「ツーカーの仲」は若者に伝わらない?本来の意味とは違った認識の言葉も…文化庁「国語に関する世論調査」【Nスタ解説】
毎年恒例、文化庁の「国語に関する世論調査」が発表されました。
「ツーカーの仲」「えいやで決める」といった表現も、若い人に意味が伝わっていると思っているなら、その考えは一度リセットした方がいいかもしれません。
【写真を見る】「気が置けない」「佳境に入る」「ひもとく」本来の意味を知っている?
若者に伝わらない!?「ツーカーの仲」
20代
「聞いたことない」
「方言?」
「初めて聞きましたね。通過するだけの仲間というか、そんな感じかなみたいな」
20代が口々に「知らない」「聞いたことがない」と言っているのは、「一言だけで話が通じるような気心が知れている仲」という意味で使われる「ツーカー」という言葉です。
20代
「『へー』でしかないですよね」
「ツー(通)じ合えるカーということ?それぐらいの感覚で喋れるってこと?」
広辞苑では、「つうと言えばかあ」を短くしたものだという「ツーカー」。
文化庁が先ほど発表した「国語に関する世論調査」によると、「ツーカー」という言葉を使うことがあると答えた10~20代は10%未満。
一方、50代は50%以上、60代以上の約70%が使うことがあると答えています。
【「ツーカーの」を使うことがある割合】
16~19歳:3.6%
20代:7.0%
30代:16.8%
40代:38.9%
50代:53.9%
60代:66.1%
70歳以上:66.8%
※令和7年度「国語に関する世論調査」より
「ツーカー」の語源は?音としての面白さ
しかし、なぜ「ツー」と「カー」と言うのかについては…
母(50代)
「『ツー』って 『カー』って鳥?鳥の親子?違うのかな」
――親鳥が「ツー」と言ったら?
母(50代)
「(ヒナが)「カー」みたいな」
謎が深まる「ツーカー」の語源。
日本語に詳しい明治大学の齋藤孝教授に聞いてみました。
明治大学文学部 齋藤孝 教授
「一説には(片方が)『つうことだね』と言ったら、(もう片方が)『そうか』というのがある。阿吽の呼吸ってありますよね。そういうのもセットですよね。音として『ツー』と『カー』という面白さが採用された主な理由だと思いますけど、あまり確定した語源がない」
「えいやで決める」の語源は江戸時代にさかのぼる
文化庁の世論調査では、「えいやで決める」という言葉も登場しました。
思い切って決めるという意味ですが、その「えいやで」とは?
明治大学文学部 齋藤孝 教授
「江戸時代、それ以前から相手と切り合う時に、『エイ』『ヤー』『トー』とか言っていた。それがあわさって『エイヤーと決める』とか、腹に力を入れて決断する、身体感覚も含めた言葉ですよね」
ただ、この「えいや」を普段使っているか街で聞いてみると…
20代
「社内で聞いたことあります。年上の方とか方針の話をするときに」
30代
「使わない。『えいや』なんて気合入れる時にしか使わない」
「『えいや』は使わないね。恥ずかしい」
20代は11.3%、10代(16~19歳)は4.5%しか使ったことがないといいます。
「気が置けない」「佳境に入る」意味が変化する言葉たち
南波雅俊キャスター:
本来持っている意味とは変わった形で広く認識されるようになった言葉があります。
▼気が置けない
本来の意味:相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい(47.4%)
しかし、「相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない」という受け取り方をする人も44.3%いるそうです。
▼佳境に入る
本来の意味:物語などが特に興味深い場面になる(34.3%)
しかし、「仕事などが大詰めを迎える」という受け取り方の人が37.8%。
▼ひもとく
本来の意味:関係する書物を読む(13.1%)
しかし、「真相を明らかにする」という受け取り方が69.9%と多いです。
齋藤教授によると、書物が巻物だった時代に、紐を解いて書物を読むということで「ひもとく」としていたのですが、それがだんだん「読み解く」「謎解き」など、いろいろな意味に言葉が混ざってきたのではないかということです。
山内あゆキャスター:
「ひもとく」を「真相を明らかにする」という意味で使っても間違いではないのでしょうか。
南波キャスター:
意味が変わってきているので、「真相を明らかにする」という意味でもいいのではないかと思います。
「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
言葉は変化するものなので、意味が変化してきた言葉はたくさんあります。こういう言葉を知ることはとても面白いなと思います。
================
<プロフィール>
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説