ユーキャン、オープンイヤー型集音器「テルマホン」を発売! 聞こえの先にある、暮らしの“楽しみ”を支える開発の舞台裏
今、耳をふさがないオープンイヤー型集音器市場が注目を集めています。2025年以降、NTTソノリティやカシオ、ミライスピーカーなど、オーディオ大手から異業種メーカーまで続々とこの市場に参入しています。さらにこの市場へ名乗りを上げるのが、通信教育・通信販売を手掛ける株式会社ユーキャンです。
同社では、2021年から耳に入れない集音器を販売しており、今回新たに“聞こえる形”の新型デジタル集音器「テルマホン」を2026年9月3日に発売。同日開催された新製品発表会では、製品の開発背景や特長、販売戦略が紹介されました。
生涯学習のユーキャンが“聞こえ”に着目した理由とは

初めに、株式会社ユーキャン ライフ&カルチャー事業本部 執行役員の初野正幸氏が登壇。ユーキャンと言えば、資格取得や趣味の講座といった生涯学習のサービスを思い浮かべる方も多いと思いますが、実は通信販売の事業も展開しているのです。
「大人世代の毎日の暮らしそのものをより楽しく、より豊かにしていきたい」という思いのもと、健康管理をサポートする商品や外出をより快適にするアイテム、音楽や朗読を楽しむコンテンツ、知的好奇心を満たす商品など、幅広い商品ラインナップを取り揃えています。
「ユーキャンが目指しているのは、単に商品を販売することだけではありません。お客様に、『毎日を健やかに過ごしたい』『好きな趣味を続けたい』『人との繋がりを楽しみたい』といったように、前向きな気持ちを持っていただくことが大切なんだと気づきました。

過去3年間で全国約100万人のお客様にご利用いただき、私たちは日々お客様の暮らしに寄り添いながら、その関係を育んできました。そして、今回私たちが着目したテーマが“聞こえ”で、長年にわたり研究開発に取り組んできたパートナーとともに形にしたのが新型集音器『テルマホン』になります」(初野氏)

初野氏の挨拶に続き、株式会社ユーキャン ライフ&カルチャー事業本部 ウェルビーイング事業部 統括マネージャーの原孝之氏が、商品化に至った背景やテルマホンの商品概要について説明しました。
ユーキャン ライフ&カルチャーでは、利用者の声に耳を傾け、メーカーや開発者とともに、オリジナルの商品づくりを行っています。そのなかで大切にしているのは、「暮らしの中にある不便や不満を解消し、毎日をより豊かにすること」だと原氏は語りました。
「年齢を重ねるにつれて、家族との会話で聞き返すことが増えた」
「テレビの音量が以前より大きくなった」
「大勢での会話で言葉が聞き取りづらくなった」
友人・知人との会話や趣味、外出など毎日の楽しみを支える“聞こえ”の変化は、特にシニア層において実感される人も少なくありません。その一方で、「まだ補聴器を使うほどではない」「耳の中に機器を入れることには抵抗がある」といった不安を感じている方も多いのが実情です。

こうした不安を抱える方々に、新しい選択肢を届けたいという思いが、テルマホンを開発する出発点となったといいます。
「単に聞こえを改善するだけでなく、会話やテレビ、趣味をこれまで通り楽しみたい、無理なく気軽に使いたいというニーズに応える商品づくりを目指しました。聞こえそのものではなく、『その先にある暮らしの楽しみを支える』という視点で商品開発を進めました」(原氏)
高齢者の「使い心地」を最優先したテルマホンの独自技術

続いて、テルマエンジニアリング代表 中島秀政氏がテルマホン開発に至るまでのストーリーや独自技術についてプレゼンテーションを実施しました。
テルマエンジニアリングは、約15年前に日本で初めて耳に入れないイヤホンを商品化しました。当時はほとんど注目されませんでしたが、近年ではこのタイプのイヤホンが市場の主流となりつつあります。その流れを受け、耳に入れない集音器の開発も積極的に進められ、今のような市場の盛り上がりが形成されつつあるわけです。
そんななか、中島氏が耳に入れない集音器を開発したきっかけは、「従来の耳穴に入れるタイプが抱える厳しい現実に直面したから」だと話しました。
せっかく集音器を購入しても、最終的には使わなくなってしまう。
その原因を深掘りしてみると、耳を塞ぐ圧迫感や違和感、長時間の装着が辛い、不快なハウリングなど、ユーザーの切実な悩みが浮かび上がってきたといいます。

