井戸水から「第3のPFAS」検出 住民の血液と泡消火剤にも同成分 土壌にも広がる汚染…「さらに拡大する可能性も」【news23】
人体への有害性が指摘されている「PFAS」。最新の調査では、全国の半分を超える都府県で国の指針値を超える濃度が検出されたことが分かりました。その中で、ある地区では、水だけでなく住民の血液からもPFASが検出され、健康被害のリスクも指摘されています。さらに今回、新たな調査で、井戸水から「第3のPFAS」も検出されたことがわかりました。
広島県東広島市 住民の血液から高濃度PFASが検出
47年前から、広島県東広島市に住むAさん夫婦。
住民Aさん
「びっくりも通り越します。どうしていいやらもわからないし」
Aさんが住む八本松町・宗吉地区では、2024年、地域の井戸水から、飲用としては全国で最悪レベルの「PFAS」という化学物質が検出され、その後、生活に井戸水を使っていた多くの住民の血液にも超高濃度のPFASが含まれていたことがわかりました。
住民
「数字見て、そんなバカなっていう」
「飲み水は井戸水を飲んでいたんです。だからすごくショック」
PFASとは、有機フッ素化合物の総称で、水や油をはじく特性から、フライパンのコーティングや泡消火剤などに使われてきました。
PFASは1万種類以上あると言われ、そのうち「PFOS」と「PFOA」については発がん性などが指摘されていて、国際条約で製造や輸入が禁止されています。
井戸水から高濃度のPFAS 近くには米軍の弾薬庫が…
高濃度のPFASが検出された地区。そのすぐそばには、在日アメリカ軍の弾薬庫があります。
記者
「住民が住んでいたエリアからほんの数分歩いたところ、200mほど離れたところに、川上弾薬庫があります。そして丘の向こうには、かつて米軍が泡消火剤の使用を認めたヘリパッドがあります」
2024年、アメリカ軍は弾薬庫敷地内で、1991年から2009年にわたって、PFASを含む泡消火剤を訓練で使用してきたことなどを認めました。
長年、生活用水のすべてを井戸水に頼ってきたAさん夫婦。
因果関係はわかりませんが、Aさんは子宮や肺、大腸、腎臓などにさまざまな病気を発症。夫も、前立腺がんや胆石などを患っています。
Aさんの夫
「井戸水については一日も早く、安全な水を取り戻してもらいたい」
PFAS研究の第一人者である、京都府立大学の原田浩二教授は…
京都府立大学 原田浩二 教授
「ここまで非常に強い汚染があるというのは初めての経験になります。血液中の脂質の上昇であるとか、肝臓の障害、そして免疫機能等に影響を及ぼすというようなことが指摘されてきている」
2026年3月、原田教授は弾薬庫のそばを中心に湧き水や井戸水を採取し、新たな調査を始めていました。
井戸水から「第3のPFAS」 血液と泡消火剤にも…
アメリカの学術機関が示した、健康影響へのリスクが高いとされる目安は、血液1mlあたり20ngですが、この地区の住民12人の血液から検出されたPFASのデータを確認すると、多い人では指標の117倍もの超高濃度のPFASが検出されていたのです。
さらに成分ごとに見てみると、PFASのひとつである「PFOS」、そして「PFHxS」と呼ばれる物質が、非常に多いことが今回わかりました。
他の成分より、体内に残りやすいとも言われるPFHxS。国際的には規制が強化されていますが、PFOSやPFOAとは異なり、日本では水質検査の対象になっていません。
そこで今回、原田教授は21地点の水を分析。その結果、すべての地点でPFHxSも相当量含まれることが判明しました。
PFOSやPFOAに加えて国の検査項目外の、いわば「第3のPFAS」が住民の血液だけでなく、井戸水からも検出されたのです。
PFHxSは、アメリカ軍基地で一般的に使用されてきた泡消火剤にも含まれているということが、海外の調査でわかっています。
泡消火剤、井戸水、そして住民の血液。複数の成分が共通しているにもかかわらず、いまだに汚染源の特定はされていません。
東広島市は、血液中から一連のPFASが検出されたことと、地域の水の関係について…
広島・東広島市
「因果関係は明らかではない」
ただ、原田教授は…
京都府立大学 原田浩二 教授
「それ(汚染された井戸水)を飲んだことによって、住民の体内に非常に高い濃度のPFASが蓄積して、今もそれが残っていると言える」
さらに、水だけにとどまらず土壌にも汚染は広がっていました。
行政も驚がくした土壌の汚染 「地下水への浸透がさらに拡大も」
住民
「家庭菜園で作って、私らはそれを食べていますから、大丈夫かなと」
「野菜は自分たちで作って食べるのが今までの習慣。この状態になって、すごく怖い、食べるかどうかというのが」
原田教授は、現地調査の際に、住民の求めを受けて土壌も採取していました。
京都府立大学 原田浩二 教授
「元々水に含まれてるPFASは、最初に土壌に吸着して残るので(残ったPFASが)ここに濃縮・蓄積していくことはあり得る」
調査した7地点の土のうち、最も高かったのは、1kgあたり4万4200ng。
これは6年前、沖縄の普天間基地で泡消火剤の流出事故が起きた際の土壌調査を上回る濃度だということです。
この結果について、東広島市は…
東広島市生活衛生課 西田幸雄 課長
「土壌のPFASがこれほど高濃度だとは正直驚いている」
原田教授は、土壌の汚染は、さらなる拡大が懸念されると話します。
京都府立大学 原田浩二 教授
「(PFASは)土壌中を徐々に広がっていく。大元の発生源自体が残っていれば、その周辺の地下水へさらに浸透が続く。そこからさらに拡大する可能性もある」
藤森祥平キャスター:
ますます不安が広がる一方ですね。
全国的に指針値を超える濃度が検出されているところが、26都府県・629地点(河川・地下水など)となっています。
東広島市は、環境調査検討委員会を31日に開催し、今後の対応を検討するということです。