“声の権利”認める初の判断 「人の声は人格の象徴」 津田健次郎さんが「生成AIで声を模倣した動画」の削除求めた裁判【news23】
自身の声を生成AIで模倣した動画が無断で公開されているとして、声優の津田健次郎さんが「TikTok」の運営会社を訴えた裁判。「声の権利」が法的に保護されるとする初めての判断が示されました。
【写真を見る】「声の権利」を守るため…声を上げてきた声優や俳優ら
「月に50万~75万円」の収益化 無断でAI生成された声を使い…
誰もがAIで、どんな声も作れる時代。喜入キャスターも自身の声で作ってみました。
喜入キャスター
「違和感はぬぐえないが、確かに歌っています」
SNS上では、生成AIに人間の声を学習させ、曲を歌わせたり、人気アニメのキャラクターの声になりきったりする動画があふれています。
ただ、中には“無断でAI生成”された可能性のあるものも…
大人気アニメ「呪術廻戦」などで人気キャラクターを演じてきた、声優の津田健次郎さんにそっくりな声を公開していたサイトには、TikTok上で投稿された動画は180本以上。
投稿者は「月に50万~75万円」の収益を得ていたといいます。
声優・津田健次郎さんが訴えた「声の権利」 初の判断
津田さん側は、「著名人が持つ経済的価値を自分で利用する『パブリシティ権』を侵害している」などとして、「TikTok」の運営会社に動画の削除を求める訴えを起こしました。
9月30日の判決で東京地裁は…
高橋彩 裁判長
「人の声は、人の肖像と同様に個人の人格の象徴だ。無断で声を使用する行為が、顧客吸引力の利用を目的とした場合は、パブリシティ権の侵害に当たる」
判決は、「声が保護の対象になる」との初の判断を示しました。
一方で、動画の削除については、すでにアカウントが削除されたことなどを理由に退けました。
「声の権利」をどう守るのか―。声優や俳優らが声を上げてきたこの問題。
法務省の検討会は8月、「声」も法的な保護の対象になるとの見解を示していますが、どのように保護するのか、課題は残されています。
権利の第一歩に…絵や映像などだけでなく声でも
藤森祥平キャスター:
今回の判断は、「人の声は人の肖像と同様に個人の人格の象徴である」という司法判断です。
ミュージシャン・作家 尾崎世界観さん:
このように認められたのはすごく大きな出来事だと思うし、行動を起こすのは大変だったと思います。
自分は普段ミュージシャンとして曲を作り、それを作品として世の中に提示していて、他にも絵や映像などといったものは作品としてわかりやすく認められていると思います。
声優さんにとっては、一から自分でしっかり声を作り上げていく。それが作品だということをこのように示されたのは、本当に大きな出来事だと思います。
自分も何気なく、当たり前のように声を使っていたのですが、声もきちんと作品だということを、曲や歌詞だけではなく、自分が作った声なのだということを、今一度責任を持って届けていこうと思いました。
小川彩佳キャスター:
今回の判決について、東京大学大学院の田村善之教授は「声が肖像や氏名と同じように保護されることを明らかにした点は非常に重要だ」と指摘しています。
津田さんのような方が声を上げたことで、第一歩を踏み出すことができたとも言えます。
トラウデン直美さん:
声を使うお仕事の方には、色々なジャンルのクリエイターがいると思います。それぞれが「どんな仕事をしていこうか」と、誠実にお仕事に向き合っている中で、ご本人の意思とは関係ないところで自由に使われてしまうことは、単なる声を使ったということ以上の、信念など色々な思いを侵害していることにもなると思う。
AIの進化はスピードが速いですが、ルールが追いついていない部分があります。その中で、こういった声を上げる人がいることで司法の判断が下ることは、新たに一つのルールができることになると思うので、本当に大きな一歩だったのではないかと思います。
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<プロフィール>
尾崎世界観さん
ミュージシャン・作家
2001年結成「クリープハイプ」ボーカル・ギター。小説家としても活動。芥川賞候補に2度選出。
トラウデン直美さん
SDGsなどの社会課題に関心。特技は乗馬初級馬術指導者の資格も。