イランが攻撃された場合の反撃を予告…新たな標的は「水」? 中東各国の生命線“海水淡水化”支える日本の技術…破壊されれば都市壊滅のおそれも【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-26 14:13

世界的に注目が集まるアメリカとイランの停戦協議の行方。トランプ大統領はイラン側との交渉について「大きなプレゼントがあった」と話し、アメリカメディアもイランの高官が戦闘終結に向けた協議について「パキスタンかトルコでの開催が検討されている」とも報じました。ただ、攻撃の応酬が続いた場合、新たな“標的”とされているのが生活に欠かせない「水」です。中東の生命線の「水」、実は“日本の技術”がないと供給できなくなるおそれがあります。

【写真で見る】「中東の水」を支える日本の技術

日米会談の裏側 “徹夜で準備”した発言の真意語る

日米首脳会談を、高市総理自身はどう評価しているのか。25日の国会で、その“舞台裏”を明かしました。

高市早苗 総理
「私が発した冒頭の発言について、様々な評価があることは承知しています。当日、渡米する飛行機の中で徹夜で考えました。冒頭なにを申し上げるかを懸命に考えました」

冒頭の発言とは…。

高市総理(19日 米・ワシントン)
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのは、ドナルドだけだと思っています」

この発言の意図について高市氏は。

高市総理
「いま戦争ですが、これを平和に持っていけるのも、エネルギー市場・マーケットが非常に混乱していく、世界経済にも影響が及んでいる中で、これを改善できるのもトランプ大統領の気持ちにもかかっている」

この発言をめぐって野党からは。

立憲民主党 田島麻衣子 参院議員
「総理が自ら『戦争』とおっしゃった。このイラン情勢について、日本政府が総理を含め『戦争』と理解しているのか」

高市総理
「先ほどの戦争という言葉につきましては、たしか戦争という表現で質問があったかと思います。『戦闘』と言い換えさせてください」

その“戦闘”は終結に向かうのでしょうか。

「イラン側からプレゼント届いた」停戦交渉の進展アピールか

攻撃開始から1か月近くが経つ中、トランプ大統領は連日、自らの成果を誇っています。

米・トランプ大統領(24日)
「この戦争に勝った。戦争を続けさせたいのはフェイクニュースだけだ」

さらに、停戦に向けイラン側と協議が進んでいるかのような、こんなアピールも。

トランプ大統領
「きょうイラン側からプレゼントが届いた。巨額のカネに値する大きなプレゼントだ」

イラン側からのプレゼントが何なのか詳しくは語りませんでしたが、「ホルムズ海峡の航行に関連するものだ」とトランプ氏は主張しています。

交渉は進んでいるのか。
アメリカのニュースサイト・アクシオスは、アメリカと仲介国がイランとの高官協議を26日にも開催することを検討していて、イラン側から返答を待っている状況だと伝えています。

米イラン交渉は平行線か 主張食い違い鮮明に

トランプ大統領
「イランの指導部をすべて殺害したので、今の指導部は全く違う面々だ。まさに体制転換が起きたんだ」

イスラエルメディアによると、アメリカはまず1か月の停戦を宣言したい考えです。

その期間中に“アメリカが要求する15項目の条件について協議したい”ということですが、その中にはイランにとって極めてハードルが高い内容が含まれています。

それは、国内でのウラン濃縮活動を完全に停止することです。

トランプ大統領(23日)
「私たちはいくつかの重要な点で合意した。ほぼすべての点で合意したと言ってもいい」

「合意した」と強調したトランプ氏ですが、イラン側は認めていません。

イランの軍事当局者(25日のビデオ声明)
「敗北を“合意”として装うな」「(米国は)自分自身と交渉しているにすぎない」

トランプ氏 揺れる発言でイランを疑心暗鬼に?

そもそも、トランプ氏の発言は大きく揺れ動いてきました。

3月21日に「48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ、イランの発電所を破壊する」と警告していましたが、2日後には一転、攻撃の5日間延期を指示

その期限が27日に迫る中、アメリカの複数のメディアは「国防総省が陸軍に、精鋭部隊である空挺師団の兵士数千人を中東に派遣するよう命じた」と報じています。

アメリカの思惑と協議の行方について、専門家は_

明海大学 小谷哲男 教授
「情報を色々流して、イラン側を疑心暗鬼にさせている。イランとしても交渉を通じて全面降伏はできないので、何かしら取れるものが取れるか、見極めたうえで交渉に参加するかどうか決めると思う。本当に最後の最後まで駆け引きが続くんじゃないか」

