【ドラフト】“異色の秀才スラッガー”東京ガス・藤澤涼介 国立大で培った思考力を武器に「何でもできる万能な選手に」プロ入りへ挑む

プロ野球ドラフト会議が22日に開かれる。東京ガスの外野手・藤澤涼介(24)は、横浜国立大出身の理系選手。野球漬けの日々とは異なる環境で培ったのは、持ち前の長打力に加え、状況を読み、考えて結果を出す力だ。社会人野球で実績を積み重ね、今ではドラフト候補に名を連ねた。異色の秀才スラッガーが、プロ入りへ運命の日を迎える。
コロナ禍が転機に、自ら選んだ横浜国立大で野球人生が変わる
栃木県宇都宮市出身の藤澤は、小学4年生の時に友人に誘われて野球を始めた。高校は佐野日大高(栃木)に進学。化学が得意だった藤澤は、将来は野球とは別の道を考えていたため「プロはずっと思っていた夢ではない」と振り返る。転機となったのは新型コロナウイルスの感染拡大だった。寮が解散となり、野球ができない期間を勉強に充て、国立大学への進学を目指した。
進学先に選んだのは神奈川大学野球連盟の横浜国立大学。選手主体でチームをつくる環境に魅力を感じたという。「縛られる野球はあんまりしたくなくて。選手が話し合って作っていくような野球をしたかった」。自ら調べて進路を決め、学生コーチが指導に当たる環境でプレー。リーグ戦では通算13本塁打を記録し、持ち前の長打力を磨いた。
もう一つの転機は大学3年秋。リーグ開幕戦となった関東学院大学戦で横浜スタジアムの看板に直撃する満塁本塁打を放った。「たまたま良い場面で満塁ホームランを打って。勝負強さとか飛ばす力とか、認めてもらった」。長打力と勝負強さが評価され、大学日本代表候補の合宿に参加。その経験が社会人野球への道にも繋がった。
異色の秀才スラッガー、武器は「考える力」
藤澤の最大の武器は長打力。身長187cm、体重90kgの恵まれた体格に加え、50m5秒97の俊足も備えている。東京ガスでは入社1年目から3番を任され、昨年の都市対抗東京二次予選では3試合連続本塁打を記録。今年も打力を発揮し、同予選では5試合で打率.476をマーク。自身2年連続の都市対抗出場を果たした。9月には第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)の社会人日本代表に選出され、銀メダルを獲得するなど社会人球界でその存在感を示してきた。
藤澤の強みは、飛距離や脚力だけではない。相手投手の配球や攻め方を考え、状況に応じた対応を心がけている。「特に甘い球を逃さない力とか。チャンスやプレッシャーがかかる場面でも、相手ピッチャーがどう攻めてくるかを考えながら打席に立てるところが自分の強みかなと思います」。
その「考える力」を養ったのが、横浜国立大での日々だった。「高校の時までは『気持ちで打つ』、『気合いがあれば打てる』みたいな感じだったんですけど、横浜国立大には理系の人もいて、考えて野球をする人が多かった。そういう環境で、考える力はついたなと思います」。
野球の研究にも熱心で、「誰かを参考にするより、野球指導者の論文を見ることの方が多かったです」と語る。理系ならではの探究心で磨いた思考力と、社会人野球で培った長打力。その二つが藤澤の打席を支えている。
プロ入りは新たな挑戦、目指すのは年間を通して活躍できる選手
社会人野球で結果を残す中、プロ入りは現実的な選択肢となった。目指す選手像については「何でもできる万能な選手になれたらなって思っています。苦手な部分も持ち合わせているんで、そういうのを克服して持ち味を伸ばしていって、年間通して試合に出続けられるような選手になれたらいい」と語る。
野球を続ける上では、両親の支えも大きかった。母親はシャトルを投げて打撃練習に付き合い、父親はアプリを活用してスイング動画を撮影するなど、技術面でも協力してくれたという。進路についても、両親から特定の道を押しつけられることはなかった。
「自分のやりたいようにやればって。結構自由に信頼してやらせてもらっています」。自ら考え、選び、挑戦する。横浜国立大で野球の可能性を広げ、東京ガスで社会人を代表するスラッガーへと成長した藤澤。長打力と俊足、そして理系の探究心で磨いた「考える力」を武器に、藤澤はプロ入りの挑戦に臨む。
■藤澤涼介(ふじさわ りょうすけ)
2002年6月4日生まれ。栃木県宇都宮市出身。身長187cm体重90kg。外野手、右投右打。佐野日大高で甲子園出場はなし。横浜国立大に進学後、3年秋リーグ最多13打点をマークし外野手ベストナインを受賞。リーグで通算13本塁打。東京ガスに入社し、1年目の昨年は都市対抗東京二次予選で3試合連続本塁打を記録。今年9月には第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)の社会人日本代表に選出され、銀メダルを獲得した。