万博閉幕から1年…今も続く“5億円超”建設費未払い問題 アンゴラ政府が一部“肩代わり” 日本に求められる対応は?【news23】
去年10月まで開催された大阪・関西万博。その裏で、海外パビリオンの建設費未払いが問題となっていて、被害総額は少なくとも5億円にのぼると言われています。閉幕から1年たった今も問題が解決しない中、アフリカ・アンゴラ政府が未払いの一部を“肩代わり”してくれたのです。解決へのきっかけになるのでしょうか。
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万博閉幕から1年 4次下請け業者“工事代いまだ未払い”
2025年10月に閉幕した大阪・関西万博。「未来社会の実験場」を一目見ようと、半年の会期で約2558万人が来場しました。
公式キャラクター「ミャクミャク」の人気は今も健在です。
清水貴太 記者:
「会場の中を見てみると、アイルランドやネパールのパビリオンがあったあたりは、ほとんど更地になっています」
しかし、閉幕から1年経った今も解決していない問題があります。
電気設備の工事などを手掛ける会社のAさんは開幕の2か月前、「アンゴラ館」建設の4次下請けとして電気工事を請け負いました。
アンゴラ政府側は元請け業者に建設費を全額支払ったものの、Aさんの会社には電気工事を請け負った代金の約4300万円が、3次下請け業者から支払われていないと言います。
Aさんは自己資金を使って、工事にかかった人件費や材料代などを協力会社に支払ったといいます。
「アンゴラ館」の4次下請け Aさん:
「協力会社に(工事費を)払わないといけないので、当然会社の利益から捻出したり、自己資金から捻出したり、もうカツカツの中で営業していたというのが実情です」
経済産業省などによると、海外パビリオンをめぐる建設費の未払いをめぐっては、11の海外パビリオンで30社以上から同様の相談が寄せられていると言います。
Aさんは、万博会期中からアンゴラ政府側に被害を訴え続け、2026年4月、アンゴラ政府側から「本来、法的責任を負う立場にはないが、人道上の理由から40%を支払うことを決めた」と連絡がありました。
「アンゴラ館」の4次下請け Aさん:
「アンゴラ政府の方が、こういった言葉を使って対応していただくというのが、もうほんまに深く驚きと同時に感謝」
そして2026年7月、およそ1700万円が確かに振り込まれました。
「アンゴラ館」の4次下請け Aさん:
「安心感というのはすごく大きいですね。満額ではないけど、ただこれだけでも生きていけるようになった。もう弁済も全部終わるとか、消費税払えるということを考えると、それに対する喜びもあります」
今も経営難に苦しむ業者 主催者側は「立て替え払いする根拠はない」
しかし、このように事態が前進したケースは数少ないのが実情です。必要な工事費が支払われないために今も経営難に陥っている業者があります。
未払いを訴える業者:
「今まで当たり前に守ってきた大切なものを全て手放してしまったり、今まで通りの生活ができない、今まで通りの仕事の受注ができない」
未払いを訴える業者:
「銀行とかに、“何とか借り入れできないか”と何べん言ってもさっぱり。冷たい感じですね。万博に携わっている者に貸したら返って来ないと思ってるんちゃうかな」
本来は契約相手の工事業者から支払いを受けるものですが、経理担当者の横領が発覚したり、裁判で争っていたりと、今すぐに費用が支払われる目処が立っていないケースがほとんどです。
こうした中、出展した国側が未払い金の一部を肩代わりした、異例のアンゴラのケースを参考に、業者を救う解決策は見出せないのでしょうか。
博覧会協会の副会長でもある大阪府の吉村知事は。
博覧会協会副会長 吉村洋文 大阪府知事:
「その国の判断、発注者としての判断・責任というのは、ある意味考えるところはある。ただ、これは大阪府も協会もそうですけれども、直接のパビリオンの発注ではない。できる限りのことはしていきたいし、やってるけども、立て替え払いをする根拠はどうしても無い」
