羽田空港で広がるWHILL自動運転、他社製ロボットとも「譲り合う」協調走行へ
空港内で搭乗口までの距離が長く、移動に負担を感じた経験がある方もいるのではないでしょうか。WHILL株式会社が展開する「WHILL自動運転サービス」は、1人乗りのモビリティに乗ったまま、空港内の目的地まで自動走行で移動できるサービスです。
羽田空港では2020年から導入されており、2026年9月1日からは第1ターミナル北側サテライト施設まで運行エリアを拡大。新設される24〜29番搭乗口付近まで移動できるようになり、長距離の歩行や体力に不安がある方、高齢の方などの移動負担軽減につながることが期待されます。
さらに今回注目したいのが、WHILL同士だけでなく、他社製の自動走行ロボットとも道を譲り合いながら走行できる仕組みが整えられたことです。空港という多くの人や機器が行き交う場所で、自動運転モビリティはどのように活用されているのでしょうか。サービスの仕組みや今回の運行エリア拡大、協調走行の取り組みについて紹介します。
羽田空港でWHILL自動運転サービスの運行エリアが拡大
羽田空港第1ターミナルでは、2026年9月1日からWHILL自動運転サービスの運行エリアが北側サテライト施設まで拡大します。同日に供用が始まる新たなエリアにも対応し、これまでの搭乗口に加えて、新設される24〜29番搭乗口付近までWHILLに乗って移動できるようになります。
第1ターミナルでは12台のWHILLが運用されており、利用時間は8:00〜20:00です。保安検査場付近にはステーションA〜Dの4カ所の乗り場が設けられ、乗車後に利用者が目的の搭乗口を選択すると、そこまで自動走行で移動します。料金は無料で、事前予約には対応していません。
利用できるのは基本的にすべての方ですが、安全上の理由から身長140cm未満の方や体重136kg以上の方、一部の医療機器を使用している方などには利用を控えるよう案内されています。
今回のエリア拡大によって、第1ターミナル国内線で利用されるほぼすべての搭乗口付近がWHILLによる移動の対象となります。空港内で長い距離を歩くことに不安がある方や高齢の方など、さまざまな利用者の移動を支える選択肢がさらに広がることになります。
空港内を自動で移動する「WHILL自動運転サービス」とは

WHILL自動運転サービスは、1人乗りのモビリティ「WHILL(ウィル)」に乗り、広い施設内の目的地まで自動走行で移動できるサービスです。利用者が目的地を選ぶと自動で走行し、到着して利用者が降りた後は、無人のまま元の場所へ戻ります。
自動走行には、あらかじめ収集した施設内の地図情報と、周囲の状況を検知するセンサーが活用されています。走行中は人や障害物などが行き交う状況に合わせて、交差や回避、減速、必要に応じた一時停止を行いながら目的地を目指します。
羽田空港では2020年に導入され、現在は第1・第2ターミナルの国内線全域と第3ターミナルで30台以上が稼働しています。利用回数は月平均1万回前後にのぼり、国内では羽田空港や成田国際空港をはじめとする主要5空港に導入されているほか、ロサンゼルス空港やバルセロナ空港など海外の空港にも広がっています。
広い空港内を自分で操作することなく目的地まで移動できる仕組みは、長距離の歩行が難しい方や移動に不安を感じる方を支える手段のひとつです。すでに国内外のハブ空港を中心に約30拠点で採用されており、自動運転技術を実際の移動支援に活用する取り組みが各地で進められています。
他社製ロボットとも「譲り合う」協調走行へ

羽田空港のように多くの人や機器が行き交う場所では、複数の自動走行モビリティが同時に動くこともあります。WHILLではこれまで、機体同士が安全に行き交えるよう「協調群管理」と呼ばれる仕組みを活用し、それぞれの動きを調整してきました。
走行中に別の機体と接近した場合には、交差や回避、減速、必要に応じた一時停止などを行います。複数のWHILLが同じ空間を走っていても、周囲の状況に合わせながら目的地まで移動できるよう制御されているのが特徴です。
今回の運行エリア拡大に合わせ、この仕組みの一部が他社製の自動走行ロボットにも広げられました。これにより、WHILL同士だけでなく、異なるメーカーの自動走行ロボットとも、機体同士がすれ違ったり道を譲り合ったりしながら協調して走行できるようになります。
自動走行する機器が増えていけば、それぞれが単独で安全に走れるだけでなく、同じ空間を利用する機器同士の連携も重要になります。今回の取り組みは、複数の自動走行ロボットを安定して運用できる環境づくりという点でも注目したい動きです。
自動運転モビリティが支える空港のアクセシビリティ

空港は施設が広く、保安検査場を通過してから搭乗口まで長い距離を移動するケースもあります。WHILL自動運転サービスは、こうした空港内の移動をサポートし、長距離の歩行や体力に不安がある方、高齢の方などの負担を軽減する役割も担っています。
こうした取り組みは海外でも評価されています。WHILL自動運転サービスは、歩行が困難な方や移動に不安を抱える方を支援する「PRMサービス」に役立つものとして国際的な評価を受けており、現在では国内外のハブ空港を中心に約30拠点で採用されています。
空港で自動運転モビリティを活用することで、長距離の歩行に不安がある方をはじめ、さまざまな利用者の移動を支えることができます。今回の運行エリア拡大も、より多くの搭乗口へ移動できる環境を整える取り組みのひとつです。
自動運転技術を実際の空港サービスとして運用しながら、利用できる範囲や他のロボットとの連携を広げていく今回の取り組み。移動を支える技術が、空港のインフラの一部としてどのように定着していくのか、今後の展開にも注目です。
自動運転ロボットが共存する空港へ
今回の運行エリア拡大により、羽田空港第1ターミナルでは新設される24〜29番搭乗口付近までWHILLで移動できるようになります。運行範囲が広がることで、長距離の歩行や体力に不安がある方を含め、より幅広い利用者の空港内移動を支えることになります。
さらに注目したいのは、WHILL同士だけでなく、他社製の自動走行ロボットとも協調して走れる仕組みが取り入れられたことです。さまざまな自動走行ロボットが同じ場所で使われるようになれば、それぞれが単独で動くだけでなく、互いの動きを考慮しながら安全に共存できる環境も欠かせません。
2020年の導入から利用範囲を広げ、現在では月平均1万回前後利用されている羽田空港のWHILL自動運転サービス。今回の取り組みは、自動運転技術が実際の移動を支える仕組みとして活用されている一例といえるでしょう。人とさまざまなロボットが行き交う空港で、より快適な移動環境がどのように広がっていくのか、今後も注目したいところです。