トランプ大統領は“同盟国テスト”中?日米首脳会談「成功」と評価も…巨額「対米投資」は日本の国益か【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-20 21:52

高市総理は20日未明、トランプ大統領と首脳会談を行いました。
中東情勢などが議題となる中、トランプ氏からの要求に高市総理はどう答えたのでしょうか。

【写真で見る】トランプ氏の“真珠湾攻撃”発言に 高市総理の表情は…

「平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」口火を切った高市総理

日本時間の20日未明、トランプ大統領に出迎えられる中、ホワイトハウスに到着した高市総理。

世界が注目する中、首脳会談の冒頭、中東情勢についてまず口火を切ったのは高市総理でした。

高市総理
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのは、ドナルドだけだと思っています。そのために私は諸外国に働きかけて、しっかりと応援をしたいと思っています。きょう、私はそれを伝えに来ました」

事実上封鎖が続くホルムズ海峡への艦船の派遣をめぐり、「同盟国は協力すべき」との考えを示すトランプ大統領ですが、日本に対しては次のように話しました。

トランプ大統領
「日本は本当にしっかり責任を果たそうとしていると思います。NATOとは違って」

日本を評価する一方、あるトランプ大統領の発言が物議を醸しています。

日本評価の一方…トランプ氏「真珠湾攻撃」発言に物議

記者
「なぜイラン攻撃前に、日本のような欧州・アジアの同盟国に知らせなかったのか」

トランプ大統領
「あまり事前に兆候を示しすぎるのは良くない。我々は攻撃を開始するときは激しく行うし、奇襲を仕掛けたかったから誰にも知らせなかった。奇襲について、日本より詳しい国はあるか?真珠湾攻撃について、なぜ知らせてくれなかったんだ」

パールハーバー(真珠湾)」の言葉に、高市総理の表情は硬くなったようにも見えます。

今回、焦点の一つだったホルムズ海峡への自衛隊派遣について、どのような具体的なやりとりがあったのでしょうか。

高市総理
「機微なやり取りではございますけれども、ただ日本の法律の範囲内でできることと、できないことがございますので、これについては詳細にきっちりと説明をいたしました」

さらに同行筋によりますと、トランプ大統領から「防衛費の増額要求はなかった」ということです。

「少しぎくしゃくしているようだ」日中関係について直接質問も

約1時間半にわたる会談では、高市総理の台湾有事発言をめぐり、悪化している日中関係について、トランプ大統領から総理に直接質問が飛ぶ場面もみられました。

トランプ大統領
「私はまもなく中国へ行く予定だ。高市総理にはぜひ中国について話してほしい。日中関係は少しぎくしゃくしているようだが、現状がどうなっているのか知りたい」

高市総理
「日本はいつも中国に対してオープンです。対話はオープンにしています。それから冷静に対応しています」

トランプ大統領が中国を訪問する前に、日本の立場を理解してもらうことが、会談の狙いの一つだった高市総理。

会談後、アメリカ側の発表によると、中国と台湾をめぐる問題について、“両首脳はいかなる一方的な現状変更の試みに反対”との認識で一致したということです。

政権幹部「会談は成功だ」 それでもトランプ氏への神経戦は続く

今回の会談を振り返り、政権幹部は「会談は成功だ、良い雰囲気だった」と評価。

首脳会談のあと、和やかな雰囲気で開催された夕食会には、ソフトバンクグループの孫会長やグーグルのピチャイCEO、同じテーブルにはプロゴルファーの松山英樹さんの姿もありました。

高市総理が大ファンだと公言する、ロックバンド「X JAPAN」の楽曲が演奏されるという気遣いも。

高市総理
「強い日本、強いアメリカ。豊かな日本、豊かなアメリカ。私達はこれらを実現するための、最強のバディだと確信しています」
「“ドナルド”と親交が深かった安倍晋三元総理が、かつてこのワシントンDCの地で高らかにうたわれた言葉を、誇りと自信を持ってこの場で、皆さんに再びお伝えいたします。JAPAN IS BACK!」

