“年末のお金事情” 冬のボーナスの使い道は…あなたは「何に」「いくら」使う?“減税”めぐる動きも…「住宅ローン減税」中古住宅への支援を拡充【news23】
12月10日は国家公務員や多くの企業などで冬のボーナスが支給されました。最新の調査によると、今年のボーナスを増額した企業は約2割にとどまっています。物価高が続く中、みなさんの“実感”は?
「こんなものも!?」家の中に眠る不要品にも意外な価値が
「捨てられそうなお宝はこちら」
フリマアプリ「メルカリ」の体験型施設には、実家を思い起こさせる「平成レトロ」な空間が広がり、懐かしの品が所狭しと並んでいました。
来場者
「たまごっち」
展示されているのは、実際にメルカリで取引が成立した商品です。
記者
「90年代に流行ったスキーウェアを調べてみると、数千円から1万円以上で売れているものもあります」
この施設では年末の大掃除に向けて、家の中に眠る不要品にも意外な価値があることを体験できます。
来場者(20代)
「NINTENDO64と週刊少年ジャンプ。ジャンプが思ったより価値が高くなっていてびっくりした」
――大掃除の時、いらないものは?
「ずっとタンスに眠っていますね。掘り起こしてみようかなと思いました」
来場者(60代)
「『こんなものも(売れるんだ)』って思いました。こういう昔のものも需要があるんだ、ほしい人がいるんだなと感心した」
12月の冬のボーナスは何に?使い道TOP10に「投資類」ランクイン
何かと物入りで、出費がかさむ12月。いま、多くの人が楽しみにしているのがボーナスです。
10日、国家公務員に冬のボーナスが支給されました。平均は約70万2200円。2024年に比べて約1万9800円減りました。多くの企業でも支給が始まっています。
最新の調査では、約2割の企業が金額を引き上げるとしている一方、約4割が変化なしとしています。
街でそれぞれの事情を聞きました。
――冬のボーナスは?
20代 外食業
「初めてです。楽しみです!海外旅行したいなって思ってます。20代のうちは旅行とかに使いたいなと」
――貯金っていうよりは...?
「使います」
30代 エンタメ系
「交通費だなってくらいの少なさでした。奥さんにプレゼントを買います。貯金には回せないです。むしろマイナスになりそうです」
使い道をめぐったランキングでは、トップ3が2024年と同じです。
【“冬のボーナス”使い道ランキング】
1位:貯金・預金
2位:旅行(宿泊を伴うもの)
3位:食品(ふだん食べるもの)
4位:財形貯蓄
5位:外食
6位:投資信託
7位:株式
8位:衣服
9位:食品(取り寄せ品など)
10位:ローンなどの返済
※「Pontaリサーチ」調べ
上位10位では、「投資類」がランクインしています。
60代
「貴金属か何かを買おうと思っています。ブレスレットです。還暦なので自分のお祝いで」
30代 通信業
「60万円いくかなくらいだと思います。いつも買わない服とかを買ったりしようかなと。でも正直、7割くらいは貯金している気がします」
年末セール家電の買い替え “セカンド冷凍庫”が人気!?
ボーナスの使い道の1つとなっているのが家電です。店側もボーナス商戦にあわせ、セールなどを実施し、客を呼び込みます。
洗濯機を求める夫婦
「年末だとセールをやっている可能性が高いですし、ちょっとボーナスとかも出て、懐もちょっとあたたかくなると思って来ました」
ひときわ、賑わっていたのが冷蔵庫の売り場です。
冷蔵庫を求める夫婦
「大きくサイズアップしようという段階にきてます。“作り置きして冷蔵庫に保存できる”容量の部分が一番気になっています」
昨今の物価高も反映されてか、今、こんな商品も人気だといいます。
店員
「(食品を)安いときに、買えるときにまとめてたくさん買うという人が増えています。そういったときに、冷蔵庫がぱんぱんだったりすると『買いたくても買えない』というお悩みをよく聞くので、そういった目的で『セカンド冷凍庫』を選ぶ人が増えています」
年末に向け、財布と向き合う時間がますます増えそうです。
「賃貸」「持ち家」どっち? 住宅ローン減税拡充へ
藤森祥平キャスター:
減税でも動きがありました。政府・与党が住宅ローン減税の対象を広げるということです。
中古住宅への支援を拡充するという住宅ローン減税。今まで賃貸一択という人が、いよいよ購入する流れになりそうですか?