中東の「命綱」水つくる生活インフラが標的に 報復も

中東諸国を巻き込んでいるアメリカ・イスラエルとイランの戦いは、人々の生活を支えるインフラ施設までもが標的となっています。そこには、中東の人々にとって「命綱」とも言われる施設もありました。

イラン・アラグチ外相(Xより)
「アメリカは、ゲシュム島の淡水化プラントを攻撃するという、露骨に絶望的な犯罪行為に及んだ」

イランのアラグチ外相は、海水の淡水化施設がアメリカの攻撃を受け、30の村で水の供給に影響が出たと明らかにしました。

するとイランはバーレーンの淡水化施設を攻撃。

イラン・アラグチ外相(Xより)
「先例をつくったのはアメリカだ。イランではない」

バーレーン政府によれば、ドローン攻撃により、施設が破損する被害があったということです。

水資源乏しい中東 「海水淡水化がなければ生活維持できない」

淡水化施設は、海水から飲み水などをつくる施設。

その後もイランは、アメリカが国内の発電所などを攻撃した場合には、アメリカに関係する国の淡水化施設などのインフラに対し、報復攻撃を行うと警告しています。

狙われた「海水淡水化施設」は、現地の人にとってどんな存在なのか。

雨が極めて少ない中東。内陸では年間降水量が100ミリに満たない地域もあり、天然の水資源がほとんどありません。そこで活用されているのが「海水」です。

専門家によれば、湾岸諸国では、飲み水や生活用水の9割近くを海水の淡水化に頼っているといいます。

世界の水問題に詳しい グローバルウォータ・ジャパン 吉村和就 代表
「水の一滴は血の一滴。もし海水淡水化がなければ、国民の命、都市生活を維持できない

中東地域にとって、「生命線」とも言える淡水化施設。ここに密接に関わっているのが、日本の技術です。

日本最大級の淡水化施設を取材 中東でも活躍する日本の技術とは

福岡県にある海水淡水化施設。日本最大級で1日4万トンの淡水が作られています。

海水淡水化センター 廣川憲二 所長
「そこに並んでいるのが高圧のポンプ。緑色の(高圧)ポンプが5台並んでいて、1台が24時間運転すると1万トンの水ができる」

その先につながっている筒状のもの。“RO膜”と呼ばれるもので、これが日本が得意とし、世界からも高く評価されている技術です。

海水淡水化センター 廣川憲二 所長
「RO膜の中で『海水』から『真水』を取り出す。それで残った濃縮海水に分けて膜から出てくる。そうやって真水を取り出すようになっている」

簡単に説明すると、RO膜に高い圧力で海水を通すと塩分などが取り除かれ、水分子だけが通過。真水ができるという仕組みです。

海水淡水化センター 廣川憲二 所長
「海水淡水化の心臓部というか“肝”となる部分」

この技術を使って作られた水を試飲させてもらいました。

記者
「海水のような塩味は全くせずに、普通の水道水と同じ感じで美味しいです」

淡水化の要を握る日本企業 駐在員が退避など影響も

海水淡水化センター 廣川憲二 所長
「海水淡水化の膜で、メーカーとして世界的に大きなシェアを持っているメーカーが3つあるが、そのうちの2つは日本のメーカー」
「中東の方でも、この逆浸透膜(RO膜)を使った淡水化が、大半のところで行われているという認識」

「RO膜」をはじめとした日本の造水技術は、中東の国々で広く活用されています。

政府は官民一体となって、中東地域で事業を推進。原油を中東に依存する日本にとって、エネルギー安全保障を支える重要な協力分野の一つなのです。

しかし、現在の中東情勢の影響で、サウジアラビアなどで「RO膜」の製造・販売などを行っている「東レ」では、駐在員12人が退避。

東レはnews23の取材に「当面の状況が長期化すると、今後、生産のための部材調達が滞ることで生産に支障を来す可能性があります」「今般の中東情勢の悪化が早期に終結し、世界経済が再び安定的な成長局面に回帰することを願っています」としています。

停戦交渉の行方が見通せない中、再び海水淡水化施設への攻撃は起きるのか。

グローバルウォータ・ジャパン 吉村和就 代表
「海水淡水化の装置はペルシャ湾の周りに密集している。しかも海水淡水化のプラントは、イランからドローンあるいはミサイルの射程内。国家の存亡に関わるんじゃないかなと思っている。私とすれば絶対にやってもらいたくない海水淡水化(施設)への攻撃」

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