「日本のご主人様は誰だ!」北海道の農場でミャンマー人を棒で叩き…尻・胸触るセクハラか 被害の訴え【news23】
「日本のご主人様は誰だ!」。これは、北海道の農業法人で働く「特定技能」のミャンマー人に向け発せられた言葉です。安全な国だと思い日本に働きに来た男性らを待ち受けていたのは雇用主からの日常的な「暴力」や「威圧」でした。
【写真で見る】農場で暴力・脅し・セクハラか 働く外国人が録音した会話
“特定技能”ミャンマー人に暴力か 「家族を支えたい」来日した男性は
ミャンマー人男性 Aさん
「日本は安全な国だと思っていました。日本で働きながら自分の人生を築き、ミャンマーにいる家族を支えたい。そういう気持ちで日本に来ました」
5月に来日したミャンマー人の男性Aさん。しかし、待っていたのは暴力でした。
北海道・京極町にある農業法人では、ミャンマー人など多くの外国人が働き、農場を取り仕切っているのは、60代の父親と40代の2人の息子です。
法人で働く外国人が撮影
「何だその目、文句あるのか。言ってみろ」
声を張り上げたのは、父親とみられます。
法人で働く外国人が撮影
「ちょっと来い、来いって!教えてやるから、こら!」
胸ぐらをつかまれ、引っ張られた男性は、7日に会見したAさんです。
「どうして顔を叩くの」ミャンマー人労働者に日常的暴行か
Aさんは、父親に胸ぐらを掴まれたり、息子からパイプのようなもので殴られたりするなどの暴行を受けていたと訴えています。
男の声(法人で働く外国人が録音)
「アホか!パチッ(叩く音)」
ミャンマー人男性
「どうして私の顔を叩いたんですか」
男の声
「おまえが、パチッ(叩く音)アホな事するからだべ」
ミャンマー人男性
「私の態度が悪いから?」
男の声
「仕事しないからだべ、言ったことも分からん」
ミャンマー人男性 Aさん
「日本人は親切で、根気強く仕事を教えてくれると思っていました。しかし、初めて接した日本人は私が思っていたのとは違い、いじめられたので悲しかった、恐ろしかったです」
「異国で働く中で、誰を頼ればいいのか分かりませんでした」
「日本のご主人様は誰だ!」金属製の除草用具で頭や足を...
被害を訴えているのは、Aさんだけではありません。
農場から逃げ出し、教会で保護されているミャンマー人従業員の女性たちは...
保護されたミャンマー人女性
「後ろから棒で2回叩かれました」
さらに、尻を叩かれたり、胸を触られたりしたこともあったと訴えます。
保護されたミャンマー人女性
「恐怖と恥ずかしい気持ちでいっぱいになり、一日中ずっと泣いていました」
そして、「在留資格を取り消す」と脅すような発言も…
法人で働く外国人が録音
「お前たちの雇い主だぞ」
「日本のご主人様は誰だ!」
「在留カードを出せ。お前の在留(資格)をすぐ取り消してやるから」
被害を訴えるのは「特定技能」の在留資格で来日したミャンマー国籍の男女7人。
そのうちの1人、Yさんは父親から頬を平手でたたかれたほか、次男から金属製の除草用具で頭や足などを殴られ、けがをしたということです。
保護されたミャンマー人男性 Yさん
「怖いですね。(叩かれたのは)この辺です。その時はとても痛かったです」
Yさんは8月、父親とその次男を、暴行と傷害の容疑で刑事告訴をしました。
「10番こいつ、お前か」呼ばれるのは名前ではなく“番号”
そして、問題は暴力だけではありませんでした。
法人で働く外国人が録音
「これ誰だ?10番こいつ、お前か。次は11番?」
11番はYさんのこと。名前ではなく、番号で呼ばれていたといいます。
Zさんが、その時の気持ちを代弁しました。
保護されたミャンマー人 Zさん
「私たちは名前があるけど悲しいです。名前があるけど(番号で)呼んでいるから悲しい」
さらに、YさんとZさんは農作業中、車内でガソリンをこぼしたとして、合わせて15万円を払わされたといいます。
法人で働く外国人が録音
「お前は4万円置け、4万円置け。4万置け(叩く音)ここに」
音声は、弁償代の一部として、手取りの給料から4万円を戻すよう父親に指示されたときのものだといいます。
法人で働く外国人が録音
「言うこと聞かないで間違えたことやって、あれしたこれしたって、弁償してもらうことになるんだからな、お前たち。これで身をもって知ったべ。お前たちもそうだ、ガソリンこぼして」
暴行・暴言は“町議会議員”か 本人はどこに?