高市総理は21日、一連の日程を終え帰国する予定ですが、トランプ大統領の言動に対する神経戦は、今後も続くことになりそうです。

専門家「同盟国のテスト」 今後、高市総理に求められること

今回の首脳会談、専門家はどう見たのでしょうか。

まず注目された「艦船の派遣」を表立って日本に求めなかったのは、トランプ氏による“同盟国テスト”だそうです。

明海大学 小谷哲男 教授
「同盟国がアメリカのために、何をやってくれるのかをテストしている段階。アメリカが支援を必要としている時に、同盟国は一体何をやってくれるのかを見極めようとしている」

好意的な雰囲気で会談が進んだ理由は、その直前に日本が、イギリス・フランスなどと共にイランを強く非難する共同声明を発表したことだといいます。

しかし、今後はどうでしょうか。

明海大学 小谷哲男 教授
「全く安心できることではない。むしろトランプ氏の期待が高まったと思います。共同声明を出した国々が有志連合を作り、ホルムズ海峡と近海に船を出すことが期待される。その動きが見られなければ、どこかの段階で不満を表すようなSNSの投稿が十分あり得る」

高市総理はトランプ氏に、「できること、できないこと」を説明したといいますが。

明海大学 小谷哲男 教授
「トランプ大統領は、おそらく聞き流していると思います。できることをやるのか、やらないのかという点にしか関心がない」

今後、必要なことは…

明海大学 小谷哲男 教授
「フォローアップ。電話であったり、テキストメッセージであったり、欧州各国の首脳がトランプ氏と常にコミュニケーションをとっているように、高市総理も日本の立場をトランプ氏に理解してもらうことは必要」

総額80兆円規模の対米投資 日米双方の「国益」とは

井上貴博キャスター:
新たに合意した日本の「対米投資」第2弾の中身は、以下のようになっています。

アメリカへの投資(80兆円規模)
<第1弾>約5兆6200億円
▼工業用の人工ダイヤ製造
▼アメリカ産原油輸出プロジェクト
▼AIデータセンター等のガス火力プロジェクト

<第2弾>最大11兆5000億円
▼小型原子炉の建設
▼新たなガス火力発電所建設

「投資」なので、利益が日本にも還元されるという見方もあれば、利益配分などが分からないので、結局はアメリカに都合よく使われるのではないかという見方もできます。どう捉えれば良いのでしょうか。

TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
これが本当に国益に繋がるのか。そもそも国益とは何なのか。

トランプ大統領が「投資」を重視する理由として、アメリカ国内で仕事・雇用が生まれるという点があります。

今回、合意に至った対米投資、▼小型原子炉の建設は、テネシー州・アラバマ州、▼新たなガス火力発電所建設は、ペンシルベニア州・テキサス州と建設場所も決まっています。

そこで新たに雇用が生まれ、これまで仕事がなかった人が仕事に就く。そうすると失業率も下がっていきます。

そうしたことが、2026年11月に予定されているアメリカ中間選挙で、トランプ大統領の大きなアピールポイントの一つになります。

アメリカのために日本が何をするのかという点では、投資はトランプ大統領にとって後押しになります。

また日本としては、日中関係や中東情勢などの問題がある中で、アメリカとの関係強化は、広い意味で大きな国益に繋がるという考え方なのでしょう。

井上キャスター:
「お金」という利益ではなく、アメリカとの「関係強化」が国益ということですか。

TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
国益は「お金」だけではないということです。

ただ一方で、日本国内の成長もしていかなければいけません。高市総理は施政方針演説で、国内の投資の重要性を強調しました。

日本国内の投資をどれだけ進め、日本の成長を促せるのかというのは、もう一つの大きな問題でしょう。

==========
<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当

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