猫が患う病気の中には、視力の低下を引き起こすものがあります。一見すると目に関係ない部位の病気であっても油断は禁物です。本記事では、どのような病気が視力に悪影響を及ぼすのか、猫の目があまり見えていないときのサインと合わせて紹介します。視力が落ちていることで起こる異変にいち早く気づき、対処できるようにしましょう。
1.慢性腎臓病
慢性腎臓病は猫によく見られる病気で、腎臓の機能が3ヵ月以上の長期にわたって徐々に落ちていく病気です。
病気が進行していくと体内の老廃物や水分、塩分を適切に排出するのが難しくなります。色々な症状を引き起こしますが、高血圧も症状として現れることがあります。
高血圧になると目の網膜の毛細血管が傷ついたり、眼底の出血を引き起こしたりするなど猫の視力に影響を及ぼします。高血圧により突然失明してしまうこともあるため、早期発見・早期治療が大切です。
また、慢性腎臓病の初期は症状があまり見られず、疑いを持ったときにはある程度進行している可能性があります。目の異変と合わせて、多飲多尿・体重減少・便秘・嘔吐・下痢といった体調の変化も見逃さないようにしましょう。
2.緑内障
緑内障は、眼球内にある房水が正常に排出されず眼圧が異常に高くなり、視神経にダメージを与えてしまうことで視力に悪影響を与える病気です。
眼圧が高くなると神経障害を引き起こし視力が低下していくだけでなく、失明の危険性もあります。緑内障は進行が早い病気ですので、異変にいち早く気づいて治療をすることが回復の鍵です。
緑内障の症状には、視力の低下以外にも以下のような症状も現れます。
- 目を痛そうにする(触らせないようにする)
- 白目が充血して赤く見える
- 目やにが増える
- 瞳が濁って見える
- 黒目が大きくなる(瞳孔が大きく広がる)
- 目が飛び出しているようにみえる
このようなサインに気付いたら、速やかに動物病院を受診しましょう。
3.糖尿病
糖尿病は、血糖値を調節する働きを持つインスリンというホルモンが不足、もしくは出ているインスリンが十分でも働きが悪くなることで血糖値が慢性的に高くなってしまう病気です。
高血糖の状態が続くと、網膜が傷つき視力の低下を引き起こす「糖尿病性網膜症」という合併症を併発する可能性があります。進行した場合には失明の危険性もあるので早期発見・早期治療が重要です。
糖尿病になる主な原因は、以下の通りです。
- 遺伝的要因
- 肥満
- ストレス
- 膵炎
- 食事内容
猫に多いのは「2型糖尿病」」といわれるものでインスリンの量は十分なのに効きにくくなることでおこる糖尿病のタイプです。、犬と比べると猫の方が糖尿病にかかりやすいといわれています。普段の食事や運動習慣といった生活習慣を見直して整えましょう。
4.ブドウ膜炎
ブドウ膜炎は、猫の目を構成している「虹彩(こうさい)」「毛様体(もうようたい)」「脈絡膜(みゃくらくまく)」を総称した「ブドウ膜」の一部、または全てに炎症が起こってしまう病気です。
ブドウ膜の主な働きは、目に入る光の調節や眼圧の調整、眼球への血液や栄養の供給です。そのため、炎症が起こると視覚の機能に障害を引き起こしてしまい、視力の低下につながります。
猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)、猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)といったウイルス感染症や寄生虫などへの感染、緑内障、高血圧症など、視力低下の原因は様々です。
目の炎症の治療とともに原因となっている病気も治療しなければならないため、普段から体調に異変がないかどうかをしっかり観察しましょう。
猫の目があまり見えていないサイン
猫の目が思うように見えていない場合、以下のようなサインが現れることがあります。
- 壁や家具にぶつかりながら歩く
- 少しの段差でも転ぶ
- 慎重に歩く
- 高いところに上らない
- 食欲がない
- 水を飲もうと鼻先を水につけた時に驚く
- トイレがうまくいかない
- おもちゃに反応しない
普段の生活で愛猫の行動に異変が見られたり、目やにが増える、目が充血するといった症状が現れたりした場合は、速やかに獣医師に診察を依頼しましょう。
まとめ
今回は猫の視力低下を招く病気を4つ紹介しました。直接的な目の病気だけでなく、腎臓病や糖尿病といった病気も、視力に悪影響を及ぼすことがあります。
病状が悪化すると失明のリスクが高まる病気もあるため、愛猫の様子をよく観察して早期発見・早期治療できるようにしましょう。
健康な猫であっても、普段の行動に変わりがないかをチェックしたり、定期的に健康診断を受けたりすることが大切です。
どのような猫でも病気にかかって視力低下するリスクはあります。愛猫の健康を守るためにも日々の目配りをきちんと行いましょう。
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