視聴者の声~冠水被害の「放置車両」という言葉に違和感~【調査情報デジタル】

テレビ局には番組を観た視聴者から様々な声が寄せられる。TBSテレビの「視聴者センター」(カスタマーサクセス室所属)は、こうした声を集約し番組制作の現場にフィードバックさせるのが仕事だ。担当者が寄せられた“声”の一端を紹介する。
熊本での地震に続き、各地で警報級の大雨が相次ぐなど、自然災害の脅威を痛感した夏となりました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
災害が発生すると、報道・情報番組では、被害状況や気象情報を、多くの時間を割いてお伝えします。そうした中で、今回はアンダーパスが冠水して車が水没してしまう事例について、多くのご意見・ご要望が寄せられましたので紹介します。
「車を運転する人に、冠水しそうなところには注意するよう強く呼びかけて下さい」 (70歳以上 男性)
「専門家が『冠水時は車移動よりその場での安全確保を行うべき』と伝えたのがよかった」(70歳以上 男性)
「水没した車から自力で脱出できたとニュースで伝えていたが、どうやったら助かったのかを伝えて下さい。万が一の時の参考になります」(70歳以上 男性)
「アンダーパスの浸水の深さがひとめでわかるよう、視覚的な表示を工夫したらいいと思います」(60代 女性)
「車が水没して動かなくなっても脱出の方法はあることを繰り返し伝えて下さい。命を救うためです」(10代 性別回答なし)
命を守る具体的な行動指針や実用的なアイデアを求める声が多く、防災への関心の高さがうかがえます。各番組とも、様々に工夫してお伝えしていたと思います。
これに関連して、よく使われた「放置車両」という言葉について複数のご意見をいただきました。
「どのテレビ局も、道路に残された車について『放置車両』と報道していますが、故意ではなく、浸水で動かなくなりやむを得ず残された車が大半だと思います。身勝手に放置したかのように聞こえるので、『被災車両』などと言い換えることはできませんか」(70歳以上 女性)
「放置車両」は、行政機関などのホームページでも使われています。ただ、違法駐車した車両も同じく「放置車両」ですので、誤解を招くのではという視点です。被災された方のことを考えると、その通りですね。
一方で、伝える側もこれに疑問を抱いていました。TBS報道局でも視聴者の方と同じく違和感を持ち、検討した結果、ほどなく「被災車両」という言葉を使うようになりました。
正しいかどうかではなく、相手への伝わり方を考慮することの大切さを実感した一例でした。
また、災害が起きている局面で、明るいバラエティ番組などを放送することに対し、”配慮に欠けるのではないか”といったご意見をいただくこともあります。視聴されたタイミングや状況によって、感じられることは様々で、オペレーターはどのご意見もしっかりうかがって社内に共有しています。
その一方で、明るい番組が心の支えになったといううれしい声も届いています。
「私は熊本地震で被災しましたが、少し落ち着いてきたので『LOVE IT! ROCK 2026』を配信で見ました。全力のパフォーマンス、『ジョン万音頭』や会場が一つになった『明日があるさ』で、言葉にできないほど感動しました。まだまだ大変なことも多いですが、暗い気持ちを吹き飛ばして明日から頑張る希望をもらいました。感謝しています。これからも応援しています」(30代 女性)
「LOVE IT! ROCK2026」は、TBS朝のバラエティ番組『ラヴィット!』発の音楽イベントです。こうした声をいただくと、制作現場はもちろんですが、視聴者センターも励まされる気持ちになります。
厳しいご指摘も、温かい声も、信頼される番組作りにつながる貴重な道標です。視聴者センターはいただいた声を受けとめ、現場へと還元してまいります。
〈執筆者略歴〉
浜崎 由佳(はまざき・ゆか)
1995年TBS入社。
ラジオ局、報道局、事業局などを経て、編成考査局。現在カスタマーサクセス室長。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。