なぜ見通し良いトンネルで事故多発? アクアライン多重事故に潜む“直線”の罠【THE TIME,】

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2026-10-09 06:00
なぜ見通し良いトンネルで事故多発? アクアライン多重事故に潜む“直線”の罠【THE TIME,】

10月1日午前7時ごろ、神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ「東京湾アクアライン」の海底トンネル内でトラック3台とトレーラー1台の計4台が絡む玉突き事故が発生。この事故でトラックに乗っていたとみられる男性2人が死亡し、3人がけがをしました。

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東京湾アクアラインの海底トンネルは、およそ10kmにわたってほぼ一直線が続きます。SNSでは「アクアラインはほぼ直線なのに事故が頻発するのはなぜ?」「距離感やスピードがわからなくなる」といった投稿が見られました。なぜ、見通しの良いはずのトンネルで悲惨な事故が起きてしまったのでしょうか。

景色が均一な長いトンネルで起きやすい“認識の遅れ”

事故の映像を分析した交通事故鑑定ラプターの中島博史所長によると、
「運転席の部分は、後ろから押された荷台の部分と前のトラックに挟まれて潰れている。この直前にブレーキ痕が見当たらないので、ほぼ減速していない状態で追突してしまった」。
トレーラーが前方に止まっていたトラックに気づかず、減速しないまま突っ込んだ可能性があるといいます。

実は、アクアラインのトンネル内では2年前にも、渋滞の列にトラックが突っ込み、1人が死亡する事故が発生しています。
見通しの良い場所で、なぜ前方の車に気づくのが遅れてしまうのでしょうか。

中島氏は、
「トンネル内は景色が均一なために、前の車が減速したことや止まったことを認識するのが遅れて、減速が間に合わないタイミングで追突してしまう」と指摘します。

これは、ほぼ直線の長いトンネルで特に起きやすい「認識の遅れ」だといいます。
通常の道路では、標識や周りの景色が目印となり、車間距離を把握しやすいのに対し、トンネル内では壁が続き、目印となるものが少ないため、前の車との間隔が把握しづらくなるといいます。
さらに、まっすぐ進むだけという単調さからくる油断も、事故の一因となり得ると言うのです。

「トンネルの先の方だけ見ていると、そこに向かって進めばいいということで、半分居眠りしたような状態での運転になってしまう。一点に視線が集中してしまうと、そこに寄っていきぶつかってしまうことが起きやすくなる」

視線の動きで明らかに…トンネル運転の“落とし穴”

トンネル内での運転は、ドライバーの視線にどのような影響を与えるのでしょうか。
プロのドライバーに視線の動きを測る特殊なメガネを装着してもらい、通常の道路とトンネル内を運転する様子を比較する実験を行いました。
通常の道路を走行しているとき、ドライバーの視線は道路脇や標識など、絶えず多方向に動いています。

一方、トンネル内では、視線は路面や隣の車線を走る車などにしか動かず、その動きが明らかに狭くなることが確認できました。この視線の動きの少なさが、危険の発見の遅れにつながる可能性があるというのです。

「もしトンネルで立ち往生したら? 知っておきたい避難方法

ひとたびトンネル内で事故が発生すると、ほかの車にも大きな影響が及びます。今回の事故では通行止めとなり、多くの人が長時間にわたりトンネル内に閉じ込められました。

当時、高速バスに乗っていた乗客は、
「閉じ込められてた時間は6〜7時間ぐらい。自分はこのトンネルの中から出られるのだろうかという恐怖があった。トイレも行けないので、水も飲まず食わずで過ごした」

また、同僚2人と車に取り残された男性は、
「閉じ込められているうちに暑くなってきて、燃料があまりない人はエンジンを切って窓やドアを開けて過ごしていたので体調が悪そうな方もいた」と話します。

では、万が一トンネル内で事故に遭い、避難が必要になった場合はどうすればいいのでしょうか。
NEXCO東日本関東支社の小田島慎二課長代理は、
「トンネル内には非常口が設置してあり、その先に緊急避難通路があるので、案内表示等にならって避難をしていただければ」と話します。

東京湾アクアラインの場合、非常口は300メートル間隔で設けられています。非常口の先にはスロープがあり、通行しているトンネルの下にある避難通路へ降りることができます。この避難通路は、排気ガスが入らない構造になっているので、体調不良の方がいれば緊急避難通路に避難できるといいます。

また、車を置いて避難する際には壁側に車を寄せ、ほかの人が移動できるよう鍵は開けたままにしておくことが重要だということです。

見通しが良いはずの直線トンネルに潜む危険。ドライバーは常にそのリスクを意識するとともに、万が一の事態に備え、正しい避難方法を知っておくことが求められます。

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