人類史上初「火星圏からのサンプルリターン」へ 探査機MMX 日本が挑む衛星フォボスの砂採取「はやぶさ」の技術継承し2031年地球帰還予定【サンデーモーニング】
20日午前4時41分、鹿児島の種子島宇宙センターからH3ロケット10号機が打ち上げられました。ロケットに搭載されたのは「世界初の使命」に挑む火星衛星探査機「MMX」。
打ち上げから約1時間11分後、「MMX」はロケットから切り離され、火星へと向かう軌道に乗り、打ち上げは成功しました。
火星探査機「MMX」 世界初「火星圏からのサンプルリターン」なるか
火星へと旅立った探査機「MMX」の目的地は、いわゆる「火星の月」です。
火星には「ダイモス」と「フォボス」の2つの衛星があり、どちらもジャガイモのようないびつな形をしています。
そのうちの1つ「フォボス」に探査機を着陸させ、砂などのサンプルを地球に持ち帰るという計画です。
成功すれば、人類史上初めて「火星圏からのサンプルリターン」となります。
火星探査は「生命の起源の探究」と科学的に大きな意義があると同時に、宇宙開発の主導権をめぐる「国家の威信」をかけた争いでもあります。
大気のない「フォボス」目指し 「はやぶさ」から受け継がれた日本の技術
なぜ今回は火星ではなく、その衛星を目指すのでしょうか。
火星には大気があるため、大気圏に突入する際に非常に高い熱にさらされながら安全に着地する技術が必要になるのです。
また火星の重力は月の約2.3倍あるため、地球に帰るときにはその重力を突破しなくてはならず、莫大な予算とエネルギーを必要とします。
一方、フォボスには大気がなく、重力は火星の約650分の1と離着陸のハードルが大幅に低くなるのです。
そして、ここで活きるのが、日本の強みです。
一時、通信が途絶えながらも奇跡の復活を遂げ、小惑星「イトカワ」の微粒子を持ち帰った初代「はやぶさ」。
小惑星「リュウグウ」から約5.4gの砂を持ち帰った「はやぶさ2」。
世界トップクラスの天体のサンプルを持ち帰る技術が、「MMX」にも受け継がれているのです。
サンプル持ち帰る意義 「火星圏」の進化の歴史を読み解くことに
フォボスのサンプルを持ち帰ることにはどんな意義があるのでしょうか。
MMXプロジェクトマネージャの川勝康弘さんは「フォボスは人類未踏の地。火星圏がどのように進化したか、地球などに存在する水や有機物がどこからやってきたのかが明らかになるかもしれない」といいます。
フォボスの地表には、隕石衝突などで火星から宇宙へ吹き飛ばされた土壌や岩石が降り積もっている可能性があります。
つまり、フォボスの砂を持ち帰ることは、火星を含む「火星圏全体」の進化の歴史を読み解くことにもつながるのです。
求められる精密な着陸技術 採取・回収には壁も MMXは2031年に地球へ
しかし当然、壁も立ちはだかります。
フォボスは起伏が多く、安全にサンプルの採取に適した場所に降り立つには、目標から誤差10m以内の精密な着陸技術が必要になります。
また、フォボスには火星の引力が干渉し、複雑な力が探査機にかかり続けるため、機体を安定させることも簡単ではないのです。
火星をめぐっては、▼アメリカは現在も探査機が稼働中で、すでにサンプルを採取していますが、回収計画は莫大な費用が壁となって難航。
一方、▼中国は2028年にサンプル回収に向けたロケットの打ち上げを計画しています。各国がしのぎを削る中、日本の探査機が世界初の快挙に挑みます。
MMXが地球に戻ってくるのは2031年の予定。日本が再び宇宙探査の歴史を塗り替えることができるのでしょうか?