「ジジイを×してほしい」闇バイトで殺人依頼…“標的情報” 闇バイト募集の実態【Nスタ解説】
後を絶たない闇バイト事件。「標的情報」に「殺しの依頼」。その闇を深く知る人物を取材しました。
闇バイトの「標的情報」 どこから漏れる?
井上貴博キャスター:
実は私たちの生活に近いところにある「闇バイト」。アプリケーションの中では、実際にどのようなやり取りが行われているのでしょう。
【「標的情報」に関する実際のチャット画面】(抜粋)
●江東区叩き
事務所兼自宅
夜の場合は夫婦と子供制圧
現金、貴金属、ブランド品
プレイヤー2~5人募集
報酬1人300~
(別のチャット画面)
ゴールド10キロの換金案件
対象は江東区
金庫に現金
装飾品多数、ブランドバッグなど
ピンポンならして出てきたとこを制圧してセキュリティきらせるか?
家主が帰ってきたとこ後ろから刃物などで脅して、侵入後セキュリティきらせるか?
プレイヤー二人募集
人材集まり次第決行
1人あたり800~1800
TBS報道局社会部 警視庁担当 本橋駿 記者:
このような情報をどこから入手するのかについてですが、闇バイトの実態に詳しいAさんに話を聞いたところ、「案件屋」と呼ばれる役割の人物がいるとわかりました。
いわゆる「標的情報」を集めて、それをチャットグループに案件として流す存在です。
捜査幹部によると、「案件屋」は水道や屋根の修理工事、リフォーム業者などを装って家の中に入り込み、金品の場所などといった細かな情報を集めるといいます。
ほかにも飲食店などで金遣いの荒い人を見つけて、会話の中から住所を特定するなどして情報を集めるケースもあるそうです。
井上キャスター:
家族構成なども把握しているということは、相当長い期間をかけて情報収集していることも考えられます。
TBS報道局社会部 本橋記者:
あるいは、標的になっている人に近い人物が関わっている可能性もあります。
放送中にトクリュウのチャットで反応「おまわりが潜ってる」
井上キャスター:
このような闇バイトの実態に関する情報を10日夜、TBSの報道番組「news23」で放送したところ、すぐにトクリュウのチャットで反応があったといいます。
TBS報道局社会部 本橋記者:
コーナーの放送中に「詐欺師チャンネルにいる人、抜けて!おまわりが潜ってる」といった投稿や、テレビの画面を撮影し、チャットグループに共有しているような状況がありました。
トクリュウ側の動揺もうかがえますが、このようなやり取りも含めて警察もサイバーパトロールなどで捜査をしています。
闇バイトに手を出さないことはもちろん、そもそもこのような怪しいチャットグループに入らないことが大事です。
井上キャスター:
最近では警察も仮装身分捜査を始めています。アプリケーション内でも、どこに警察がいるかわからないという状況にあると言われていますが、犯人グループ側に脇の甘さが見られます。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
仮装身分捜査が始まったため、若い人に勧誘をシフトするといった動きもあり、そのような意味では「いたちごっこ」が続いています。
若い人に「そのようなところ(怪しいチャットなど)に関わらないようにしましょう」と呼びかけても、新聞はもちろんテレビニュースもほとんど見ないため、これまではあまり効果がないと言われていました。
ただ、このようなニュースをトクリュウも見ているということからすると、それなりに効果はあるのかもしれません。
特殊詐欺の募集に電話すると…「警察にお金払ってる」
井上キャスター:
テレグラムなどにある「闇バイト」の案件情報の中には、特殊詐欺の募集もあったそうです。
TBS報道局社会部 本橋記者:
闇バイトの実態に詳しいAさんが、実際に特殊詐欺の募集に対して電話をかけてみると、「ジェイソン」と名乗る男が応答しました。
【録音していた実際の通話内容】
ジェイソン
「カンボジアです、こちらは」
「基本給は4000ドルで大体60万円前後」
Aさん
「具体的に何をするのか教えていただけないですか」
ジェイソン
「簡単に言えば電話詐欺です。カンボジアに渡航していただいて、銀行員とか警察官とか、なりすましです。お金持ちのリストも持ってる」
Aさん
「捕まらない対策はしてる?」
ジェイソン
「(対策)してます。警察にかなりお金払ってます。売り上げの20%くらい払ってます」
井上キャスター:
これが本当だとすると、警察が買収されている可能性があり、現地では捕まらないような体制になっていることを示唆しています。
TBS報道局社会部 本橋記者:
他にも会話の中では「3食付きの寮がある」、「近くにイオンがある」、「電話かける期間は半年」「その後は自由に選べるから、いつでも抜けられる」といった甘い誘いをしています。
出水麻衣キャスター:
昔は詐欺かどうかわからないまま巻き込まれていくような構図でしたが、今はもう詐欺と明言してリクルートしているパターンもあるのですね。
トクリュウの構造変化 彼らをつなぐのは「スマホ」だけ
TBS報道局社会部 本橋記者:
こうしたチャットグループには、男性を複数人で囲ってスタンガンで暴行しているような動画が送られてくることもあります。「暴力で支配する実態がある」ということを示していて、脅しともとれます。
井上キャスター:
犯行グループは個人情報を提出させ、「お前もこうなるぞ」と迫ってくるのだと思います。ただこの時点で警察に相談すれば、基本的には守ってくれるということです。
そして、ピラミッド状になっているともいわれる犯罪組織の“核”の部分をどのように解明していくのかも難しい問題です。
TBS報道局社会部 本橋記者:
トクリュウの構造が変化してきています。2022年ごろに起きたいわゆる「ルフィ事件」の頃は、リーダー格と指示役が一緒に行動しており、人間関係ができていたことがうかがえます。
一方で、最近は指示役・案件屋・リクルーター・実行役とそれぞれが分かれて行動していて、人間関係がないような状況、つまりスマホ一つで繋がっているような状況になっています。
このようなリーダー格と指示役に面識がないケースでは、たとえ指示役を捕まえても、リーダー格にたどりつくまでに時間がかかってしまいます。
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<プロフィール>
本橋駿
報道局社会部 警視庁担当
トクリュウなどの組織犯罪を取材
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年