ダークウェブの実態 背後にちらつく中国の影 AI悪用でハッカーも“トクリュウ化”か【THE TIME,】

2026年10月16日までの約3週間で、70社以上で1億件を超える情報漏洩が確認されるなど、企業のサイバーセキュリティが深刻な脅威にさらされています。
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漏洩した個人情報はどこへ流れ、どのように悪用されるのでしょうか。匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」の内情に詳しいA氏は、「今回の情報漏洩は、デジタル犯罪やトクリュウの新しい手口が生まれてくるきっかけにはなると思います」と警鐘を鳴らします。
漏洩した情報はどこへ?闇サイト「ダークウェブ」の実態
漏洩した情報は一体どこに流れているのでしょうか。A氏によると、外国のハッカーなどが手に入れた情報は、まず匿名性の高い違法な闇サイト「ダークウェブ」に流れるといいます。「レベルの低い情報になってくると、ダークウェブに流したりとか、売りに入りますから。そうなると(トクリュウなどが)日本でそれを買う」とA氏は語ります。
個人情報が特殊詐欺などに使われることはあるのでしょうか?この疑問に対し、A氏は、漏洩した情報が直接トクリュウの元へすぐに行くわけではないが、「いずれトクリュウの元にも届く」と指摘します。
ダークウェブを取材している国際ジャーナリストの山田敏弘さんに見せてもらうと、そこには衝撃的な実態がありました。あるダークウェブ上のサイトでは、日本人のクレジットカードが、なんと暗証番号(PIN)とセットで1枚289ドル、日本円でおよそ4万5,000円で売られていました。
別のサイトで「JAPAN」と検索すると、日本人と思われる情報がずらりと表示されます。そこには「ショッピング情報」と記され、名前、携帯番号、住所までが生々しく並んでいました。山田氏は「日本の何かショッピングサイトから漏れてる可能性があります」と分析します。
山田氏が入手した別の取引データには、日本企業のドメインである「co.jp」を含むEメールアドレスとパスワードのリストが。これらの情報は中国語で売りに出されており、1ギガバイト単位など、まとめて取引されることもあるようです。「だいたい直近で30、40万ドルくらいで取引されている」といい、盗まれたばかりでまだ利用されている可能性が高いデータほど価値が高くなる傾向があるとのことです。
「注目すべきは中国」闇のデータベースと政府の影
一体、誰がこのようなダークウェブでの売買を行っているのでしょうか。山田氏は、「全世界的にいると思う」としながらも、「中国はかなり注目すべき場所だと思っています」と語ります。
中国には犯罪者たちが様々なデータベースを共有するための「闇のデータベース」が存在し、データがどんどん集まっていて、中国国内でも問題視されているといいます。
さらに、中国政府自体が関与するサイバー攻撃の可能性も指摘されています。去年、アメリカ司法省は、中国政府のためにハッキングを行ったとして中国人10人を起訴しました。
山田氏によると、こうした攻撃が日本にも及んでいる可能性も指摘します。「データを誰かに買わせて吸い上げるパターンもあるし、緊張関係があるような国にとってみれば、日本人の情報は何かで使える可能性があるので欲しい」
AIで攻撃が自動化、ハッカーも“トクリュウ化”
データを集めるハッカーの実態にも変化が見られるといいます。システムセキュリティに詳しい大阪大学の猪俣敦夫教授は、最近の攻撃について「明らかに人間ではできない速度でやってきている。すごい量です」と語ります。
その背景には、AIを活用した攻撃の自動化ツールの存在があるのではないかと見ています。
AIの活用によって、プロのハッカーでなくても高度なハッキングができるようになり、事態はさらに深刻化しています。ダークウェブ上には「Hire Hacker(ハッカーを雇う)」といったサイトが増えており、「メールのパスワードを盗み出すハッカーを雇う」「ビットコインウォレットをハッキングするハッカーを雇う」といった募集が堂々と行われているのです。
猪俣教授は、この現状を「トクリュウ化してるんだと思います、世界中が」と表現します。組織が直接手を下すのではなく、ハッカーを雇ってお金を払う。やり取りはすべて追跡が困難なビットコインで行われるというのです。
AIの悪用とハッカーの“トクリュウ化”によって、企業へのハッキングは増加の一途をたどっています。私たちの個人情報を守るためには、企業も個人も、これまでにないレベルでのセキュリティ意識と対策が求められています。