声の主とみられる60代の父親には、実はもう一つの顔があります。京極町の町議会議員です。
8月末に開かれた委員会は欠席。委員会は非公開でしたが、虐待問題について表立った議論はなかったといいます。
京極町 城田幸俊 町議
「(当の議員は)9月の定例会は全て欠席と聞いたので」
町議会側は虐待問題について、▼警察による捜査の結論が出ていないこと、▼議員の立場を乱用したものではなく個人的な行動であることなどから、町議会で議論をすることは難しいといいます。
この問題について、上野厚労大臣は8日...
上野賢一郎 厚労大臣
「お尋ねの報道ですが、これにつきましては承知をしております。その上で個別の事案について、これはなかなかお答えすることは差し控えさせていただきたい」
一方、札幌地域労組によると、Aさんの他に被害を訴えるミャンマー人の6人は、9日、農業法人側との団体交渉が予定されています。
労組は、町議本人の出席も求めていて、暴行についての謝罪や「弁償」として徴収された金の返済などを要求する方針です。
Aさんは今後、町議と次男の刑事告訴を検討しています。
ミャンマー人の男性 Aさん
「暴力をふるうのはよくないことです。日本の法律にのっとって、公正に対応してもらいたいです」
「私と同じような目に遭う人がもう出ないようにしないといけない。そのために支援したいし、防ぎたい」
まだ30人ほどの外国人が働いている農業法人。
JNNの取材に対し「社内で事実関係を調査中」としています。
4年前に“認定取り消し”も同じ住所に会社が…外国人材が働きやすい環境とは?
藤森祥平キャスター:
聞くに堪えない音声の数々が残されていました。実は町議たちが運営する別の法人があり、4年前には、“技能実習生の人権を著しく侵害する行為”で、認定を取り消されています。
その後、同じ住所に会社が設立されて、今回被害を訴えている男性らがそこで働いていたということです。
小説家 真山仁さん:
ひどすぎてありえない話ですが、「悪質な経営者がいた」という話で終わってはいけないと感じます。
働き手がいない日本は今、外国から働き手をどんどん呼んでいます。働く環境を良くしないといけない中で、経営者側が圧力をかけて自由を奪っている状況では、結果的に技能実習生に一番しわ寄せが生じているのではないでしょうか。いろいろな意味で刑事告訴も難しいと思います。
一体、日本は何をやりたいのか、一つの事件ではなく、社会問題として捉えた方がいいと思います。
小川彩佳キャスター:
政府は2027年から、技能実習制度に代わって「育成就労制度」を始めます。
これまでは原則、転職が認められていませんでしたが、これがハラスメントや不当な扱いを受けたときに声を上げられない環境につながっていたと言われています。
これからは転職も一定の条件のもとで認めるなど、より働きやすい環境を整えることになっているようです。
真山仁さん:
制度が変わって転職したくても受け入れ先があるかわからないですし、不正は今も繰り返されています。
現実的により良くなるのかというところまで掘り下げないといけないと思います。
「文句が出たから制度を変えた」だけで、現場が「前よりひどくなった」「変わらない」ということであれば無駄ですし、日本を嫌う外国人がこれ以上増えていいのかなと思います。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
新著にロッキード事件をもとにした「シャドーゲーム」