『自分たちらしい正解』を探して~ゲームと対話で見直す家庭内のジェンダー平等~

家事分担、理想は「半々」でも現実は「妻が負担」
夫婦の家事・育児の分担、皆さんのご家庭では理想通りにいっていますか?
千葉県船橋市が昨年度行った「男女共同参画市民アンケート報告書」によると、掃除や洗濯などの家事は「夫婦で半々とするのが理想」と答えた人がおよそ7割でした。ですが、現実は「主に妻が行っている」との回答がおよそ5割という結果が出ています。
「理想と現実の大きなギャップ」をどうやって埋めていけばいいのか。10月24日に船橋市男女共同参画センターで開催された『第29回 船橋市男女共同参画フェスティバル』にて、家事・育児の分担をテーマにした2つのユニークな企画を取材しました。
おしゃべりカフェでこぼれた「切実なモヤモヤ」
一つ目の企画は、昨年設立40周年を迎えた「ふなばし女性会議」が開いた『ジェンダーおしゃべりカフェ~家事シェアの理想と現実は?~』です。
会場には女性十数名が集まり、4、5人ほどのグループに分かれて「家事シェアの理想と現実」について自由に話し合っていました。実際にその輪に入って耳を傾けると、参加者の皆さんからは家事に関する切実な「モヤモヤ」が飛び交っていました。
「ガラスがちょっと曇ってるなと思ったら、サッとすぐ拭くのは私です。ガラス汚れてきたなって言うのは旦那です」
「ごみを出しはやるけど、ごみ箱を空にした後に新しい袋を入れることはしない!」
「ごみを束ねたら持って行ってくれるんだけど、束ねるまでの作業は全部わたし…」(おしゃべりカフェ参加者の声)
ふなばし女性会議代表の佐々木昌子さんは、こうした現状について次のように語ります。
「家事・育児は人間が生きていくのに当然必要なものです。だから、男も女も関係なく、誰もが当然の自分たちの義務、自分たちのこととして捉えて関わっていくことが大事なのではないでしょうか」(ふなばし女性会議代表・佐々木昌子さん)
家事トラブルを2人で倒す!パートナーと挑む協力型カードゲーム
『手伝う』のではなく『自分のこと』として捉える。そのためにユニークな取り組みを行っているのが、一般社団法人「チーム主夫ラボ」です。当日は、主夫ラボが開発したカードゲーム『カジークジー』の体験会が開かれていました。
このゲームは、プレイヤーが勇者や賢者になり、日々ランダムに襲いかかってくる「家事・育児・仕事」のトラブルを、役割分担しながら対処していく協力型のゲームです。タスクを引き受けると自分の生命力が減っていくため、お互いの疲れ具合を見ながら助け合うのがポイントです。体験会にはご夫婦だけでなく、女性同士のペアなど様々な方が参加し、「頑張って協力してまーす」「やっと週末!(回復できる)」とゲーム感覚で楽しむ様子が見られました。
トラブルカードの内容はリアルに作られています。『真夜中に轟く夜泣き!』というカードの裏には「眠っているどころではない咆哮。無限のエネルギーで泣き続ける我が子を抱いて、家の中をうろうろ」。参加して『じいじと子が体調不良になりました』というカードを引いた方からは「現実で起きたら大変なんだろうなと衝撃を受けました」といった感想もありました。
また、こうしたトラブルに対処するための「ヘルプカード」には、「遠くの親戚より近くの“ファミリーサポート”」など、本当にある行政の支援サービスが盛り込まれており、カードに書かれているQRコードを読み込むと実際の登録画面に飛ぶなど、ゲームを楽しみながら現実の解決策に直接つながる仕組みになっています。
対話を通じ「自分たちの正解」を作るきっかけに
チーム主夫ラボ代表理事の髙木駿さんは、ご自身も主夫としてワンオペ育児を経験されました。その経験を活かし、男性にも楽しく家事育児を学んでもらおうと、このカジークジーを開発したと言います。
「家事育児の分担とか、介護も含めそうですけれども、正解は『こうあるべき、こうすべき』っていうものは、僕はないと思っています。やっぱり対話しながら、自分たちの家庭のスタイルとかあり方を、それぞれの家庭で考えて形づくっていく必要がありますよね。でも日常生活が忙しいとうまくいかない。このカードゲームがきっかけになったら本当に嬉しいなと思っています」(チーム主夫ラボ代表理事・髙木駿さん)
ゲームを通して、パートナーと対話する。見えない負担や相手の思いに気づくことで、ふたりにとっての「自分たちらしい正解」が見つかるかもしれません。
「家事シェアについて話し合いたいけれど、どうすればいいか分からない」「もっとチームとして協力し合いたい」という方は、ぜひ一度『カジークジー』を体験してみてはいかがでしょうか。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当 : 工藤優作)