「結果を出さなければ大臣の意味がない」復興大臣・細野豪志氏が明かす“決意”と福島の今【国会トークフロントライン】

11月2日に発足する防災庁は、これまでバラバラだった災害対応をどう変えるのでしょうか。復興大臣・防災担当大臣などを兼任する細野豪志氏を迎え、新組織の役割や省庁一元化のポイントを深掘りします。さらに、東日本大震災および福島第一原発事故から15年目の今、帰還困難地域の課題や廃炉作業の現状、原発再稼働をめぐる議論まで、東北の復興と日本の防災の未来像を詳しく伺います。(聞き手:川戸恵子)
「絵に描いた餅」を機能するものへ
ーー所信表明にもあったように、高市総理は相当防災に力を入れていらっしゃる印象ですね。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
実際私は1か月少しやってきましたけど、その間だけでも台風25号で千葉と神奈川で大きな被害がありましたしね。数日前も秋田でまた氾濫があったということで、本当に多いんですよね。ですから防災に対する国民の期待というか「しっかりやってくれ」っていう声は非常に大きいですから、責任を感じてます。
ーー11月2日に防災庁が発足しますが、具体的には何をしていくのでしょうか。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
まずは国民を守るということですから、事前防災から復旧復興まで一貫した体制をつくると。あとは内閣の中で直結する機関にするんですよ。私は事務は所管をしますが、あくまで総理に直結してるっていうのが防災庁の位置づけなんですね。従って勧告権も持つわけです。
ーー権限が強くなって、防災大臣が言えるということですね。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
それを早速使おうと思ってまして11月2日に発足するんですけれども、初日にですね、「緊急要請」っていうのをだそうと思っています。
ーー緊急要請とは?
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
これまでできていなかったことを、実際にしっかりやってもらいたいという文章ですね。具体的には国民にも出します。防災庁ができるから、何でも政府がやってくれると思われてしまうと、逆にものすごく弱くなるんですね。
もちろん市町村も準備していただくんだけど、市町村にはかなりの力の差があるんです。
でも、被害の状況っていうのは人口が少ないところも含めて、もう同じような被害が出てくる可能性があるから、やはり都道府県がもっとサポートする仕組みを作りたいという要請も出します。同時に、政府内でそれぞれの省庁がしっかり対応できているかどうかというのも要請を出すんですね。出しっぱなしじゃ意味がないので、しっかり結果も把握をしたいと思います。その上で、進捗がはかばかしくない場合については、勧告権を行使をすると。
ーー従来の省庁では、勧告権を持っていても実際に使われるケースは少なかったように思いますが。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
出してないんですよ。勧告権っていうのを抜かずの宝刀みたいな感じでちょっとしまっておいて、持ってるだけだよっていうんじゃなくて、これはもう要請をして、そして答えが出なければ勧告権を出すということも含めて、しっかりとスタートの時点で言わないと機能しませんから、そこまで持っていきたいと思ってます。
ーーただ要請するだけでは、十分に機能しない懸念はありませんか?
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
まず、市町村には当事者意識を持っていただきたいんですね。例えばですね、これは本当に不幸な話なんだけど、熊本って地震も10年前と今年経験をしましたし、水害も本当に何度も経験をしていて県の体制っていうのはですね、かなり強いものになってるんですよ。ところが、災害経験のない自治体ってことになると、どうしても日頃の業務を優先するんですよね。例えば内閣防災でも非常に良い研修を設けてまして、自治体の職員の皆さんがそこに来ていただければ、今の国の仕組みとか、災害復旧の事業のやり方とか、非常にしっかり学んでいただけるし、避難所運営なんかについても研修受けていただけるんだけど、実際半分ぐらいの自治体は、もうこの5年間でも1回も研修に来てないんですよ。
南海トラフのような本当に国難級の有事の場合には国が前面に出るので、平時はとにかく自治体の皆さん、都道府県も含めてしっかり準備していただいて、いざというときは国がしっかりやりますからっていう役割分担を明確にする必要もあると思ってますし、これまでやや絵に描いた餅なところがあった災害対策を、実際に機能するものに変えるのが防災庁の役割だというふうに思ってます。
復興と廃炉の現在地
ーー細野さんは東日本大震災の当時、民主党政権で大臣として東京電力との交渉や現場対応を指揮されていました。今回、復興大臣に就任されたことには並々ならぬ思いがあるのではないでしょうか。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
そうですね。これは一つ運命的なことだと思うんですけど、東日本大震災のときには民主党政権だったので、当然ですけども自民党の議員の方の中で東日本大震災を一番初めから経験して、政務でやってる人はいないわけですよね。
原発の事故そのものもそうですけど、その後除染をして中間貯蔵施設で受け入れていただいたっていうのも、当時環境大臣兼務していたので、私が要請をはじめにしたんですよね。ただ未だに問題が解決してないと。やっぱりね、もう本当に申し訳ないという思いがあって。これまでも一生懸命政府をサポートし、福島の皆さんの声も聞いてきたんだけど、今権限を持ったので、しっかり結果を出さなきゃいかんと思ってますね。もう本当にここは強い思い入れを持って、高市総理にも希望を出して受け入れていただいたのでもう本当に結果を出さないと大臣をやってる意味ないというふうに思ってます。
ーー震災から15年が経過しましたが、未だに帰還できない地域もありますね。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
大熊町とか双葉町に行きますとなかなか帰っていただけない地域があるんで、そこは今、帰還居住ということで、個別に対応してるんですけれども、一方で、例えば大熊町には、今大川原地区っていうところに立派な役場もできて、すごく人気のある学校もできたんですよね。そこに全国からここで学びたいっていう教育移住してこられてるような方も来られててそこで本当に美味しい食事を作っていただいて、原発の中に届けるようなこともできてるんです。よくここまで来たなっていうとこもあるんです。いいところはどんどんそれは後押しして伸びていってもらってマイナスの部分をいかに少なくするか、これ両方やらなきゃなんないと思います。
ーー最後に、廃炉の問題です。これもなかなか進まない。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
溶融したデブリの取り出しっていうのが最大の難関なんです。少しずつ取り出してるんですけど、ブレークスルーは、2つあると思ってて、1つは「無人化の技術」ですね。ロボットテストフィールドも含めていろんな実験が行われていて、実際にそれが機能しだしてる部分があります。もう1つは「AI」なんですよね。
ーーAIはどのように活用されるのでしょうか。
細野豪志 復興大臣・防災担当大臣:
AIでどういうやり方がいいかっていうことについて、実に様々なシミュレーションがこれまでとは段違いのレベルでできるんですよね。今赤沢大臣のところで、“AX”って言い方をしてまして、AIをどう有効に活用していくかってことをやっています。ここはもう日本の技術力が問われてるし、もちろん福島の皆さんに対する責任も問われてるし。力を合わせてやり切る必要があると。これは東電任せにするというテーマではありませんので、総動員でやらなきゃなんない。そう思ってます。