:
“想定を超える”雨にどのような備えができるのでしょうか。

千葉市が発表しているハザードマップでは、洪水や内水氾濫が想定されるエリアをピンクや黄色、赤などで示しています。

今回の豪雨では、千葉県警本部や蘇我駅など、黄色く示されていた想定区域で冠水が発生しました。

一方で、山王病院や千葉大学医学部附属病院は一部黄色のエリアではあるものの、想定されていなかったエリアで地下浸水の被害が発生しました。 

小川彩佳キャスター:
ハザードマップで色が塗られていない場所であれば安心する人が多いかと思います。しかし、今回はそうした色が塗られていない場所でも被害が広がったということです。

教育経済学者 中室牧子さん:
ウェザーニュースが約2万件の被害レポートを集計したところ、55.7%が浸水想定区域外からだということです。

ハザードマップで色が塗られていない場所は安全だと思いがちですが、安全を保証するものではないと認識を改める必要があります。 

藤森キャスター:
国土交通省は市区町村に対し、内水氾濫のハザードマップ作成を義務付けていますが、対象のうち公表している自治体は約17%にとどまっています。

調査に予算が必要なことや、専門知識を持つ人材が不足しているという課題もあるということです。 

教育経済学者 中室さん:
最近の経済学の研究では、衛星データを使って経済活動を予測する研究が行われています。

例えば、大きなショッピングモールの駐車場にある車の台数などを衛星データで把握して、GDPを予測するという研究が注目されていて、精度も上がっています。

日本の自治体の法定ハザードマップでは、衛星データや機械学習による予測が標準になっているわけではありませんが、将来的にはそうした技術を使うことも検討していかなければならないのかもしれません。

小川キャスター:
千葉・佐倉市では、内水ハザードマップを公表していたにもかかわらず、想定区域内で浸水が発生し1人が亡くなりました。

市の担当者は「排水のための施設整備などには時間がかかる。今回のような雨では、外を歩かず、身の安全を確保してほしい」としています。

一人ひとりが危機意識を持つことが大切になりそうです。

==========
<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」

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