身寄りのない高齢者 2050年には9人に1人に 「75歳過ぎた時に、この先どうしようかと…」改正社会福祉法で変わる“最期の支援”【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-09-03 14:51

「もしもの時に、頼れる親族がいない…」いま、そんな“身寄りのない高齢者”が増えています。2050年には高齢者の9人に1人が身寄りのない状態に。そうなったとき“自分の最期”を誰に支えてもらいたいですか?

【CGを見る】“自分の最期”を誰に支えてもらいたいですか?(NEWS DIGアプリのアンケート結果)

身寄りのない高齢者が急増 死後の手続きも…

この日、大阪市内で葬儀が執り行われました。ただ、参列者の姿はありません。

「頼れる家族がいない」。

こうした「身寄りのない高齢者」が増えています。

この日は参列者のいない葬儀が2件ありました。

葬儀会社「大阪セレモニー」山田泰平社長
「年間で約400件、身寄りのない方のお葬式をさせていただいています」

遺体が保管されている場所に案内してもらうと…

葬儀会社「大阪セレモニー」山田社長
「こちらには、お2人入る保冷施設があります」

Q.身寄りのない方は、どれぐらいの割合でいらっしゃるのですか?

葬儀会社「大阪セレモニー」山田社長
「全員ですね、8名が身寄りのない方です」

保管された6人と、葬儀が執り行われたばかりの2人、合わせて8人全員が身寄りのない高齢者でした。

日本総研の調査によりますと、3親等内の親族がいない高齢者は、2024年時点で286万人いるとされていますが、2050年には448万人に上る見通しです。

将来、高齢者の約9人に1人が身寄りがないことになります。

葬儀代を払う親族もいないため、自身の財産が残っていない場合は原則、自治体が負担しています。

葬儀会社「大阪セレモニー」山田社長
「こういうふうに葬儀しましたと役所に提出して、それと共に請求書も提出する形になります。身寄りのない方でも、誰が面会に来るか分からなくても、綺麗に納棺して尊厳を持って見送るという取り組みはさせていただいています」

こうした中、2026年6月の国会では、身寄りのない高齢者の支援を強化するため、改正社会福祉法などが可決・成立。

改正法では、高齢者や障がい者の見守り活動を行う社会福祉協議会などが、身寄りのない高齢者の生活や、亡くなった後の手続きなどを支援するよう法律で定められました。

お金に余裕がない人に対しては、無料もしくは低い金額で支援し、厚生労働省は2028年6月までの開始を目指しています。

延命治療の確認から買い物まで 身寄りのない高齢者を支える民間企業

大阪市内にある「あかり保証」という会社。

すでに身寄りのない高齢者への支援サービスを提供している民間企業で、弁護士やケアマネジャーの資格を持つ社員が在籍しています。

具体的にどんな支援を行っているのでしょうか?

「あかり保証」砂原仁さん
「こんにちは。あかりの保証の砂原です」

向井義男さん
「暑いところご苦労さんです」

この日、訪れたのは、大阪府茨木市で1人で暮らす向井義男さん(83)の自宅です。

「あかり保証」がまず行ったのは、意思疎通が取れなくなった時の対応の確認です。

「あかり保証」砂原さん
「治療どうしようか、自分で言えない状態になった時にどうしてほしいか。前は、心臓マッサージとかはいらないよと、延命のための人工呼吸器とかもいらないよって言ってました」
「最期を迎えたい場所は家?」

向井義男さん
「自宅で」

「あかり保証」砂原さん
「変わらずですね」

延命措置をするか、自宅で最期を迎えたいか。意向を事前に聞き取り、家族に代わって企業側がサポートします。

意思確認だけでなく、一緒に金融機関を訪れ、お金の管理をサポートしたり、買い物を手伝ったり。

この日もスーパーに同行しました。

「あかり保証」砂原さん
「これ1個でいいですか?」

向井義男さん
「1個でええわ。まだ残ってる」

「あかり保証」砂原さん
「飲み物はこっちですね」

向井義男さん
「あ、そうだ。お茶を買っとかないと」

80歳を超えた向井さんが一人で持つには難しいような2リットルの飲み物など、重い荷物を持つことも手伝います。

「あかり保証」砂原さん
「うちのような事業者に、最期を自分の希望通り迎えられるように依頼される方が増えているという肌感覚はあります」

「死んだらどうすれば」支援に課題も

現在、頼れる家族がいない向井さんですが、元々は妻と息子2人の4人暮らし。妻が亡くなり、息子2人との関係が上手くいかず、20年ほど連絡を取っていません。

趣味のカラオケなどを楽しむ一方、頼れる家族がいないことから、この先に不安を覚えたといいます。

向井義男さん
「75歳過ぎた時に、この先もし亡くなった場合どうしようかと思って。死んでも全部面倒見てくれる会社を探していたら、亡くなったら家の後片付けからお墓まで全部してくれるので、もうあと大丈夫だと。これがなかったらいまだに悩んでるかもしれない」

