「5年後にはアメリカ上回る」 習近平氏の外交ブレーンが語る米中首脳会談の狙い 日本には強く警告「米中対立 期待すべきではない」

9月24日アメリカ・ワシントンで米中首脳会談が行われる。今年5月に北京で開かれた会談以来、約4か月ぶりにトランプ大統領と習近平国家主席が対面する。今回の会談で中国が重視することとは何か?中国はアメリカの同盟国・日本をどう見ているのか?
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中国外務省のアドバイザーを務め対米政策決定に影響力を持つ復旦大学国際問題研究院の呉心伯院長に話を聞いた。
(インタビューは9月15日に実施しました)
アメリカと北朝鮮の対話「中国は積極的役割果たす」
――トランプ大統領は北朝鮮の金正恩総書記との会談実現に意欲を示しています。中国は両国の仲介役を果たす考えはありますか?
呉心伯 院長
中国側は朝鮮半島の平和と安定に向けたあらゆる動きを歓迎しています。米朝関係の改善や南北(韓国と北朝鮮)の対話も含まれます。
習主席の平壌訪問の際、金正恩総書記と二国間関係だけでなく周辺地域や国際情勢も議論しました。おそらく米朝関係も含まれていたと思います。アメリカも中国が建設的な役割を果たすことを望んでいると思います。中国は米朝の対話と関係を改善するために積極的な役割を果たすと私は考えます。
――11月に深圳で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の前後で、米朝首脳会談の実現が模索されているとも報じられています。
呉心伯 院長
11月はトランプ大統領にとって今年最後のアジア訪問の機会となる可能性が高いです。APECはアジア太平洋地域の経済協力を推進する場ですが、トランプ氏は従来から地域の経済協力には関心を示していません。会議の場を利用して二国間あるいは多国間の外交を展開することに関心があり、その前後で金正恩総書記と会談することを目指しているのではないでしょうか。
もし、アメリカと北朝鮮がそのような意向を持っているのであれば中国は間違いなく支援できると思います。
「アメリカを利用し中国をけん制すべきではない」日本への警告
――アメリカの同盟国である日本は今回の米中首脳会談に高い関心を寄せています。
呉心伯 院長
日本はしばらくの間、中米(中国とアメリカ)関係について誤った判断をしていた可能性があります。オバマ政権がアジア太平洋リバランス政策を打ち出した後、あるいは第一次トランプ政権発足後、中国に戦略的な封じ込めを行うと日本は考えていました。中米の対立や衝突は避けられないと考えて日米協力を強化し、中国を牽制すべきだと考えていました。
しかし、日本はアメリカの対中政策の複雑さ、アメリカ社会と中国との利益の多様性を十分に認識していなかったのです。中米間には様々なレベルの利害関係が存在し、それらが政策の方向性に影響を及ぼします。
現在、中国のアメリカの対中政策に影響を与える国力はますます大きくなっています。そのため、第二次トランプ政権の対中政策は第一次のときとは異なっています。
日本は中米対立や衝突を期待すべきではないし、アメリカを利用して中国を牽制しようとすべきではありません。アメリカで中国の重要性が高まっていることも日本は考える必要があります。アメリカは中国を切り離すことはできず、両国には競争と協力の側面があります。
日本は中国との関係を、競争、対立、封じ込めといった方向性だけで考えることはできません。中国と日本が重要な隣国であり、重要な経済体である以上、協力についても考えることが真に日本の国益にかなうと私は思います。
アメリカの指導者にとって重要なことは…「中国の実力 再評価を」
――今後の米中関係についてどのように見ていますか?
呉心伯 院長
2025年以降、両国関係は重要な調整の時期にあり、現在は一時的な安定から戦略的安定へと移行する段階にあたります。
一時的な安定とは、双方が貿易戦争を繰り広げた結果、最終的に疲れ果て、一時休戦で合意したことを指します。中国がレアアースのカード(レアアース輸出規制の強化)を切ったことで、アメリカは対抗する手段がないと考え、関係は一時的に安定しました。
2026年に入り、両国は「建設的・戦略的で安定した関係」という概念を打ち出しました。これは、双方が安定をさらに実質的なものにしたいと考えているのです。
戦略的安定の関係に発展させるため、双方は理解を深め、相互信頼を築き、戦略的な交流を積極的に持つ必要があります。
習主席とトランプ大統領との緊密な首脳外交は、両国関係の改善にとって非常に重要です。
さらに、トランプ大統領に続く新しいアメリカのリーダーにとって最も重要なことは中国の実力の発展を再評価することです。
10年前、アメリカ人は中国の発展を阻止しなければならないと考えていたかもしれません。しかし、5年後には中国の経済規模がアメリカを上回る可能性は高いと考えています。アメリカはこうした現実を認め、いかに中国と互恵的な関係を築くかを考え直さなければなりません。中国の発展を受け入れることがアメリカの国益になります。
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呉心伯 氏
復旦大学国際問題研究院 院長
復旦大学アメリカ研究センター 所長
中国外務省のアドバイザーを務めるなど
中国の対米政策決定に影響力を持つ
聞き手 JNN北京支局 松尾一志