オーストラリアで、猫と遊んで傷ついた手のまま土いじりをした女性が、重い感染症にかかって壊死性腸炎を発症しました。通常は死に至る病ですが、奇跡的に回復を果たした彼女。研究者たちは、今後の治療に道を開くものと期待しています。
めずらしい病原体
オーストラリアのシドニーに住む女性は、猫と遊んだあとで恐ろしい菌に感染し、重い病気にかかっていましたが、このたび奇跡の回復を果たし、医師たちを驚かせています。
この女性(匿名・48歳)は、めずらしい病原体「気腫疽菌」(clostridium chauvoei)による壊死性腸炎を発症しました。これまで人で発症したケースはわずかで、通常は羊や牛などの家畜が感染し、黒脚症を起こして死亡してしまいます。
この病気は腸内の組織に炎症や壊死を起こすため、腹部が腫れて血便などの症状が見られます。女性の場合は、猫と遊んで手に傷ができていたのに、そのまま素手でガーデニングをして土に触れたために感染したとみられています。
病院に緊急搬送されて損傷した腸を治療する緊急手術を受け、その後も10日間、治療を受け続けました。
これまでも乳児などが死亡
ニューサウスウェールズ大学の研究者によると、人が気腫疽菌に感染した例は、過去に2件しかなかったということです。いずれの場合も患者は壊死性腸炎を発症して死亡しています。
でも彼女は幸運にも生き残ったのです。これによって「いままで致命的だと思われてきた病気」(「Medical Journal of Australia」誌による)に、回復への希望が持てるようになったといえます。
壊死性腸炎は、胃や腸が未発達で腸内組織が損傷を受けやすい乳児、とくに早産児に影響を及ぼすことがあります。2022年8月には、わずか11週間で生まれたクイーンズランド州の赤ちゃんが、この病気で腸が裂けてしまい亡くなっています。
今後の治療に希望が
発症後ただちに抗生物質を投与して手術し、高圧酸素療法を行うことによって、この病気にかかっても生存できる可能性が出てきた、と研究者たちは希望を持っています。
羊の場合は毛刈り、断尾、去勢、分娩のときのケガ、または出生直後のヘソからの感染で、この病気にかかることが多いのです。
なお、シドニー地方保健局(Local Health District)は、患者の個人情報保護のため、これ以上の詳細な内容は公開できないと声明を出しています。
出典:https://www.dailymail.co.uk
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