相次ぐサイバー攻撃 「eギフト」不正発行で約5億5000万円の損失か “身代金”要求されたGMOは…「能動的サイバー防御」の実効性は【news23】
「あす(27日)正午までに100万ドル=およそ1億6000万円を支払え」、サイバー攻撃を受けたGMOに突きつけられたのは身代金の要求でした。攻撃側は、応じなければ盗んだ個人情報などを公開するとしていて、タイムリミットは13時間を切っています。
【写真を見る】「能動的サイバー防御」の対象 15の基幹インフラ一覧
相次ぐサイバー攻撃 「eギフト」は不正発行により約5.5億円損失か
相次ぐサイバー攻撃に対し、政府は緊急対策として26日夕方、サイバーセキュリティの関係閣僚会議を開きました。
高市総理
「漏えいした情報を悪用した二次被害への不安が高まるなど深刻な事態となっており、早急な対策を強化していく必要がございます。来週中を目途に政府としての緊急対策パッケージを取りまとめます」
高市総理は、被害を受けた企業がどこに相談しても、必要なサポートを得られる体制を整えるよう指示。来週中をめどに緊急対策パッケージを取りまとめる考えです。
26日も相次いだ、不正アクセスの発覚。
楽天グループは「楽天トラベル」の利用者の個人情報が、最大260万件流出した可能性があると発表しました。
また、メール配信事業などを手がける「ユミルリンク」では、延べ5162万件余りの個人情報の漏えいが判明。
このサービスを使用していたJR東海、JR西日本、JR九州は新幹線のネット予約サービスなどの利用者の情報が流出したと発表しました。
さらに、オンライン上で送れるデジタルギフトを展開するギフティグループは、「eギフト」が不正に発行されたと発表。損失は約5億5000万円に上る見込みです。
GMOに“身代金”要求 「あす正午までに100万ドル支払え」
一方、サイバー攻撃で利用者に実害が出た「GMOインターネットグループ」。
26日夕方、熊谷正寿社長は自身のブログで攻撃者側から5000万ドル、日本円で約80億円を要求されていたことを明らかにしました。21日午後5時までの送金を求められましたが、要求に応じていないとしています。
さらに、同じハッカー集団によるものかは分かっていませんが、別の脅迫も…
“ハッカー集団の犯行声明”
「27日正午(日本時間)までに、我々が要求する100万ドル($1M)を支払えば、顧客に対するランサムウェア攻撃や、その他の情報公開は行わない」
27日正午までに約1億6000万円をGMOに支払うよう要求。応じなければ、サーバーを利用していた顧客個人のデータにも攻撃を加えると脅迫しています。
GMOサービス利用 FX歴10年の男性(44)
「ちょっとドキドキしながら過ごすしかない。なにがやってくるんだろうなって。もう何にもしようがないですからね」
GMOのサーバーを利用してFX取引をしていた男性。21日、わずか2秒で400万円以上を失い、今度は個人情報流出の危機に直面しています。
GMOサービス利用 FX歴10年の男性(44)
「踏んだり蹴ったりだなという感じですね」
サイバーセキュリティの専門家は今回の攻撃の特徴について…
S&J 三輪信雄 社長
「(サーバーと)繋いでいた家のパソコンが、今度は乗っ取られてしまい、それがまた脅迫の対象になっている。二段構えになっているところが今回の大きな特徴」
GMOはサーバー2万6739件が不正アクセスの影響を受けた可能性があるとしています。
「どうか共に力を合わせて」GMOは能動的サイバー防御の実施を政府へ緊急要請
では、なぜ利用者のパソコンにも影響が及ぶのでしょうか。
テナントビルに例えると、約2万7000ある部屋のうち、1つの部屋の鍵を借りたうえで、管理室からすべての合鍵を盗み出したようなものだといいます。
その合鍵を使ってほかの部屋にも侵入し、不正な取引を行ったり、利用者のパソコンからデータを盗んだり、ウイルスを送り込んだりすることも可能になると専門家は指摘しています。
GMOは利用者に一律5000円の見舞金を支払うほか、不正取引が確認された場合は損失を全額補償するとしています。また、サイバー攻撃者の追跡や無力化に向けた実効的な措置をとる「能動的サイバー防御」の実施を政府へ緊急要請したことに触れ、こう訴えました。
GMO 熊谷正寿 社長
「国民の財産と日本のサイバー空間の未来を守るために、どうか共に力を合わせてください」
GMOが緊急要請した「能動的サイバー防御」実効性は?
藤森祥平キャスター:
今回、GMOが政府に緊急要請している「能動的サイバー防御」とは、サイバー攻撃をした発信元に対して、警察や自衛隊がアクセスをして無害化するという措置です。
措置を行う際には、原則として事前に第三者機関の承認が必要です。10月に可能になった「能動的サイバー防御」は、実際に使えるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
政府の関係者に聞いてみると、攻撃する側が高度化して、非常にスピードも早く、大規模になっているそうです。
一方で、守る側が脆弱なので追いついていない。
元々は、「日本語」があるので、アクセスできないだろうと思っていたのですが、AIの普及で日本語の壁も突破してきました。
それから、日本は対策の遅れや資産規模の大きさから格好の標的になっているというのが今回の背景だと思います。
小川彩佳キャスター:
今回、GMOが「能動的サイバー防御」を要請していますが、政府は応じるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
「能動的サイバー防御」の対象は、電気、ガス、石油、水道、鉄道、貨物自動車運送、外航海運、港湾、航空、空港、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカードの15の基幹インフラが中心です。GMOが「金融」に当てはまるかどうか非常に難しいというのが、政府の見解です。
元々、15の基幹インフラでないと「能動的サイバー防御」の対象にならないという枠組み自体が、無理があったのではないかという反省もみられます。
個人でできる対策は 便乗したフィッシングメールにも注意
小川キャスター:
今後もサイバー攻撃による被害が再び起こることも考えられますが、政府による迅速な対策が求められる中、急ピッチで対応策を最大限練っていかなければなりません。
連日、各社から新たな被害が出ている中で、個人としてできる対策というのはどういったことなのか、サイバーセキュリティに詳しい、三井物産セキュアディレクションの福田美香さんに聞きました。
「パスワードを使い回さない」「二段階認証を活用」といった基本的な対策はもちろん行ってください。しかし、 今回のようにサイバー攻撃が多発していると、便乗する形でフィッシングメールなども増えていくそうです。こういったことにも注意してください。
「情報流出のお詫び」「補償のお知らせ」などのメールが来ると、ついリンクを開きたくなってしまいますが、それがフィッシング詐欺だったという可能性もあります。
まずは、企業の公式ホームページなどで確認していただくということが望ましいということです。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
このままだと被害がどんどん増えていく可能性があるのですが、警察等で追跡できないという事態になりつつあります。
早く、今までの体制を見直す必要もありますし、「サイバー攻撃」に対抗する人材の確保がまだ追いつかないので、これも急ピッチに進める必要があると思います。
今からでも遅すぎるくらいですが、一刻も早く進める必要があります。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 元朝日新聞ワシントン特派員