「政治資金規正法の目的をないがしろにする犯行」。自民党の派閥の裏金事件で、東京地裁はこう指摘し、安倍派の会計責任者に執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。
【動画】「国民の政治不信を招いた」自民党・安倍派の会計責任者に禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決 東京地裁
自民党を揺るがした派閥による裏金事件。東京地検特捜部の家宅捜索からおよそ9か月が経ったきょう、事件は一つの区切りを迎えました。
自民・安倍派 会計責任者 松本淳一郎被告(77)
「(Q.きょう判決ですが)…」
きょう、無言で家を出た自民党安倍派の会計責任者・松本淳一郎被告。
派閥のパーティー券収入や議員へのキックバックなどの収支あわせておよそ13億5000万円を収支報告書に記載しなかった罪に問われています。
これまでの裁判で、松本被告は一度は中止が決まった議員へのキックバックが続いた経緯について…
松本被告(キックバック続いた経緯について)
「“ある幹部”から相談を受け、その後の会議で続けることになった」
松本被告が証言する「ある幹部」。「(幹部)本人が話していないため」として頑なに明かしませんでした。
また、「虚偽記載をやめたほうがいいと幹部に言い出したことはあるか」と検察側から問われると、「今の幹部ではなく、昔の幹部には何度か話したことはある」と明かしていました。
そしてきょうの判決で東京地裁は…
東京地裁の判決
「キックバックの継続について派閥の幹部らで話し合われるなど、虚偽記載を止める契機を得たのに結局、虚偽記載に至った。政治資金規正法の目的をないがしろにする犯行で、国民の政治不信を招いた」
こう指摘し、松本被告に禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
一方で、「安倍派の会長や幹部らの判断に従わざるを得ない立場にあり、権限には限界があった」とも述べました。
裏金作りがいつ始まり、なぜ続いてきたのか。法廷の場でも謎は明らかになりませんでした。