アメリカ・イスラエルがイランを攻撃 最高指導者死亡で報復攻撃も…なぜこのタイミング?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-02 20:43

アメリカとイスラエルが28日、イランへの攻撃に踏み切りました。これを受け、イランはイスラエルへの報復攻撃を行うなど戦火が拡大しています。

【写真で見る】「極めて大きな音が鳴りました」イスラエル現地記者の緊迫リポート

緊迫のイラン情勢。いま一体何が起きているのでしょうか。

イラン攻撃 なぜこのタイミング?

高柳光希キャスター:
アメリカ軍がイランを攻撃するのは2025年6月以来です。イランでは200人以上が死亡しており、最高指導者のハメネイ師も死亡しています。

その後、イランがイスラエル側に対し報復攻撃を行い、11人が死亡している状況です。

なぜこのタイミングで、アメリカはイランに対し攻撃を行ったのでしょうか?

元JNN中東支局長 秌場聖治 記者:
身も蓋もないことから先に言うと、標的としていたハメネイ師の居場所が分かったからということがあります。なぜ攻撃が2月28日になったかは、ハメネイ師の居場所について確度の高い情報が入ったからです。

これから分かるのは、イスラエルやアメリカのインテリジェンスがかなり精度の高い情報を挙げてきたということで、恐ろしいと思います。

さらにもう少し広い話をすると、2025年6月には、イランの核施設をメインに狙った攻撃がありました。これだけでは、イランの核計画を完全に排除できないということが明らかになっていました。

特にイスラエルはもう一度攻撃が必要だと思っていましたし、大量な弾道ミサイルを撃ち込まれると迎撃しきれないということも分かっていました。なので、核開発の施設とともに、弾道ミサイルの能力を削いでいくのが大事だと考えたということです。

しかも、イランが防空態勢を立て直す前にやりたかったということはあると思います。

そして、イランに攻撃があったら反撃をするであろうイスラエル周辺の勢力があります。たとえば今回も攻撃されているレバノンのヒズボラやガザのハマス、シリアのアサド政権です。これらの代理勢力が弱体化、あるいは崩壊しているため、攻撃しやすくなってきたということは考えられます。

高柳キャスター:
ハメネイ師を狙ったということで、すでに攻撃の狙いは達成されていると考えられないのでしょうか。

元JNN中東支局長 秌場聖治 記者:
イスラエルにとっては、狙いは極めて明白だと思います。それはやはり、イラン指導部の排除です。いきなり問答無用でハメネイ師を狙いにいっているので、これは間違いないです。

そして、弾道ミサイル能力の破壊。これも、狙っている先を見れば明らかです。

ただ、アメリカについては、そこまでクリアカットでない印象があります。トランプ大統領は攻撃後のビデオ演説で「政権転覆」を示唆していました。

しかし、それをなぜ今やるのかということに関してはあまり言及されず、これまでのアメリカとイランの対立の歴史を長々と話しています。一方で核の話をしてみたり、イランのデモに参加した人たちに「テイクオーバーせよ」と呼びかけたりなど、今ひとつはっきりしないです。

しかも「体制転換」ということなのに、「新しいリーダーシップとは話ができる」というようなことも話していて、このあたりももうひとつ見えてこないです。ここ数日のうちに見えてくるかもしれません。

イランからの報復攻撃続くも…“いまのところ小規模”か

高柳キャスター:
イスラエル・テルアビブからの中継です。

JNN中東支局長 増尾聡 記者:
まずは速報からお伝えします。イスラエル軍の参謀総長が、レバノンを拠点とする親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対し、全面的な攻撃のキャンペーンを始めると発表しました。本格的な攻勢をかけていくと明言しました。

ヒズボラは1日夜にイスラエル軍の北部に対し攻撃を行い、イスラエルもヒズボラに対しすでに反撃をしています。レバノンでは30人以上が死亡したということです。

ヒズボラがイスラエルに攻撃をするのは、イランとの衝突が始まって以降初めてです。ヒズボラは、この3年間でイスラエル軍からの激しい攻撃を受けて戦闘能力を大きく削がれたといわれていますが、この衝突に本格的に参戦してくるのかどうか。今後、戦火が拡大してしまう懸念が大きく強まり始めています。

そして私が今いるのは、イスラエルの中部テルアビブにある、日本大使館の前です。ここにはイスラエルからの退避を希望する日本人が集まってきていて、今後、外務省の手引きで国外退避することになっています。

2025年10月時点で、イスラエルには1000人ほどの日本人がいました。今回、外務省の意向調査で退避を希望する人が一定数いたことから、国外退避が決まったということです。

そしてテルアビブは、イランからの反撃を多く受ける場所で、連日サイレンが鳴り、私たちもシェルターへの避難を余儀なくされています。1日には日中の時間だけでも5回~6回は警報が鳴り、イランからのミサイルを迎撃した際の爆発音が響きました。

イスラエル全土では非常事態が宣言され、不要不急の外出はしないように要請されていることもあり、街に人の姿は少なく先行きが不透明ななか、市民の間には警戒感が広がっています。

一方で取材して感じているのは、イランからのイスラエルの反撃について、今のところは2025年6月の戦闘に比べると規模が小さいということです。

これについては現地メディアなども指摘していました。理由の一つとして考えられるのは、今回イランは中東の他の国も標的にするなど、攻撃を分散させているということです。

また、2025年の戦闘でミサイル能力が大きく削がれたことで、大規模な同時攻撃を組織することができないのではないかという見方や、相次ぐ幹部の殺害で指揮系統が乱れているという可能性も指摘されています。

