「消費税を減らせば保険料が2倍に」——伊吹文明氏が警告する食料品減税の"隠れた代償"とは【国会トークフロントライン】

秋の政局があわただしくなってきました。財源なき減税が招く「1ドル175円」の超円安リスクや保険料高騰の懸念、外交の課題について元衆院議長で財務大臣や自民党幹事長を歴任された伊吹文明氏が掘り下げます。
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収録後、「我を非とするものは我が師なり」と一筆した伊吹氏。批判に謙虚で自戒を忘れてはならないという真意とともに、緊迫する政局と政治家のあるべき姿を語っていただきました。(聞き手:川戸恵子 収録:9月24日)
維新の閣内入りで何が変わるのか
ーー内閣改造でガラッと変わると思ったら骨格が全く変わらなかったが、どうみていますか?
伊吹文明 元衆院議長:
消費税の問題とか、選挙制度、定数削減、同盟国であるアメリカの出方がなかなか読みにくい状況で、日本の経済と軍事的な安全保障をどうするかっていう非常に難しい問題があります。
それを参議院では少数与党で乗り切らないといけないわけだから、高市さんが大切に思ってる政策の根幹を担っていく人たちは、今までの路線や考え方、経験を持ってる人たちを変えたくないというのは当然のことで、維新から入閣をして閣内協力っていうか連立に転じたっていうことは一番の目玉だと思うんですけども、私は堅実にやったんじゃないかなというふうに思います。
ーー維新を閣内に入れたということは、どういう意味を持つと思いますか?
伊吹文明 元衆院議長:
国務大臣というのは天皇陛下が認証している憲法上の地位ですからね。これは1人でもサインしなければ行政行為はできない。サインした限りは異論を唱えられない。
だから維新は閣外協力のときは、憲法上も政治的にも異論を唱えることも自由だったし違うことを言っても別段構わなかった。今回、強い結びつきになった反面、お互いにこの憲法に違反しないように、不一致を出さないように自民党と維新は一体として行動しないといけないということですよね。
財源なき減税の危うさ「国債で処理すれば1ドル175円も」
ーー臨時国会がまもなく始まりますが、焦点となる食料品消費税減税に関して伊吹さんは前から反対されていましたよね。
伊吹文明 元衆院議長:
いや僕は反論というよりも心配なんですよ。やはり消費税っていうのは、社会保障の財源になってるわけでしょ。だから5兆円というお金をどういう形で工面してくるのか。これが工面できなければ今の医療保険の料率が上がるか、自己負担が上がるか、あるいは医療サービスを制限していくかしか方法ないんですね。
これをもし万が一にも国債で処理するっていうことになると、1ドル155円ぐらいから175円になったらそれだけでもう10円の物価上昇でしょ。安倍さんのときは、日本は物価上昇率も低くて、経済成長率もほとんどできていなかったけども、あの頃は1ドル80円から100円ぐらい。ということは1ドルのものを輸入して100円で済んだんです。円安はいくら(対策)やってもアメリカから圧力があってもやっぱり物価がどんどん上がりますからね。だからそこの辺りを整理をしてから、食料品の減税っていう話はした方がいいんじゃないかっていうことを私は言ってるわけです。
日本は皆保険制度っていうような世界のどこにもないようなありがたい制度をもってるわけだから、これを何としても守っていかないといけない。そのためには、消費税の果たしている役割って非常に大きいですよね。消費税がなければ保険料は今の2倍以上になる。消費税を入れてるから保険料はあの程度で済んでるんでね。
ーーただ、そういう意見をFacebookで伊吹先生がお話になったら反論が来たっていう話も聞きましたけど。
伊吹文明 元衆院議長:
反論も来るし賛成の人も来るし、私は別に反論が来たからっていうんで、嫌な気持ちもしないんですけれどね。私のプラットフォームで賛否両論の人が取っ組み合いをしてくれるのが一番の狙い。それを多くの人が見て「こういう意見もある」とかこちらも教えられることもあるしね。
強い経済なくして対米交渉なし
ーー日本外交はどうすればいいんでしょうか。
伊吹文明 元衆院議長:
これはねやっぱり高市さんだけの責任じゃないんでね。今までのずっと積み重ねてきた現状の中で動いてるわけですね。アメリカからいろいろなことでお世話になって頭を下げないといけないような状況を作るっていうことについては、国民は全員反対だったわけでしょ。
安倍さんのときに安保法制っていうものを改正したけれども、あのようなことはそれまで誰も言わなかったんですね。言った人は必ず落選したので。だから、戦争のトラウマっていうのがあるから、国民がそういう選択をしてきたし、日本国憲法の制約もあるから、そういう現実の中で日本は動いてるっていうことだけは、国民みんなが受け止めないといけないですね。
アメリカとは、こういう関係が続いていく。それを脱却するために日本のキーは何かっていうと、かつてのような強い日本経済を作って、アメリカに「頼むからこうしてくれ」「少しは円を高く持っていってくれ」と。
かつてスミソニアンとか、プラザ合意とかで「オレンジを買ってくれ」「自動車の輸出はやめてくれ」という外圧を巧みに利用し、受け止めながらあやしながら、譲ってやったりしたことが最大の力だったんだね。それが今、なくなってきてる。だから、高市さんの大きな目標は私は間違ってないと思いますよ。