カキの“大量死” 広島・呉市の海には中身ないカキが大量に…「辞める人も出てくるのでは」来季の出荷にもすでに影響 政府は支援策発表【news23】
広島の海で養殖されているカキ。死んでしまい、口を開けて中身は空っぽの状態です。深刻化する“カキの大量死”を受けて、政府も支援に乗り出しました。
広島のカキが危機 約9割がへい死も
冬の味覚といえば、プリプリの「カキ」。しかし今、日本一の生産量を誇る広島県産のカキが危機に瀕しています。
広島市のスーパーでは、県産生ガキのむき身の入荷量が、例年に比べ4割程度減っているといいます。
ゆめタウン広島 鮮魚主任 宮本智隆さん
「(カキが)品切れしている状況が多いので、お客様にご迷惑をおかけしているような状況になっている」
その理由は、カキの“大量死”です。
広島県によると、被害が大きい県中東部に加え、県西部でも一部の養殖業者から9割近くのカキが死ぬ被害が報告されているということです。
「辞める人も出てくるのでは」大量死 水中で何が?
呉市でカキ養殖を44年営む中野水産の中野良広社長。
中野水産 中野良広 社長
「最初は『死んどるな』という感じ。例年は3~4割程度。今年は8~9割(死んでいるの)が普通みたい」
今回、特別に許可を得て、JNNのカメラが海の中の様子を撮影することができました。
この日の海水温は17.7度。この時期としては、例年に比べ2度近く高い状態でした。
水中では、いたるところで口を開けたまま中身の無いカキが筏からぶら下がっていました。
中野社長は水温の高さに限らず、“海の状態が変わってきている”と感じています。
中野水産 中野良広 社長
「単なる高水温と高塩分だけじゃないと思う。餌もないし、何もかもが重なっているのでは」
生き残ったカキは身が小さく色も悪いといいます。
中野水産 中野良広 社長
「ちょっとグレーっぽい」
ーー味は?
「味は変わらないと思う」
中野水産では、11月の売り上げが2024年に比べて8割も減ったそうです。
来シーズンの状況も気がかりです。養殖する途中の若いカキにも被害が及び、すでに大量に死んでいるといいます。
中野水産 中野良広 社長
「もしも来年死んだら、辞める人も出てくるのではないか」
来季のカキもすでに“厳しい状況” 政府が支援策
深刻な事態を受けて政府は11日、漁業者などの支援に乗り出しました。
▼600万円または年間経営費の半分を限度額とし、5年間の実質無利子融資を受けられるようにするほか、▼損害の数量に応じて、共済で被害額の補填などを行うということです。
鈴木憲和 農林水産大臣
「水揚げしたカキのほとんどがへい死している状況。来年揚げるべきだったものも現実として厳しい状況。当面の資金繰りの確保や、雇用の維持などしっかりと取り組みたい」