あくまで「民間同士のトラブル」という姿勢を崩さない万博の主催者側。これに対し、Aさんら未払い被害を訴える業者は…
「アンゴラ館」の4次下請け Aさん:
「業者だけが悪いという発信が多すぎて、解決に向かわない発信が多すぎる。果たして万博協会、国、大阪府・市の方には問題がなかったのか。この点の議論が全くなされていないと思う」
「被害者の会」は国会議員に働きかけて、今の臨時国会中に未払いの救済法案の提出を目指すとしています。
未払い総額は5億円超…開催国としてできること
上村 キャスター:
万博の華々しさの裏でこのような未払いの被害があるわけですが、閉幕から1年経った今も状況が変わっていないということですね。
MBS 清水貴太 記者:
未払い被害の総額は、裁判などで表になっているだけでも5億円以上とされています。
下請け業者A
「会社の口座残高が一時、3万4000円になった」
下請け業者B
「子どもが大学を中退せざるを得なくなった」
下請け業者C
「家賃が安いテナントに引っ越した」
取材した業者の中からは、こういった声が聞かれており、業者たちは一刻も早く支払いを求めていますが、なかなか行政は動いてくれない現状です。
上村 キャスター:
「子どもが大学を中退せざるを得なくなった」などを見ると、本当に生活まで圧迫されていることが分かります。そもそも「万博の未払いの問題」の背景にはどのようなことがあるのでしょうか?
清水 記者:
背景として大きいのは「工期の短さ」です。
独創的な海外パビリオンを、はたして2年弱で建設できるのかと、日本の大手ゼネコンは軒並み撤退していきました。
そうすると、例えば元請けに海外の企業が入ったり、その海外企業の下請けにこれまで海外との仕事は未経験の中小企業が入ったり…という形で工事のピラミッドが生まれていきました。
当然、参画した中小企業というのは、海外との取引は経験がないので、どういったトラブルがあるのかが分かりません。
例えば、「商習慣の違い」や「コミュニケーションの取り方」。
建設の専門用語ひとつ取っても、それを外国語でどうやって伝えるのか。こういったところが分からずトラブルになり、最終的に未払いにつながっていくわけです。
喜入 友浩キャスター:
ただ、そうした中でアンゴラ政府が1700万円の肩代わりしたというのは驚きました。
清水 記者:
非常に異例ですが、アンゴラ政府は「人道上の理由」から4次下請けのAさんに1700万円支払いました。
アンゴラ政府は、4次下請けのAさんと直接契約を結んでいません。しかも、1700万円の原資はアンゴラ国民の税金です。なので「人道上の理由」としながら、きちんと法的な手続きや議会の承認を経て、肩代わりをしている。ここがポイントだと思います。
喜入キャスター:
日本もここまでとは言いませんが、もっとできることはないのかと思います。
そもそもパビリオンの建設が遅れているなかで、吉村知事側も協力を要請して手を挙げた、という企業もいると思います。
清水 記者:
実際は、開幕に間に合わせようと必死に工事を続け、何とか開幕に間に合わせた。そのような業者が多くいます。そうした方々が結果、報われない状態。つまり代金が未払いの状態になってしまっているわけです。
そうした業者を救おうと、野党から議員立法で救済法案が提出されましたが、2026年始めに衆議院解散され、救済法案は廃案になりました。
吉村知事はこの間、「法的根拠がないからできない」という発言をしていますが、アンゴラのケースを踏まえると、法的根拠をつくって対応することはできるのではないかと思います。
上村 キャスター:
せめて、当面の資金繰りなどを手助けしてほしいと思いますね。
清水 記者:
2025年に出した救済法案も「債権を買い取る形で救済をする」という形で作られていましたが、当面の資金繰りができるよう無利子で融資をするなど、様々な支援策はあると思います。
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<プロフィール>
清水貴太
MBS記者 誘致段階から大阪・関西万博を取材
元大阪府政キャップ