株価6.6万円突破も…なぜ生活に響かない?AI・半導体が牽引する“実感なき株高” 【Nスタ解説】
歴史的な高値水準が続く日経平均株価。
「そのわりにはそれほど景気は良くなった実感がない」と思われている方も多いと思いますが、なぜ生活に反映されないのか、この数字をどう見ればいいのかお伝えします。
なぜ?実感なき歴史的株高 個別銘柄ごとに見てみると…
高柳光希キャスター:
1日の東京株式市場で、日経平均株価は先週末(5月29日)より604円高い、6万6934円で取引を終えました。29日につけたばかりの史上最高値を更新です。
2025年夏ごろは4万円台だった株価は、高市政権が発足した直後の10月27日に初の5万円台を突破。
その後、中東情勢の緊迫によって値を下げたものの、再び上昇し、2026年4月27日には初の6万円台を突破。そして本日(6月1日)の終値は6万6934円となりました。
そもそも「日経平均株価」は、日経新聞が選んだ225社の株価の平均を指しています。
その225社の個別銘柄ごとに上昇、下落の状況を色の違いで視覚的に捉えることができる「ヒートマップ」という機能があります。
TBS報道局経済部 田中優衣 記者:
ヒートマップは、225銘柄の株価をリアルタイムで、値上がりすると赤色に、値下がりすると緑色に表示されます。そして、日経平均株価に与える影響が大きければ大きいほど、面積が大きくなっていきます。
今日(1日)午後2時過ぎのヒートマップを見ると、ソフトバンクグループが赤色で4分の1ほどの面積を占め、また半導体メモリメーカーのキオクシアなどの面積も赤く大きくなっています。キオクシアの株価は上場した2年前に比べ、40倍超の上昇です。
背景にあるのは、AIや半導体関連といったハイテク銘柄への期待感です。フランスでのデータセンター建設へ14兆円規模の投資を発表したソフトバンクグループは、トヨタ自動車の時価総額を22年半ぶりに上回り、国内トップとなりました。
高柳キャスター:
日本には、いわゆる世界的なAI開発の主役となるようなIT企業は少ない印象ですが、なぜこうした(半導体などの)関連企業がこれほど注目されているのでしょうか。
TBS報道局経済部 田中記者:
いま、世界でAIの進化になくてはならないデータセンターの建設ラッシュが加速しています。そのデータセンターを作るにあたり、必要な電子部品などは日本企業の技術力が不可欠となっています。そのため、日本の半導体銘柄が注目されているのです。
生活実感が伴わないのはなぜ?
高柳キャスター:
ただ、一部の企業の株価が上がっているからといって、好景気にはつながっていないようです。
TBS報道局経済部 田中記者:
昔は「株高」だと、景気が良いというイメージがありましたが、今はそうではなくなりました。
井上貴博キャスター:
AI半導体銘柄はまだ伸びる余地があるという専門家が多くいるのも事実ですが、日経平均株価は、ごく一部の指標でしかないので、切り離して考えた方がいいのかもしれません。
東京大学 斎藤幸平 准教授:
株式投資でお金を儲けたいなと思うのは自然だと思います。ただ、GDPなどを比べてもさらに一面的なもので、こういう(AI半導体関連)企業が今儲かってる理由も、外国に投資をするなど、結局は大企業が中心であって、私たちの生活とはかけ離れたものになっている。
株価だけを見ても、政府が「株価が上がっているから、私たちがやっていること(方策)は正しいんだ」と言われても、実際はインフレで、多くの人は生活が苦しいと感じています。
そこはしっかり、「日々の生活が豊かになるような経済とは何だろう」と考えることを忘れてはいけないと思います。
今後の株価 専門家の見解は
高柳キャスター:
今後の見解はどうなっていくとみていますか?
TBS報道局経済部 田中記者:
今の歴史的な株高を予想できなかったという人もいますが、専門家からは「過熱感が強いので、どこかで調整は入る」と、何かネガティブ材料が出てきたら、株価が下がるのではないかといった見方や、「期待が広がるニュースが続けば、AI半導体関連銘柄が相場を上げていくので、近く7万円の大台に乗る可能性もある」という見方もありました。
井上キャスター:
マネーゲームのような側面もありますが、日々の生活を豊かにするための自己防衛策として、銀行預金だけでいいのか、どのようにやっていくか、一歩立ち止まって考えないといけませんね。
東京大学 斎藤 准教授:
株式投資などの金融商品から得た所得にかかる税、「金融所得課税」の税率を上げてもいいのではないでしょうか。恩恵をみんなに与えるのもいいと思います。
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<プロフィール>
田中優衣
TBS報道局経済部 証券・飲料・食品担当
株価の動向や上場企業の決算などを取材
斎藤幸平
東京大学 准教授
専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部超のベストセラー