あすから「育休」新制度 “両親ともに取得”で育休中も手取り10割相当に 男性の取得率はあがる?【Nスタ解説】
あす4月1日からは、両親がともに育児休業を14日以上取得した場合、一定期間は、休業前の手取りと同額程度の給付金が受け取れるようになります。
育休中も手取り10割相当に
高柳光希キャスター:
4月1日から変わる育児休業の制度についてです。
TBS報道局 社会部 岡村仁美 記者:
「育児休業給付金」は、現在の制度では母親・父親ともに、▼原則子どもが1歳になるまで取得でき、▼最大180日間、手取りの8割相当の給付を受け取ることができます。
4月1日以降は、両親がともに14日以上の育休を取得した場合、最大28日間は手取りの10割相当の給付金を受け取ることが可能になります。
ただ、女性の場合は「産休後8週以内」、男性の場合は「生後8週間以内」と育休を取得する期間が決められています。
この制度によって男性の育休取得率を上げることが狙いで、政府は2025年の男性の育休取得率50%を目標に掲げています。
厚生労働省のHPによると、2023年度の育休取得率は、▼女性84.1%、▼男性30.1%となっていますが、育休取得日数でいうと、▼女性(6か月以上)92.5%、▼男性(1か月未満)58.1%とかなりの差があります。
井上貴博キャスター:
手取りを保障するのは重要ですが、期間が短いという見方もあるでしょう。
男性の育休取得率が9割を超えているというスウェーデンでは、父親でも3か月は育休を取得する仕組みができているということです。
複合的にさまざまな施策を打たなければ、なかなか変わらないのだろうと思います。
経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
取得期間が産休から8週以内などと期限があり、取りづらいという課題もあると思います。
民間企業の中には、(育休取得者と)一緒に働くメンバーにも負荷がかかるため、メンバーに対して補填するといった取り組みが先進的に進んでいる企業もあります。
そういった部分まで複合的に考えなければ育休を取得しづらい環境があるので、そこを後押ししていく必要性はありますよね。
井上キャスター:
確かに不公平感は出てくるかもしれません。
出水麻衣キャスター:
今は女性も男性も両方が働いているので、同じ時期に休むことが良いのかという議論もあると思います。
井上キャスター:
取得期間をずらせる仕組み作りがあってもよさそうですね。
(育休を)取らせる側の立場としては、人手不足の問題もありますね。
スーパー「アキダイ」社長 秋葉弘道さん:
子どもを出産する順番を決めるわけにはいかないので、複数の人が育休を取る可能性もあります。
女性だけではなく男性も(育休)となると当然、人数も増えますから、その点で企業への負担はある程度大きくなるのは間違いないと思います。ただでさえ人手不足の中なので、企業が何とかできるかというと厳しい状況でしょう。
“簡単には休めない”という状況なので、現在の日本の(育休)取得率は納得できる数字です。「休ませてあげたい」という気持ちがあっても、「休まれたら困る」というジレンマですね。
井上キャスター:
働きやすい企業になる必要はありますが、企業によっての格差も生まれてしまうかもしれないですね。
“パパの育休”いつ欲しい?
TBS報道局 社会部 岡村 記者:
実際に、男性にはいつ・どれくらい育休を取ってほしいと思っているのでしょうか。
1歳の子を持つ母親
「(夫は育休を)出産後すぐに1か月ぐらい取れればすごくよかったですけど、給料のこととか色々と考えて(夫は2週間くらい取得した)」
3歳の子を持つ母親
「(私が)復職してからも子どもは保育園に預けるんですけど、しょっちゅう熱とか出してお迎えがあるので、そういった面でも(夫には)休んでもらえるとよかったかなと思いますね」
1歳5か月の子を持つ母親
「(子どもが)動くようになってからが大変だなと。歩き始めてからとか」
生後6か月と2歳6か月の子を持つ母親
「里帰りできなくて誰も助けてくれる人がいなくて。ベビーシッターも(生後)0か月からは少ないとなったら、(給付対象の)縛りがあった方がいいのかなとは思いますけど。ただ手立てがある人からしたら、もうちょっと柔軟にできれば嬉しいなと」
高柳キャスター:
お給料の面や働く順番に対して、街の人からはいろいろな意見がありました。双子の育児をしている岡村記者はいかがですか。
TBS報道局 社会部 岡村 記者:
私は里帰り出産だったので、産後直後よりも、むしろ双子を抱えて復職した直後が大変でした。本当に人によって大変な時期は違うと思います。
井上キャスター:
その違い、仕組みとして作っていくのは難しいですね。
馬渕磨理子さん:
育休取得を後押しするため、休業前の手取りの10割給付というのは素晴らしいですが、やはり縛りがあるので、取得期間などが各個人にあわせて柔軟になればと思います。
まずは「育休取得」が政府の第一歩
高柳キャスター:
男性は「生後8週間以内」に育休取得という点、厚労省はどのような考えを示しているのでしょうか。
TBS報道局 社会部 岡村 記者:
厚労省の幹部によると、なぜ生後8週を10割支給の対象にしたのかについては、▼母親にとっては産後の時期が身体的に一番大変であり、▼父親にとっても、早期の育児参加が子どもへの愛着形成につながるためだということです。
取得日数は増えるのか?という点については、「将来的にはパパにも長く取ってほしい。ただ、企業側の理解も必要なので、まずは使われやすいところから制度を作った」といいます。
政府としては、まずは男性にも育休を取ってもらおうというところが第一歩ということです。
出水キャスター:
現状、男性はどのくらい育児に貢献しているのでしょうか。
TBS報道局 社会部 岡村 記者:
2021年の総務省の調査によると、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦が家事・育児などにかける時間は、▼女性は6時間33分、▼男性は1時間55分ということです。共働きでもこれだけの差があるわけです。
出水キャスター:
秋葉さんは、家庭内での分担はどうされていましたか。
秋葉弘道さん:
私は親と同居で、子どもが小さいうちはかなり助けられました。
育休(取得)が進めばいいという気持ちもありますが、私自身は子どもが起きる前に仕事に行き、子どもが寝てから帰るという状況でしたので、育児には携われていなかった後悔があります。
休みの日には、私が(子どもの)面倒を見て、奥さんには自由にしてもらうというのが精一杯でした。
本来は見るべき子どもの成長を見れなかったことを後悔していますから、これからの人たちにはそういう後悔をして欲しくないと思います。
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<プロフィール>
馬渕磨理子さん
経済アナリスト 日本金融経済研究所代表理事
“日本一バズる”アナリスト
様々なお金の話をわかりやすく解説
秋葉弘道さん
23歳でスーパー「アキダイ」創業 青果のプロ
年間テレビ出演本数300回超
岡村仁美
TBS報道局社会部 厚生労働省担当
5歳双子女児の育児中