一方でこれはあくまで戦略的なものであり、イランは今後攻撃を大幅に拡大していく、規模を大きくしていくのではないかとの指摘もあり、予断を許さない状況が続いています。

アメリカ政府の動きは? 初の正式な記者会見へ

高柳キャスター:
続いてはアメリカ政府の最新状況について、ワシントンからの中継です。

ワシントン支局長 涌井文晶 記者:
トランプ大統領は1日はフロリダ州の私邸で日中を過ごし、夜になってホワイトハウスに戻りました。

2日は動画の投稿を声明していますが、それ以外にイランに関しての公式な行事などは行っていない状況です。もちろん、幹部との会議等は重ねているものとみられます。

こうしたなか、イランの攻撃開始以降、アメリカではイラン情勢がずっとニュースになっていますが、早くも世論調査が出てきました。ロイター通信が行ったアメリカ国民に対する世論調査では、イラン攻撃に「反対」と答えた人が43%で、「賛成」の27%を大きく上回りました。

また、この調査は1日にアメリカ軍に3人の死者が出たことが発表される前に行われたもので、この結果を受けてさらに反対論が強まることも予想されています。

新しい動きとして、アメリカ時間の2日の朝(日本時間では2日の夜10時頃)から、国防総省でヘグセス国防長官と制服組トップのケイン統合参謀本部議長が記者会見を行うと発表しました。

今回の軍事作戦に関する政府の正式な記者会見は、実はこれが初めてになります。これまでトランプ大統領は動画は投稿していますが、記者会見は行っていません。

アメリカ側が現時点でイラン側の打撃をどの程度のものと評価しているのか、そしてこの先の出口をどう描いているのか、どの程度の戦力を投入する準備があるのかなどの質問が集まると予想されます。

今後の注目点は「イランの反撃能力」と「新しい指導部」

高柳キャスター:
原油の市場などでは日本への影響も免れませんが、今後どうなっていくのか、そして我々はどのようなところに注目をしていけばいいのでしょうか。

元JNN中東支局長 秌場聖治 記者:
今の段階では、今後どうなっていくかは「分からない」というのが正直なところです。

ですが、いくつかヒントになることはあります。増尾記者の報告にもあったように、イランの反撃能力がどの程度のものなのかということです。

イスラエルにいる限り、反撃が前回より弱いと感じたようですが、本当にイランの戦闘能力自体が落ちているということであれば、戦争の長さに関係してくる可能性があります。

また、最高指導者について、トランプ氏は「新しい指導部」「3人の良い選択肢がある」と言っています。最高指導者自体はまだ選ばれておらず、ここ1日~2日で選ばれるというような話もありますが、新しい指導者は誰なのかということになります。

今のところ職務代行をしている人たちが3人いますが、この3人のうちの誰かなのかというと、それも少し考えにくいです。

ただ、トランプ氏が言っている「3人のとても良い選択肢」の顔ぶれがもし分かってくれば、その人たちのキャラクターやこれまでの嗜好などから、ある程度この先の組み立てが見えてくるかもしれません。もし、その3人が本当に存在すればということです。

井上貴博キャスター:
さまざまな要因が複雑に絡み合っているので難しいところですが、今イラン国内は疲弊していて、現体制への不満が鬱積しています。

デモが起き、鎮圧されて亡くなった方は数千人とも万単位ともいわれているため、市民の中には今回のアメリカの軍事行動を歓迎する人がいることも事実です。

しかし、だからといって大国が武力で現状変更することを認めていいのでしょうか。トランプ大統領には秋の中間選挙があり、エプスタイン問題などで厳しいなか、成果がほしいということもあったのでしょう。

では、アメリカの行動をヨーロッパや日本がどう見ているかというと、アメリカの顔色をうかがっています。こうなると今後、ヨーロッパやアメリカや日本は中国やロシアを批判できる資格はあるのでしょうか。「お前たちが何を言うんだよ」ということになってしまいかねないのではと、個人的に感じています。

東尾理子さん:
ニュースでイランの方が喜んでいる姿を見て驚きましたし、「自分の国の一番上の方が亡くなったことに喜べるぐらい我慢しなければいけないものがあったのか」ということについては、分かりきれてない部分がありました。

ハメネイ師の死を喜んでいる方は、割合的にはどれぐらいなのでしょうか。

元JNN中東支局長 秌場聖治 記者:
普通の世論調査ができる国でもないので、なかなか難しいです。ただ、これまでの抑圧でハメネイ師、あるいはハメネイ師が代表する現体制に、ものすごい恨みを抱えた人がいるのも確かです。

一方、その体制と上手くやって生き延びてきた人たちもいて、さまざまなレイヤーがあると思います。

一つ忘れたくないのは、この大国間の戦争の中で、100人を超えるといわれる小学生が犠牲になっていることです。民間人は常に犠牲になるのだと、改めて思わされます。

井上キャスター:
なぜ小学校にミサイルを落としたのかなどはよく分かっていないため、続報を待ちたいと思います。多面的に見ていかないと見誤るニュースではないかとも感じます。

==========
<プロフィール>
秌場聖治
元JNN中東支局長
シリア内戦など中東各地を取材

東尾理子さん
タレント・プロゴルファー
フロリダ大学卒業 3児の母
不妊治療の経験を積極的に発信

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