「地震が怖くて家に入れない…」夏休みを奪われた子どもたちが見せた成長 宿題が取り出せない中、唯一仕上げた“絵日記”に込めた思い【熊本地震から1か月】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-08-28 21:44

熊本地震から1か月。自宅に住むことができなくなった11歳の男の子の絵日記には、楽しそうなスイカ割りの様子が描かれています。この絵にこめた思いとは?
夏休みを奪われながらも、成長を続ける子ども達の姿を追いました。

【写真を見る】“ムードメーカー”な少年も被災した自宅の前では…

父親が見つけ出し 地震で諦めた誕生日ケーキ 

地震から15日後に4歳の誕生日を迎えたのは、熊本県氷川町に住む古賀美愛ちゃん。

実は、この前日、美愛ちゃんは私たちにこう話していました。

ーー明日で何歳になるの?

美愛ちゃん
「4さい」

ーーケーキ食べないとね?
「でも地震でケーキ買ってこなかった」

震度7を観測した氷川町。家族4人で暮らす美愛ちゃんの自宅は半壊。車中泊を余儀なくされ、“誕生日ケーキ”は諦めざるを得ない状況でした。

それでも「娘の喜ぶ顔が見たい」と、お父さんが、隣町で1店舗だけ営業しているケーキ屋さんを何とか見つけ出し買ってきました。

被災地の少女に生まれた“新たな絆” 出会いのおかげでできたこと

地震直後は余震が続く恐怖から、なかなかお母さんのそばを離れなかった美愛ちゃん。

そんな美愛ちゃんに変化が見え始めたのが、町のお寺・護念寺に通い始めてからでした。

地震の影響で保育園や学童に通えない子どもたちを受け入れているこのお寺。そこで過ごした1か月で驚くことが。

母・小百合さん
「今まで字を書かなかったんですけど、字が書ききれるようになって。小学生のお友達がいっぱいできてから、小学生のお友達と一緒に字書いたんだって」

3歳下の妹・瑠愛ちゃんの似顔絵を囲むように大きく書かれた「だいすき」の文字。不安ばかりの被災生活でみせた成長の証。

美愛ちゃんの小さな心を開いてくれたのは、このお寺で初めて出会ったお姉ちゃん達の存在でした。

地震から23日後、お寺で開かれた夏まつり。美愛ちゃんを見かけると、お姉ちゃん達がすぐに駆け寄ってきてくれます。

11歳
「美愛ちゃん(そうめん)いる?」
「地震のおかげで楽しくなったこともある。美愛ちゃんと地震のおかげで会うことができたから嬉しい」

地震で奪われた夏休み。そんな中で紡いだ子どもたちの新しい絆。

過酷な被災生活だからこそ、“楽しい思い出を作ってほしい”。護念寺ではこの夏、たくさんのイベントが開かれました。

「大人も大変だから 自分にできることを」被災した子どもが抱える“現実”

護念寺 西正樹 副住職
「願わくば地震のことを忘れるくらいの時間を過ごしてもらえれば」

ゲームをしたり、みんなでご飯を食べたり、お寺にはいつも多くの子どもたちの笑顔がありました。

しかし、彼らが抱えている現実は…

護念寺に通う子(11)
「『危険』の紙も貼られたから、もう(家は)住めない。家がなくなって嫌だなっていう気持ちと、早く家が見つかってほしいみたいな気持ちが今ある」

護念寺に通う子(11)
「地震があって、電気とか水も止まって、電気と水のありがたさも分かったし、大人もみんな大変なことしてるの分かっているから、自分にできることやらなきゃいけない」

ムードメーカーの少年「怖かった」 地震の恐怖か?自宅前では座り込み…

幼いながらも現実と向き合おうとする子どもたち。小学5年生の森田翔陽くんもその1人です。

いつも年下の子たちの面倒をみている翔陽くん。天真爛漫でみんなの中心にいるムードメーカーです。

ーー護念寺を一言でいうとどんな場所ですか?

翔陽くん
「夢の国。なかったら最悪の最悪の最悪」

みんなの前ではいつも元気いっぱいの翔陽くん。でも、地震の恐怖からか、自宅を前にすると…思わず座り込んでしまいました。

翔陽くん
「最初怖すぎて動けなかった」

ーー泣いた?
「怖かった」

自宅は中規模半壊。お風呂場に亀裂が入るなど、住むことはできず、現在、家族と避難所で暮らしています。

「地震のこと忘れとった」夏休みの絵日記に描きたかった思い出

それでも、もうすぐ始業式を迎える翔陽くんには心残りがありました。

翔陽くん
「宿題は家に入るのが怖いからできていない状態」

夏休みの宿題の絵日記にどうしても書きたいものがあったのです。

翔陽くん
「花火のこととか、夏休みで楽しかったこと」

“護念寺で過ごした夏”を何か形に残したい。
この日、住職が1枚の白い紙を用意してくれました。すると勢いよく描き始めた翔陽くん。緑や赤の色鉛筆を使って描く絵日記。

翔陽くん
「ねえ、護念寺って漢字書いて」

この夏過ごした大事な居場所、“夢の国”の名前も書いて。

翔陽くん
「これはスイカ割りの絵です。これが楽しい思い出になったからです」

この夏、みんなで笑ったスイカ割り。

ーー地震よりもこっちのほうが記憶として上?

翔陽くん
「うん。地震のこと忘れとった」

つらい地震の記憶をちょっとだけ忘れさせてくれた護念寺。絵日記に描いたのは彼らが懸命に駆け抜けた夏の思い出でした。