トランプ大統領が国連総会で演説「イランは中東の“いじめっ子”だった」中間選挙見据え成果強調か 日米首脳会談で「中国」「ICC制裁」に言及は?【news23】
国連総会で演説を行ったアメリカのトランプ大統領。政権の成果を強調する一方、国内ではメディアとの対立が激化し、支持率低迷にも揺れています。11月の中間選挙を見据えて焦りをのぞかせる中、行われる日米首脳会談。日本側の狙いについて、同行記者が現場から解説します。
【写真を見る】現在は友好的な関係に…握手を交わすトランプ氏とNY市長・マムダニ氏
ホワイトハウス「TRUMP TV」開設…メディアの取材拒否に対抗
21日、ホワイトハウスに新設されたヘリポートの除幕式に出席したトランプ大統領。テープカットの前に参加者に語りかけますが、映像では何を話しているのか、ほとんど聞こえません。
その理由は、取材した映像などを各メディアに配信する「ホワイトハウス記者会」が取材を拒否しているためです。
トランプ氏は18日、報道内容への不満から「CNNテレビ」など3社のホワイトハウスへの立ち入りを禁止。この措置に反発した主要テレビ局が、代表取材を停止する異例の事態に発展しています。
メディアの取材拒否に対抗し、ホワイトハウスは新たに「TRUMP TV」と題した配信アプリを公開。
ホワイトハウスのXより
「ノイズなし、最も重要なニュースだけトランプ政権から直接届けます」
こう謳っていたものの、配信された映像は保守系のネットテレビが撮影したもので、トランプ氏の声が雑音でかき消される結果となりました。
支持率は32%に下落 中間選挙を控え市民に人気のマムダニ市長と関係を維持か
その後、ホワイトハウスを飛び出したトランプ氏はニューヨークのマムダニ市長と会談を行いました。
マムダニ市長は、トランプ氏の“メディア締め出し”を念頭に…
ニューヨーク マムダニ市長
「私は大統領に『この場所には報道関係者を全員招くつもりだ』と伝えた。私は報道の自由を信じている」
トランプ大統領
「私にはフェイクニュースを放置しない義務がある。彼ら(フェイクニュースを流すメディア)は国と国家安全保障にとって極めて有害だ。だからそうする義務がある」
かつては激しく批判しあっていた一方で、現在は友好的な関係にある2人。11月に中間選挙を控えるトランプ氏が、市民に人気のマムダニ市長と関係を維持し、有権者に寄り添う姿勢を示すためなのでしょうか。
実際、ロイター通信と調査会社「イプソス」が21日に発表した最新の世論調査では、トランプ大統領の支持率は32%となり、過去最低水準まで落ち込みました。
ロイター通信は支持率低下の要因について、イラン攻撃などによる物価高騰の不満が共和党支持層にも広がっていると分析しています。
こうした中、国連総会で一般討論演説を行ったトランプ氏は…
トランプ大統領(日本時間22日午後11時半ごろ)
「狂信的なイラン政権は、流血と大量殺りくによって支配を行い、死と惨劇、そして混乱を中東全域、その先へと拡散させてきた。彼らは中東の『いじめっ子』だったが、私が政治の舞台に立った日から、そうはいかなくなった」
トランプ氏が国連演説 “有権者に対するアピール”のにじんだ演説に
小川彩佳キャスター:
22日、トランプ大統領の国連演説が行われました。
ワシントン支局 大橋純記者:
トランプ大統領が国連で演説をするのは2年連続ですが、その印象は大きく変わりました。
2025年は、気候変動や移民問題を巡り持論を展開したり、国連を激しく批判したりしたことで、「トランプ劇場」と言われました。
一方で、今年はイラン問題など、自らの政策の正当化に時間を割いたことで、守りに回った印象です。
イラン問題については、「かつて中東の“いじめっ子”だったが、もはやそうではない」とし、「イランに核兵器を持たせることは断じて認めない」と強調しました。
また、イランを巡る決議の採択について、国連安保理に“感謝”を述べる場面もありました。
「わが国はかつてなく強くなった。世界は平和になった」と強調したトランプ大統領ですが、11月に中間選挙を控える中、“アメリカの有権者に対するアピール”をしたい気持ちのにじんだ演説となりました。
日本の狙いは?“制裁対象”のICC赤根所長も焦点に
藤森祥平キャスター:
一方、高市総理は日本時間の22日正午過ぎ、アメリカ・ニューヨークに到着しました。日米首脳会談に臨みます。
この会談での日本側、高市総理の狙いはどこにありますか。
政治部官邸キャップ 橋口由侍記者:
一番の狙いは、「中国」を巡る認識のすり合わせです。
トランプ大統領はこの後、習近平国家主席との首脳会談を控えています。
日中関係は相変わらず冷え込んだ状態が続いています。米中会談を前に、トランプ氏がどのような外交方針で中国と向き合うのか、日本の立場や認識とずれがないか など、しっかりと首脳間ですり合わせる必要があります。
外務省幹部の1人も米中会談を前に、「日米が安保・経済で“揺るぎない協力”示すことが一番重要」と話していて、安全保障や経済、そして北朝鮮への対応など幅広い分野での連携を確認するものとみられます。
藤森キャスター:
トランプ政権は、ICC(国際刑事裁判所)赤根智子所長を制裁対象にしています。これについて、話題に上がるのでしょうか。
政治部官邸キャップ 橋口由侍記者:
会談を前に、政権幹部の1人は「トランプ氏はICCに対して相当感情的になっている。ICCを持ち出した途端に、会談の雰囲気も最悪になるだろう」と危惧しています。
こうした懸念もある中、トランプ氏に法の支配を重視する日本の立場を直接伝えるかどうか、高市総理の判断が問われています。
懸念は「台湾」の軽視 軍事的緊張が起きるだけでも世界経済に大きな打撃
藤森祥平キャスター:
高市総理はどのような姿勢で臨むのでしょうか。
日米首脳会談の高市総理の一番のポイントは「中国」を巡る、日本と中国の認識のすり合わせ、ということです。
地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
日本や中国だけの話ではありません。トランプ氏がアメリカと中国という大国同士のプライドで手打ちを優先し、「台湾」を軽視しないか心配です。
台湾は、世界の半導体生産の要です。アメリカのAIデータセンターも、全部台湾が要になっています。ここで何らかの軍事的緊張が起きるだけでも、世界経済に大きな打撃を与えます。
イラン情勢を見てもわかる通り、大国だけでは世界を動かせる状況ではなくなっています。意地を張って中国とアメリカが主導権を握らず、韓国や日本よりも小さい地域のことを安定する方向に、認識してもらわないといけません。
アメリカと中国だけで物事が決まらないことを、果たしてトランプ氏に理解させることができるでしょうか。
小川キャスター:
そのための関係性が築けているかどうかですね。
地域エコノミスト 藻谷さん:
それをやるのが日本の使命ですよね。やはり日本は大国ですから、さらに小さな国も大切にしないといけない、ということを中国とアメリカに伝える第3の大国は本来、日本であるはずです。
そのような自信を持って、首脳会談にあたって欲しいです。
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<プロフィール>
藻谷浩介さん
地域エコノミスト
共著「東京脱出論」
(株)日本総研主席研究員