「遺産に対する攻撃だ」教会の像が“残念”な姿に…たびたび話題になる“残念な修復”の意外なその後【Nスタ解説】
ブラジルで教会の像が修復されましたが、その出来が修復前と大きくかけ離れているとしていま物議を醸しています。たびたび話題になる “残念な修復”、調べてみると意外な“その後”もありました。
“残念な修復”で批判されてから一転…意外な展開に
高柳光希キャスター:
歴史的な絵画などの修復は度々話題になりますが、その“その後”を追ってみると、意外な展開を見せたケースがありました。
「話題になった修復」といえば…
2012年、スペイン・ボルハ村の教会にあった19世紀のキリストの肖像画を、近くに住むヒメネスさん(当時80代)が修復しました。
元のものと比べると、絵のタッチがかなり変わっています。
ヒメネスさん曰く、「教会から指示を受けて修復した」ということでしたが、似ても似つかぬ仕上がりに物議を醸し、「歴史的な絵を台無しにした」と批判を浴びました。
しかしその後、世界中のメディアで取り上げられたことで話題になり、修復された画を一目見ようと、人口約5000人の村に1か月半で約3万2000人の観光客が訪れました。
さらに村では、肖像画は宝くじやワインのラベルにも使用されました。
AFP通信によると、その著作権収入は、修復したヒメネスさんに49%、教会の運営財団に51%が入ったということです。
元に戻すだけが正解ではない?日本の修復が守る「現状維持の原則」
高柳キャスター:
修復をめぐっては、スペインでこんなこともあったそうです。
2008年、9世紀に建築されたスペインにあるマトレラ城が豪雨被害に遭い、壁が崩れ落ち、補強作業が必要になりました。
2015年に建築家が白い壁で修復しましたが、塗り固められ、形の綺麗なものになってしまい、「駐車場のようだ」「歴史的意義も文化もすべて台無し」といった批判が相次ぎました。
しかし、その翌年に世界的建築賞で最優秀賞を受賞したということなんです。
現地メディアによると、「新たな壁で建物本来の特徴を引き立てている」ことなどが受賞理由なんだそうです。
こういった事例は日本でもあります。
1836年に制作された、京都・報恩寺の本堂障壁画「群仙図」。修復後の写真では、目の部分の色が少し変わっています。住職によると、かつて「子どもが穴を開けてしまったのではないか」ということですが、今回の修復では無地の和紙で穴を塞いだだけで、上から絵を書き足すことはあえてしなかったそうです。
それはなぜなのか、泉屋博古館の学芸員・竹嶋康平さんによると、日本の文化財修理には「現状維持」の原則があり、想像で書き足さず、今の状態で後世に残すそうです。
日比麻音子キャスター:
「修復」を考えると、元々の意味や意義に立ち返るきっかけにもなりますね。