中国・北京の小学校前できのう、児童らが切りつけられました。巻き込まれた日本人はいませんでしたが、中国では同様の事件が相次いでいます。背景にいったい何があるのでしょうか?
記者
「きのう事件が起きた小学校前です。周辺には多くの警察官が配置されています」
事件があったのは、きのう午後3時半ごろ、ちょうど小学校の下校の時間帯でした。
これは、事件直後の現場の映像だとして中国のSNSに投稿された動画です。
中国メディアによりますと、下校し始めた小学生らに対し、男が刃物を振り回し、児童3人を含む5人がけがをしました。
近隣住民
「本当に恐ろしい。ここは子どもたちの通学路です」
公安当局の発表によりますと、事件を起こしたのは50歳の男だということですが、動機は明らかになっていません。
いま、中国では切りつけ事件が相次いでいます。中国東部・浙江省では1週間前(22日)に登校中の親子が男に襲われたばかりです。先月には、広東省・深セン市で日本人学校の男子児童も刃物で襲われ死亡しています。
北京市民
「毎日、自分の子どもを学校に送るとき、子どもが安全な場所に入るまで安心できません」
「(このような事件は)増えると思います。社会の圧力が強く、生活環境が良くありません。給料が低くて、生活コストが高いので。反社会的な人が多くなりました」
中国社会に詳しい東京大学大学院の阿古智子教授は、高い失業率など中国社会が経済的に低迷していることが事件の背景にあるのではと指摘。そのうえで、中国政府としても相次ぐ事件の発生を隠しきれなくなっているのではと分析します。
東京大学大学院 阿古智子教授
「これまでの中国政府のやり方だと、とにかく(事件の発生を)消していく、封じ込めていくという政策をとっていました。ネットの環境の監視を強化したり。それが機能しないことが明らかになってきています」
相次ぐ事件は、中国社会を覆う閉塞感のあらわれなのかもしれません。