日本料理がつなぐ学びと交流 辻󠄀調理師専門学校で韓国の学生・生徒50名が食文化を学ぶ
料理には、その国ならではの技術だけでなく、長い時間をかけて育まれてきた文化や歴史も詰まっています。そんな日本の「食」を実践を通して学ぶため、韓国の学生たちが大阪市の辻󠄀調理師専門学校を訪れました。
2026年8月に行われた「日本料理短期研修」には、韓国の彗田(ヘジョン)大学校と慶熙(キョンヒ)大学校を中心に、学生・生徒あわせて50名が参加。だしの取り方や魚のさばき方といった基本から、寿司や和菓子まで、実際に手を動かしながら日本料理への理解を深めました。
今回の研修で伝えられたのは、調理技術だけではありません。日本の食文化や歴史、おもてなしにも触れるなど、料理を入り口に日本への理解を深める機会となりました。海を越えて続く「食」を通じた学びと交流。その取り組みを、学生たちの声とともに紹介します。
韓国から学生・生徒50名が来校 日本料理を通じて深める学びと交流

この夏、辻󠄀調理師専門学校に韓国から多くの学生たちがやってきました。参加したのは、彗田(ヘジョン)大学校の学生20名と、同大学校と連携する全南(チョンナム)調理科学高校の生徒10名、そして慶熙(キョンヒ)大学校の学生20名。あわせて50名が、それぞれの日程で「日本料理短期研修」に参加しました。
辻󠄀調理師専門学校と彗田大学校の交流は今回が初めてではありません。両校は2015年に教育連携協定を締結しており、彗田大学校にはホテル調理外食学部日本料理専攻のクラスもあります。今回は8月2日から6日までの5日間、日本料理の基本となる技術や調理法を学ぶカリキュラムが組まれました。
続いて8月18日から25日までの8日間にわたって研修を受けたのが、2023年に教育連携協定を締結した慶熙大学校の学生たちです。普段はホテル観光大学で経営学や外食産業学、調理科学などを学んでおり、調理実習の経験は多くない学生も参加しました。
学んでいる分野も調理経験も異なる学生たちが、日本料理を入り口に食文化へ触れた今回の研修。では、実際にどのようなことを学んだのでしょうか。まずは彗田大学校と全南調理科学高校の5日間を見ていきます。
だしから寿司まで実践 日本料理の基本を学んだ5日間

彗田大学校と全南調理科学高校の学生・生徒たちは、8月2日から6日までの5日間、講義と実習を組み合わせたカリキュラムに取り組みました。学んだのは、だしの引き方や魚のさばき方といった基本技術から、煮物・蒸し物など日本料理で使われる調理法まで。実際に手を動かしながら、一つひとつの工程を学んでいきました。

なかでも印象的なのが、寿司屋を模したシミュレーション実習です。好きな寿司ネタを自由にオーダーし、職人役となった学生がその注文に合わせて寿司を握るという内容で、実際の寿司店をイメージした形で授業が行われました。
料理を完成させることだけを目的とするのではなく、注文を受けて寿司を握るところまで体験できるのが、この実習の面白いところです。日本料理の基本を学びながら、寿司という日本を代表する食文化に実践を通して触れる5日間となりました。
和菓子作りにも挑戦 五感で触れた日本の食文化

続いて8月18日から25日までの8日間にわたって研修に参加したのが、慶熙大学校の学生20名です。学生たちはホテル観光大学に所属し、普段は経営学をはじめ、外食産業学や調理科学などを学んでいます。調理実習の経験は少ないものの、今回の研修では日本料理を実践的に学ぶ機会が用意されました。

授業では、彗田大学校の学生たちと同様に、日本料理の基本を学ぶカリキュラムを受講。さらに慶熙大学校の研修では和菓子の授業も行われ、料理を作る技術だけではなく、日本ならではの食文化に触れる内容となりました。
また、8日間を通して日本文化や歴史についても学んでいます。味や香り、見た目、実際に調理する感覚など、五感を使いながら日本の食に向き合った学生たち。普段学んでいる外食産業や調理科学とはまた違った角度から、日本料理とその背景にある文化への理解を深める研修となりました。
「より日本に興味が生まれた」学生の声から広がる食の交流

研修を終えた学生たちからは、日本料理の技術だけでなく、その背景にある文化への理解が深まったことがうかがえる声が寄せられています。「日本の食文化と繊細さを深く知ることができ、より日本に興味が生まれました」という感想のほか、普段とは異なる授業の進め方や実習方法を新鮮に感じたという声もありました。
なかでも印象に残った授業として挙げられたのが、寿司と和菓子です。寿司の授業では、すし飯や魚のさばき方だけでなく、お客様へのおもてなしまで一連の工程を学んだ学生もいます。料理を「作る」だけではなく、その料理が育まれてきた文化や、人に提供するところまで含めて体験できたことも、今回の研修ならではの学びといえそうです。
そして、辻󠄀調理師専門学校と海外教育機関との交流は、今回の研修だけで終わるものではありません。2026年10月には同校の教員が韓国の彗田大学校を訪れ、今回来日できなかった学生を対象に、日本料理と西洋料理の講習授業を行う予定です。
韓国の学生が日本を訪れて学び、今度は日本の教員が韓国へ出向いて料理を伝える。学校や国を越えて学びの機会をつないでいく、継続的な教育交流が続いていきます。
食を通じた学びを次の交流へ
だしの引き方や魚のさばき方から、寿司、和菓子、おもてなしまで。今回の短期研修では、学生たちが実際に手を動かしながら、日本料理の技術とその背景にある食文化に触れました。学生から「より日本に興味が生まれた」という声が寄せられたことからも、料理を入り口にした学びが、新たな関心へとつながったことがうかがえます。
今回の研修は、これまで続いてきた海外教育機関との交流の一つでもあります。日本で学生を受け入れるだけでなく、これからも学校や国を越えて食の学びをつないでいく辻󠄀調理師専門学校。日本料理をきっかけに広がっていく、今後の教育交流にも注目したいですね。
辻󠄀調理師専門学校 概要
大阪市阿倍野区にある辻󠄀調理師専門学校では、西洋料理、日本料理、中国料理をはじめ、洋菓子、和菓子、パンなど、食の世界を幅広く学べる環境を整えています。調理や製菓の技術だけでなく、料理の背景にある理論や食文化についても学べるのが特徴です。
辻󠄀調理師専門学校を擁する辻󠄀調グループは、大阪・東京・フランスに教育の場を展開し、食のプロを目指す人材の育成に取り組んでいます。
公式サイト:https://www.tsuji.ac.jp/