ミャンマー人に“暴行疑惑”の町議 2回目の団体交渉に姿見せず 農業法人から謝罪なし 過去には技能実習生“受け入れ停止”処分も【news23】
北海道・京極町の農業法人で、ミャンマー人労働者への暴行が行われていた疑惑について。18日に法人側との2回目の団体交渉が行われましたが、農業法人を取り仕切る町議は、姿を見せたのでしょうか。
特定技能外国人に暴行か 記者の直撃に“無言”貫く
記者の問いかけに無言を貫く男性。北海道で町議会議員である父親とともに農業法人を取り仕切る人物です。
この男性の父親である町議にある疑惑が浮上しています。
北海道京極町で町議と息子2人が取り仕切る農業法人では…
農場で働く外国人が撮影した動画
「何だその目。文句あるのか、言ってみろ」
聞こえてきたのは激しい罵声。声の主は、農場を取り仕切る60代の町議とみられます。
農場で働く外国人が撮影した動画
「ちょっと来い、来いって!教えてやるから、こら!」
引きずり出されたのはミャンマー人のAさん。この農場から東京に逃れてきました。
「日本で農業を学びたい」そんな夢を抱いていましたが、待っていたのは日常的な“暴力や暴言”でした。
Aさんが録音した音声
「お前呼ぶのに金かかってるんだからな!この野郎!返せよそれ給料で先に。じゃなかったらミャンマーに帰すからな!在留カードとパスポートもってこい!お前の申請取り消すから」
故郷では内戦続く「お先真っ暗」 ミャンマーにいる家族に仕送りも
Aさんは「ミャンマーに帰す」という脅しにも苦しめられました。
ミャンマー人男性Aさん
「ミャンマーにいたら徴兵されてしまう。ミャンマーに帰っても、お先真っ暗で安全とも言えない。日本で働きたいです。自分と家族の生活のためです」
ミャンマーの軍事クーデターから5年。Aさんの故郷でも内戦が続いています。
村の3分の2は焼け、両親が営んでいた農場も焼けてしまいました。
Aさんは1人日本にやってきて、ミャンマーに残してきた家族に仕送りをしていたのです。
しかし、農場でAさんは「13番」と番号で呼ばれ、チェーンソーを壊した弁償代として、4万円を給料から引かれたといいます。
Aさんが録音した音声
「なんで笑ってんだ!おまえらふざけんじゃねえぞ!バカ者が!」
車を洗浄する器具で腕を叩かれ、腫れ上がったことも。暴力に耐えかね、Aさんは一度は退職を申し出ましたが…
Aさん
「タイショック…」
Aさんが録音した音声
「できもしない奴が何言ってんのよ!黙ってやれ!わかったか!何がわかんないのよ。ほらこっち見ろ、黙って仕事やれ」
「尻を叩かれ胸を触られた」 町議がセクハラか
農場からはAさんを含め、7人のミャンマー人が脱出しています。
女性従業員たちは、町議に尻を叩かれたり、胸を触られるセクハラを受けたと訴えています。
男性従業員が月2万円払って住んでいた寮は汚れがひどく、ネズミが駆け回っていました。
ミャンマー人男性Bさん
「(町議は)『お前はバカ野郎、仕事ができない』と言った。(自分は)奴隷だと思いました」
このミャンマー人男性は、傷害と暴行の容疑で、町議とその次男を刑事告訴しています。
法人は「人権を侵害」認定取り消し “受け入れ停止中”のはずが…
町議らは以前、別の農業法人で役員を務めていました。
しかし、その農業法人は4年前、「人権を著しく侵害した」として、認定が取り消され、5年間の技能実習生受け入れ停止となっていました。
しかし、そのわずか47日後、別の人物を役員に立てて今の法人を新たに設立したといいます。
記者
「(スマホで動画を見せ)この動画は、お父さん(町議)ですか」
スマホの画面に映るのは、男性の父親で町議とみられる人物。ミャンマー人労働者側との1回目の団体交渉の場には姿を現しませんでした。
町議は8月に続いて9月も「一身上の都合」として議会を欠席。表の場で説明はしていません。
町議は表の場に姿見せず 団体交渉で賃金の一部は支払いも…
その町議の元を訪ねてみても、応答はありませんでした。
町議の出席を強く求めていた2回目の団体交渉では、息子の出席は確認できましたが、町議はその場に姿を現しませんでした。
2時間に及んだ団体交渉。
交渉では、未払いとなっていた賃金の一部などは支払われましたが、暴行については一部を認めたものの、法人側からの謝罪はなかったということです。
被害を訴えるミャンマー人
「私が(町議に)伝えたいことは、どうして仕事の中で暴力をしたのかと言いたい」
“特定技能”雇用 6179の事業場で法令違反 民間支援には限界
上村彩子キャスター:
町議と法人は、4年前に技能実習生の受け入れ認定の取り消し処分を受けていて、本来であれば5年間は外国人労働者の受け入れができないはずですよね。
熊谷七海記者:
取り消し処分を受けても、代表者と社名が変われば、制度の隙をついて実質的には同じ運用が継続できてしまうのです。
実態をしっかりと見る厳格な監視が、制度としてできていなかったことが問題だとわかります。
喜入友浩キャスター:
こうした特定技能外国人をめぐる問題は、全国で起きている可能性があります。
厚労省によると、2025年度、特定技能外国人を雇用している6179の事業場で、安全基準や賃金などに関する法令違反があったということです。
熊谷七海記者:
特定技能を受け入れる企業には、外国人労働者からの相談や苦情への対応が義務付けられていますが、問題を抱える組織が自ら対応するはずありません。
そのため、外国人労働者支援に取り組んでいる弁護士は「泥棒が泥棒を捕まえる制度」と指摘しています。
今回、取材の中で一番印象に残ったのは、保護されたミャンマー人が「水の中で溺れているところを助けてもらった」と話していたことです。人権を侵害された外国人を保護する仕組みに大きな課題があるということが分かります。
今回、被害に遭ったミャンマー人が、他県にいるミャンマー人に相談して、沖縄県にいる支援者に繋がって、やっと札幌の地域労組に伝わり保護に繋がりました。
民間の支援には限界がありますから、行政が制度化して逃げられる・相談できる場所を作っていく必要があります。
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<プロフィール>
熊谷七海
北海道放送記者 警察担当
京極町ミャンマー人虐待問題を取材