シニア猫が発症しやすい『甲状腺機能亢進症』の知識3つ 主な原因や見逃しやすい症状、治療法まで解説
猫は7歳を過ぎた頃からシニア期といわれ、加齢に伴ってさまざまな病気のリスクが高まります。その中でも甲状腺機能亢進症は、10歳以上の猫で多く確認される内分泌疾患のひとつです。食欲があるのに体重が減る、活動量が変化するなど、日常の小さな変化から発見されることがあります。この記事では、甲状腺機能亢進症の原因や症状、診断方法、治療法について解説します。
猫の甲状腺機能亢進症に関する3つの知識

甲状腺機能亢進症は、一般的な疾患とは異なる症状があり、飼い主がこの病気を疑うまでに遠回りをしてしまうことがあります。しかし、早期に発見して治療を始めることで、ある程度症状をコントロールしやすく、健康状態を維持できる可能性が高まります。
早期発見につなげるためには、病気について知っておきましょう。
1.発症の主な原因は?
甲状腺機能亢進症という病気は、喉のあたりにある甲状腺の組織が増えたり、腫瘍ができたりすることによって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、血中に増えてしまうことが主な原因です。
発症要因のひとつとして「加齢」があげられますが、それ以外にも、生活環境内や食べ物に含まれる有害な化学物質との関連を指摘する研究もあります。ただし、これらはあくまでも研究段階で示唆されているだけで、実際の発症の因果関係はまだ証明されていないのが現状です。
2.見逃しやすい初期症状
甲状腺機能亢進症の特徴的な症状は、食欲が大幅に増進する、活動的になるという点です。高齢猫では「食欲が増えた」「元気になった」と良い変化のように見えることから、病気の発見が遅れる場合があります。これは、甲状腺ホルモンが過剰になることで代謝が高まり、消化器や神経の動きが活発になるためです。
一方、食べているにもかかわらず、だんだん体重が減少していくというのも特徴です。病気が進行するにつれて、多飲多尿や夜間に大声で鳴くといった変化も出てきます。性格が少し変わったように感じることもあります。代謝が過剰になり、嘔吐や下痢が生じる場合もあります。
3.重大な合併症のリスク
甲状腺ホルモンの影響で代謝が活発になりすぎると、血液を多く全身に巡らせるために心臓が過剰に働くことで負担が増え、結果的に心筋肥大や心不全につながることがあります。猫によっては、視力低下や失明につながる高血圧を引き起こすこともあります。
また、もともと腎臓が悪かった場合、甲状腺機能亢進症では、腎臓への血流やろ過量が増えることから、検査をしても一時的に腎機能が正常に見えることがあります。この状況で治療をしてホルモンを正常に戻すと、今度は腎臓への血流も戻るため、隠れていた腎機能低下が判明することがあります。
猫の甲状腺機能亢進症の治療法

甲状腺機能亢進症は、血液検査で甲状腺ホルモン値を測定することで診断されます。値が高かった場合は、エコーによる検査と心臓などの状態、その他の内臓疾患の有無を合わせて検討します。
もっとも一般的な治療法は投薬治療です。抗甲状腺薬のチアマゾールは、甲状腺ホルモンによる過剰な代謝状態を抑えるために、毎日継続的に飲ませる必要があります。副作用として食欲低下や嘔吐などが見られることもあります。また、投与を始めてからは定期的な血液検査も必要です。
甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素を制限した療法食もありますが、猫は食の好みがあるため「それだけ」を食べ続けるのが難しい場合があります。ほかのフードやおやつを一切与えないという徹底ができれば療法食も有効です。
薬でコントロールできない場合や根治を望む場合、そのほかの条件が揃っていた場合には、異常な甲状腺組織を取り除く外科手術も検討されます。ただし、術式によって弊害や再発の可能性もあり、甲状腺機能亢進症の猫は高齢なことが多いため、麻酔や手術自体のリスクとメリットをよく確認したうえで判断されます。
いずれの選択も、検査の結果や猫の年齢・状態によって変わりますので、獣医師とよく相談するようにしましょう。
まとめ

甲状腺機能亢進症は、シニア猫で発症することが多い病気ですが、早期に気づいて適切な治療をはじめることができれば、症状を抑えつつ穏やかな生活も期待できます。
シニア猫になるとさまざまな病気のリスクが高くなり、ちょっとした食欲不振や吐き戻しでさえ、不安になりがちです。そのせいか「よく食べるようになった」「元気いっぱいになった」などの変化には、嬉しくなってしまうこともありますが、実はここで病気の知識があるかないかで気づきが変わるのです。
高齢の猫では、定期的な健康診断を受けることも大切ですが、日頃から愛猫の食欲や体重、飲水量、行動の変化をよく観察することも病気の早期発見につながります。猫の一生の半分はシニア期です。注意深く、愛情深く見守っていきましょう。
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