人は年を重ねていくと、加齢によって音が聞こえにくくなる「加齢性難聴」の症状が出てきます。特に、3kHzから6kHzといった高音域に含まれる「子音」が、加齢によって聞き取りづらくなるそうです。
テルマホンでは、子音に影響する2kHzから6kHzの帯域を強化することで、聞こえにくくなった高い周波数が含まれる帯域が聞こえやすくなるように補っています。さらに、耳本来の働きを最大限に生かせるような工夫も凝らしたと中島氏は説明しました。

「人の耳は、耳介(じかい)で集めた周囲の音を、耳珠(じしゅ)や耳対輪(じたいりん)といった凹凸で反射させながら耳の奥へと導きます。この耳本来の構造には、音を集めるだけでなく、人の声を自然に響かせて聞き取りやすく整える働きがあります。

通常、音は耳介から鼓膜へと振動が伝わる『空気伝導』によって届きますが、テルマホンはこれに独自開発の『耳珠伝導(じしゅでんどう)』を組み合わせた2つの経路を採用しました。このダブルの伝導経路によって、音をより明瞭で心地よく耳穴へ届ける、全く新しい聞こえ方を実現しました」
2つの伝達経路を実現するために、独自開発したのが「サウンドフィルター」です。
これはシリコン製の部品で、スピーカーの外周に取り付けられており、耳に装着するだけで、突起部が耳穴の真下にあるU字型の溝にはまり込み、耳珠に直接音を伝えます。このサウンドフィルターがテルマホンのスピーカーとダブルで音を伝える役割を果たし、聞く人にとって心地よい音をサポートする重要な構造部になっているのです。
そして、高齢者が毎日安心して使い続けられることも意識し、聞こえやすさはもちろん、装着性と操作性にも徹底してこだわったとのこと。
「装着部分には、芯材にゴム系のエラストマーを成形した耳掛けアームを採用し、耳に負担が少ない自然で快適な装着感を実現しました。加えて、大きすぎず小さすぎない、“ちょうどいいサイズ”にこだわっています。手に取ったときに掴みやすく、操作しやすいことはもちろん、置き忘れや紛失もしにくい。そんな使いやすさにも配慮して設計しました。
テルマホンを日々の暮らしの中で使っていただくことで、“聞こえ”に対する不安やストレスを少しでも軽減し、毎日の生活をより前向きに楽しんでいただければと願っています」
テルマホンが提供する3つの価値

その後、株式会社ユーキャン ライフ&カルチャー事業本部 ウェルビーイング事業部開発担当者の浅村健二氏が登壇し、実機のデモンストレーションを行いました。
テルマホンの本体カラーは、上質感のあるブロンズゴールド、落ち着いた印象のスマートグレーの2色を展開しています。本体は専用ケースに収納されており、電源を入れてケースから取り出すとすぐに使用できるのが特徴です。
テルマホンは耳の穴に差し込まず、耳の外側に沿わせるように装着するため、片手でも簡単に着脱することが可能になっています。音量調節はケースと本体のどちらでも操作ができ、スマートフォンなどは一切不要なため、高齢者でも簡単に操作できるそうです。
テルマホンの提供価値は以下の3つです。

「ケースから取り出す」「耳に装着する」「音量を合わせる」「使用後にケースへ戻す」というシンプルな操作性が、テルマホンの商品特性と言えるでしょう。

実際にタッチ&トライで試したところ、軽さと装着感が非常に快適で、高齢者の方でも違和感なく使えると実感しました。
オープンイヤー型集音器市場のさらなる発展に、今後も目が離せません。