今後も増えていくとされる身寄りのない高齢者。

社会福祉法などの改正で支援が法制化されたことについて、あかり保証の代表は歓迎する一方、支援する側の人手不足を指摘します。

「あかり保証」清水勇希代表
「特に都市部はこういう事業者がいるけれど、地方に関してはまだまだいなくて、なんとか地域の助け合いで成り立ってるっていうところがあります。法改正が2026年6月にありまして、社会福祉協議会でやってくださいということになったんですけど、まだまだ公的な機関としても人が足りない中、官民が連携してやっていく必要があると思っています」

「9人に1人身寄りなし」試算も、自分の最期どう考える?

小川彩佳キャスター:
皆さんの年代や境遇によって受け止め方は様々だと思いますが、必ず誰しもに訪れる人生の閉じ方のお話です。トラウデンさん、考えたことあります?

トラウデン直美さん:
自分のことはまだ実感できないですけど、親戚だったり、あともし自分に何かあったときに両親はどうするかなとか、これをきっかけに色々と想像してしまいました。小川さんは、いかがですか?

小川キャスター:
やっぱり最初にパッと浮かぶのは子供の顔ですけれども、でも自分の子供の人生を制限する方向には向かって欲しくないなとも思うので。

藤森祥平キャスター:
それは親心ですよね。

トラウデン直美さん:
葛藤のある方もたくさんいるでしょうね。

藤森キャスター:
色々皆さん思うところがある中で、社会全体としてこの人生の最期を支えていけないかという取り組みとして、今回の法改正が行われました。

これまでは家族が担うことが多かった日常の生活、例えば入院時の手続き、それから亡くなった後の葬儀や納骨などを、今度は社会福祉協議会などが支援する仕組みを作るということになりました。

特に経済的に余裕がない方にも無料や低額で支援を受けられるような形を想定しているということで、2028年の6月までの施行を目指しているそうです。

今までは民間の事業者が有償で行ってきた支援のサービスを、2年後までには社会福祉協議会などの非営利組織が実際にサポートしますよということになるんですね。

トラウデン直美さん:
国や行政、協議会などがやってくれるっていうのはとても助かると思いますし、生前の不安感というのが少しでもなくなればいいなと思います。でも、制度はもちろん大事ですけど、それだけではなく、やっぱり人と人とのつながりや社会とのつながりはちゃんと担保しておきたいですね。

藤森キャスター:
できるといいですよね。

この制度が必要になってきた時代背景としては、とにかく親族がいない高齢者がどんどん増えてきて、これには未婚だったり晩婚化が進んでいることが挙げられます。これでは配偶者や子供のいない高齢者は今後も増えますよね。

小川キャスター:
ただ、アメリカの高齢者を調べた研究によると、家族がいれば安心とも限らないようです。未婚の人は家族以外の人と人間関係を長年かけて築いている場合があり、いろんなネットワークを持っている場合があると。

つまり、結婚の有無で亡くなる前の医療や身の回りのケアに、差はほとんどないという調査結果も出ているようです。

困った時に頼れる人間関係や社会との繋がりを、どれだけ長い年月をかけて築いているかが大事になってくるみたいです。

トラウデン直美さん:
やはり人と人とのつながりに安心感を得たり、相談ができたりと、様々なことができると思います。そして、何より情緒的なつながりを最後まで持ち続けたいっていうのはあると思いますね。やっぱり最後まで、人間らしく人生を謳歌するのが理想だなと思いながらも。

藤森キャスター:
そうですね。みんなそう思っていると思います。

小川キャスター:
その理想に向かっていきたいという思いはあると思いますけれども、元気なうちから考えておきたいことかなという気もします。

『身寄りのない高齢者』について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『身寄りのない高齢者』について「みんなの声」を募集しました。

Q.“自分の最期”を誰に支えてもらいたいですか?
「家族・親族」…51.1%
「友人・知人」…3.1%
「地域・ボランティア」…1.8%
「民間や公的な機関」…17.2%
「まだ考えていない」…13.2%
「その他・わからない」…13.7%

※9月2日午後11時18分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは3日午前8時で終了しました

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