重要な事柄が二の次となりバランスの崩れた様子をあらわす「本末転倒」。
重要ではない要素が優先されてしまっている状況に対しても用いられるこの「本末転倒」。
その意味や用い方、類義語についてここでは解説します。
「本末転倒」とは
ここでは、「本末転倒」がどのような意味なのか、どのような用い方をする語句なのかを解説します。
「本末転倒」の意味
「本末転倒」は、物事の根本的な要素と副次的であったり重要度の低い事柄の優先度が取り違えられている事を意味します。
本来は重要ではない事項が優先されてしまうことでバランスが崩れた状況にあることをあらわす際にも用いられます。
この本末転倒の「本末」は根本的なことと物事の枝葉なことです。
「本末転倒」の用い方・例文
「本末転倒」は、大切な事と瑣末な事を取り違えて行動したり、考えを抱いていることに対して使用します。
手段と目的が入れ替わっている事を指摘する事もあります。
・例文1:お金を稼ぐことばかりに執着する生き方は本末転倒だと思う。
・例文3:本来の目的を見失って形式ばかりにこだわるのは本末転倒である。
・例文4:安全よりも利益を優先する企業の姿勢は本末転倒でしかない。
・例文5:他人の評価ばかり気にして自分の成長を蔑ろにするのは本末転倒な行為だと言える。
「本末転倒」の類義語
ここからは「本末転倒」の類義語を解説します。
類義語としては、「冠履転倒」や「釈根灌枝」「主客転倒」などがあげられます。
冠履転倒
「冠履転倒」は、物事の順序・価値・関係性などが逆転しており乱れていることを意味します。
この言葉は、「冠と履物の位置が逆になっている様子」から来ています。
釈根灌枝
「釈根灌枝」は、無駄なことに気を取られて大事な部分を疎かにしてしまっていることを意味します。
「木の根には水を与えずほったらかしにしているのに、木の枝にばかり水をやっている」様子から来た言葉となります。
主客転倒
「主客転倒」は、本来の立場・順序・軽重などが逆転することを意味します。
また、主要なものと付属のものが逆転している事にも用いられます。
似たような言葉との違い
「本末転倒」には、「元も子もない」や「身も蓋もない」といった似たような意味の言葉があります。
しかし、両者とは意味自体は異なるのです。
「元も子もない」との違い
「本末転倒」と混合されることもある「元も子もない」。
この「元も子もない」は、欲張った末に全てを失ってしまうことを意味します。
投資した事で得るはずだった「利子」も投資した「元金」も失った状況から来た言葉となります。
「本末転倒」は大切なものを見失っていたり力の入れ方を間違えることを意味しますので、失った状況に対して用いる語句ではないという違いがあります。
まとめ
「本末転倒」は、最も優先すべきものや大事なことが疎かになっている状況に対して用いられます。
手段と目的が入れ替わってしまっていることを伝えるという意味で用いられる事もあります。
類義語としては、「冠履転倒」や「釈根灌枝」「主客転倒」などがあげられます。