最期は土に還る「堆肥葬」…アメリカで注目される新たな“弔い方” 「子どもに負担をかけたくない」 今後「自然葬」は広がる?【news23】
亡くなった方の遺体を「堆肥」に変え、自然に還す…そんな“新たな弔い方”がアメリカで広がっています。環境への負担を抑え、最期は土に還る。この、人生の締めくくり方をみなさんはどう考えますか?
【写真を見る】人体に残る微生物を活性化させ、約40日かけて分解させる「堆肥葬」
木くずや花の上に遺体を置き堆肥にする“新たな遺体の弔い方”「堆肥葬」
アメリカ・ワシントン近郊、5月にオープンしたばかりの施設には、大きな“葬儀用”の装置が並んでいました。
アース・フューネラル ジョン・コリンズさん
「木くず・花などの有機物を混ぜたものが入っていて、この上に遺体が置かれます」
手がけるのは、“新たな遺体の弔い方”として注目される「堆肥葬」。遺体を木くずや有機物とともに装置に入れて、「堆肥」にします。
記者
「土の上に遺体を置くということで、手に取ってみると非常に軽くて優しい感触です」
この施設では人体に残る微生物を活性化させ、約40日かけて分解する。最後は骨も含め“自然の土”に還ります。火葬と比べ、二酸化炭素の排出量が圧倒的に少なく、環境への負荷が小さいのが特徴です。
アース・フューネラル ジョン・コリンズさん
「家族はその『土』で木を植え、庭を作り、地元の自然に撒くことができます。環境にやさしく穏やかな選択肢が求められています」
堆肥葬は、日本円で約60万円と一般的な火葬とほぼ同じ。墓を作る費用や維持費がかからない分、リーズナブルだということです。
アメリカでは火葬と土葬が大半を占めてきましたが、新たな選択肢として登場したのが「堆肥葬」。
2019年にワシントン州で初めて合法化され、現在では全米14州に広がりを見せています。今年行われた調査では、40.9%が「検討に値する」と答えました。
「子どもに負担をかけたくない」「堆肥葬」を生前に選択する人も
自分の死後、どう葬られるのか。“生前に選択”する人もいます。
メリーランド州に暮らす60代のペレス夫妻。今年、「堆肥葬」の生前契約を決めました。
堆肥葬を生前契約したハル・ペレスさん(61)
「シンプルに堆肥化された土に還るというのは良い選択肢です。愛する家族や子どもたちが自由に使えるという点が魅力的です。自分の庭に撒いても、川に流してもいいのです」
2人の娘がいるペレス夫妻。葬儀や墓で、子どもに負担をかけたくないといいます。「堆肥」は法律上「土」として扱われるため、死後は家族との思い出の場所に撒いてもらう事を望んでいます。
堆肥葬を生前契約したハル・ペレスさん(61)
「家族で一緒にハイキングした場所があるんです。子どもたちがそこを歩くたびに我々のことを思い出してくれるでしょう」
“自分らしい死”を求めて、その選択肢は広がりつつあります。
アメリカでは14の州で「堆肥葬」が合法化 自然の中で暮らす文化的な背景も?
小川彩佳キャスター:
世界的には火葬や土葬が主流ですが、ニコラスさんは堆肥葬をかなり身近に感じているのだとか。
歌手・俳優 ニコラス・エドワーズさん:
最近、親が遺言の整理をしていて、その時に「堆肥葬」を希望していると遺言に残しています。僕が生まれ育ったのがオレゴン州というワシントン州の隣の州なのですが、アメリカの北西部は自然の中で暮らす文化的な背景があるため、ワシントン州発祥で始まるのも納得です。
実家が牧場をやっていて、うちの親は火葬を元々希望しており、散骨して土に還りたいという考えでした。新しく「堆肥葬」ができて、牧場育ちとしては動物などが自然に土に還っていくのも見てきました。地元の地域性がトピックに出ていて、すごくびっくりしました。
小川キャスター:
心理的なハードルはなかったですか。
歌手・俳優 ニコラス・エドワーズさん:
僕の世代から見ても、多分アメリカは火葬が一般的になっていた時代で、この堆肥葬は新しい感じがします。堆肥葬の合法化の州を見ると、結構保守的な地域ではまだ浸透していない状況に見えます。
自然に還るという印象になり、宗教的な考えによる抵抗を持っている人は少ないのではないかと思うので、アメリカでは浸透しそうな弔い方に感じました。
火葬・土葬以外想定していない日本 「堆肥葬」は浸透するか
小川キャスター:
日本では、こういった葬儀ができるのかというところですけれども、葬送に詳しい大正大学招聘教授の鵜飼秀徳氏によると、「現在の日本では原則、火葬・土葬以外を想定していない。ただ、葬送は『文化』。火葬一辺倒ではなく、多様性があってしかるべき」とのことです。
国民感情として、新しい葬儀のあり方をすぐに受け入れることも難しいかもしれません。こうした新しい葬送は、日本でも広がりを見せていくと思われますか。
歌手・俳優 ニコラス・エドワーズさん:
アメリカでも伝統を守りたい、昔のやり方を変えたくないというような考えはもちろんあると思います。アメリカと日本が置かれている状況や環境もまた違います。大事な人の最後なので、ご本人が希望しているのか、残される人もどういうふうに送り出したいのかを大事に考えるところは、どの国も共通している印象を受けました。
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<プロフィール>
ニコラス・エドワーズ
歌手・俳優
“堆肥葬”が合法な米国オレゴン州出身
実家の農場でも“自然葬”が行われていた
『葬儀・供養の形』について「みんなの声」は?
NEWS DIGアプリでは『葬儀・供養の形』について「みんなの声」を募集しました。
Q.どのような葬儀に関心がある?
「火葬」…34.9%
「散骨」…38.8%
「堆肥葬」…11.6%
「宇宙葬など新技術利用」…3.5%
「その他・わからない」…11.2%
※10月6日午後11時22分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは7日午前8時で終了しました。