23ジャーナリスト 片山薫さん:
少しはやっぱり“お得感”があるので。
藤森キャスター:
【住宅ローン減税 何が変わる?(中古住宅の場合)】
残高:最大3000万円→4500万円
期間:10年→13年
面積:50平米以上→40平米
片山薫さん:
新築並みになっていくということです。
藤森キャスター:
例えば、中古物件の購入に35年ローンで5000万円を借り入れ、最も優遇された場合、これまでは約210万円減税額として控除されるということでした。これが拡充された後は、約360万円控除されます。
つまり、約150万円が手元に戻ってくるという感覚になります。
片山薫さん:
ちょっとお得になるという感じはあるかもしれません。
小川彩佳キャスター:
選択肢は広がりますよね。
トラウデン直美さん:
ただ私自身は賃貸に1人で住んでいるので、どうかなと思うところなんですけど、やはり消費を促したいというところがあるのでしょうか。
片山薫さん:
やはり家は最大の買い物になるので、本来だったら新築を優遇して、スクラップアンドビルドして…経済回すという意味では理想です。ただ、やはり今は資材も高い、人もいない、そして土地も高いという中で、やはり中古を買う方が多いというのが現実ですね。
今回の減税はお米券に近い?
トラウデン直美さん:
そうなると、中古の価値が落ちにくくなるというのはすごく良さそうに見えますが、実際どうなのでしょうか。
片山薫さん:
投資目的でも中古じゃないと買えないというのもありますけど、取引が増えているので価値は高まっていると思います。
ただその分価格も上がっています。新築で今、例えば首都圏だと1億円が当たり前になってしまっていますが、本来であれば家の価格は年収の7倍ぐらいまでに収まってほしいところです。
実際、築10年の中古マンションで大体70平米の換算平均価格と平均年収で割ってみると、中古マンションでも首都圏全体で年収の約11.6倍、東京都だと約16.9倍となっています。
もう住宅がなかなか買えない時代になってきてしまっているということです。どんどん新築に近づいています。
住宅業界としては、何とかこれでも売れるような状態にしてほしいということで、自民党に要請をして、その業界の要望に応えて今回減税がされたというのが、裏側です。
藤森キャスター:
減税は購入しようとしている人にとってはありがたいことですが、中古物件に殺到すると、今度はまたその価格が上がっていくことになりますか。
片山薫さん:
場合によっては、お得感が出た分だけ高くても減税されるのであれば購入してもいいということで、実はちょっとお米券に近いのではないかと思っています。高くなったらそれを税で補助するというような意味で、やや似ているのかなという気はします。ただ、これがいいのかどうかというのは少し考えどころだなとも思いますね。
小川キャスター:
長い目で見たときにかえって住みづらい状況に拍車がかかりかねないということを考えると、抜本的な物価高対策だったり賃上げだったりなど、同時進行で行っていかなければならないことがたくさんありますよね。
トラウデン直美さん:
本当にその通りだと思いますね。
やはりどうしても今、本当に都心部の住宅価格が高すぎて、都心部に住めない人が増えてきてしまいます。全国一律ではなくて、都心部は除外などそういったフレキシブルなやり方が、もう少し模索できそうな気もします。
片山薫さん:
実際、一極集中していることでやっぱり高騰しているというがあるので、本当はその是正も国としてやるべきことかなと思います。
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<プロフィール>
片山薫
23ジャーナリスト 経済部筆頭デスク
財務省や経産省・農水省などを担当
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行