冷え込む日中関係 今後どうなる? 中国の狙いは「分断工作」…日本と韓国、高市総理と国民【Nスタ解説】
日中の緊張が続くなか、中国は6日、新たに日本に対し、軍事転用の可能性がある品目の輸出を禁止すると発表しました。日本側は撤回を求めていますが、今年、両国の関係はどうなっていくのでしょうか?
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中国の経済的威圧、JNN北京支局長「長く続くと見た方がいい」
高柳光希キャスター:
2025年11月、高市総理の台湾有事をめぐる発言によって、中国が日本に対して経済的威圧をかけてくるという事態になりました。
そして今月6日、中国は「軍事力向上につながる品目」の日本への輸出を禁止することを発表しました。
この“軍事力向上につながる品目”の中に、「レアアース」が含まれている可能性があるということです。レアアースはiPhoneの製造やEV=電気自動車などの開発にも非常に重要な鉱物です。
さらに中国の年始(1月1日〜3日)の旅行先は、これまで日本が1位でしたが、日本への渡航自粛を受けて、2026年は韓国が1位となっています。日本は10位以内にも入っていないということです。
こういった状況は、しばらく続きそうでしょうか?
JNN北京支局長 立山芽以子:
残念ながら、この状態は長く続くと見た方がいいと思います。
例えば、2023年に福島第1原発の処理水の放出を機に始まった“日本産水産物の輸入禁止”の措置は、解除されるまでに2年かかっています。しかもそれが2025年に再び禁止となりました。
そして6日、レアアースの輸出規制の強化が打ち出されたように、2026年になっても中国の攻勢は続いているという状態です。
日中関係悪化の中…“中韓関係”に変化が
高柳キャスター:
韓国も日本同様、過去に経済的圧力を受けていました。
2016年、韓国とアメリカはミサイル迎撃システム「THAAD」の韓国配備を決定しました。
中国はこれに猛反発し、韓国への団体旅行を禁止(2023年に解除)したり、中国本土で韓国映画やドラマの上映、K-POPアイドルのコンサートも禁止されたということです。
ところが2026年に入り、中韓関係に動きがありました。5日、中国の習近平国家主席と韓国の李在明大統領が北京で会談を行い、▼「文化コンテンツ」の交流の協議を始めることで合意▼新たなパンダの貸与についても言及しているということです。
日本との関係性が徐々に悪化していく中で、今度は韓国と関係性を縮めているところも見受けられます。
井上貴博キャスター:
中国は手を変え品を変え揺さぶりをかけているのだと思いますが、政治と経済を切り離すってことは大切です。
その中で日本企業も含めて、チャイナリスクを考え、中国への依存を減らしています。
しかし、ここにきてトランプリスクもあり、こちらも不確実性が高いと思います。企業の舵取りがますます難しくなっている気がします。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
まずは生産拠点を中国だけではなく他のベトナムといった色々な国に移す“中国プラスワン”というのは、すでに約10年前の尖閣諸島の問題のときから言われてることです。
そこで一番根底にあったのは、やはり日米韓の協力体制でした。そこに今、中国が亀裂を入れようとしているようにしか見えません。
今回の韓国の訪問については、一見関係が改善しているように見えますが、そんな簡単ではないと思います。文化交流の話はたくさん出ていますが、経済あるいは軍事的な問題はまだまだ残っています。
特に先ほども出ました「THAAD」ミサイルはそのまま配置されていますし、あと10年以内に韓国は原子力潜水艦を手に入れることを明言しており、アメリカも許可を出しています。
今回はそういった話も出たかどうかわかりませんが、そんな簡単に「全部OKです」といったことにはならないと思います。
中国の狙い「分断工作」
高柳キャスター:
2025年からの日中韓を取り巻く関係性に、中国はどういった思惑があるのでしょうか?
JNN北京支局長 立山芽以子:
キーワードとしては「分断工作」だと思います。
中国は明らかに日本と韓国を分断して、韓国を中国側に引き寄せようという狙いがあります。特に韓国と足並みを揃えやすい歴史問題で、共同戦線を張って日本に対抗したいといった狙いがあります。
また日本に対しても分断工作を仕掛けています。どういった分断かと言いますと、「高市総理と国民の分断」です。
つまり、中国人観光客を日本に行かせず、レアアースの輸出を制限することで、経済的な損失を日本に与えます。
中国側は「経済が悪くなったのもパンダが来ないのも高市総理のせいですよね」といった形で、経済界や国民と高市総理を分断し、批判を煽ることで高市総理を困らせる狙いがあります。
日本はこの「分断工作」に乗らないということが大事だと思います。
中国の経済的威圧 他国にも
高柳キャスター:
経済的な威圧を受けたのは、日本だけではなく他の国もあります。
ノルウェーに対しては、2010年、中国の民主活動家・劉暁波氏にノーベル平和賞を授与したことに反発し、サーモンの事実上の輸入規制などを行いました。
オーストラリアには2020年以降、新型コロナウイルスの中国発生源に関する独立調査を主張したことでワインなどに事実上の輸入制限をかけたこともありました。
こうなると中国以外の国との距離感が非常に大事になってくると思います。
冷え込む日中関係 対策は?
JNN北京支局長 立山芽以子:
そうですね。もう一つのキーワードは「助け合い」だと思います。
中国の14億人の市場はすごく魅力があります。一方、中国は気に入らないことがあると経済的な威圧を行う国だという認識のもとで、同じように中国に経済的威圧を受けているオーストラリア、ノルウェーや台湾などの国や地域と連携して、お互いに助け合うことが大事だと思います。
つまりお互いの製品を買ったり、中国に頼らないサプライチェーンを作ることが重要になってきます。
それは決して中国の市場を捨てるとか、中国との関係を断ち切るといった意味ではありません。「つかず離れず中国と付き合う」ということです。
今回の中国の経済的威圧を機に、日本も中国との付き合い方を考え直すきっかけになればいいのではないかと思います。
井上キャスター:
「助け合い」をするにも、トランプ大統領の行動が全く読めません。日本を飛び越しても中国とディールを行おうとしている。そして中間選挙もある。そこを日本はどうしていけばいいのでしょうか。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
高市総理ももっと外交に重点を置くことが重要だと思います。日本は世界のトップ5の経済国ですから、政治的な外交の力を発揮できます。そのためには、積極的にこういったプレッシャーに妥協せずに、日本は日本の立場を貫くことが一つのやり方だと思います。
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<プロフィール>
立山芽以子
JNN北京支局長
ポッドキャスト「北京発!中国取材の現場から」配信中
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック顧問・アース製薬の社外取締役など